参考書の「はじめに」と「おわりに」を読む層について
ほとんどの書籍には「はじめに」と「おわりに」(もしくはあとがき)のページがある。
創作物やノンフィクションの人生体験記はもちろん、レシピ本や写真集にも。
大概筆をとった理由や購入者への謝辞などが書かれているものだ。
そしてこれは参考書という書籍も例外では無い。
試験対策本や業務上使用するツールの技術書などにも、ページ数は少ないがはじめにとさいごにのページがあるのだ。
前者には試験の内容なツールの始まりについて、後者にはこの本を読んだ購入者は今後知識を役立てられますようにと言った内容の文言が書かれているが、参考書を買う人というのは学習意欲があり必要なページ以外は読まない人がほとんどなのではないだろうか。
筆者も自宅で勉強する際には最初と最後のページは大概読まない。
しかし今日初めて会社での指示待ち時間に、技術書の「はじめに」を真面目に読んだ。
この技術書の著者は作家として有名な訳でも、当たり前だが技術書なので最高に面白い文章を書くわけでもない。
誰かわからない人の体裁上書いたような、テンプレートのような端書。
わざわざこれを1文字1文字、流し読みでは無い読み方をするのはきっと筆者のようにやることの無い人か、参考書を譲り受けたはいいもののやる気がなくて何となく眺めている人だけ。
真面目な人ほど読まず、読んだからと言って真面目になれる訳では無い不思議な参考書の数ページ。
世の中にはきっとこんな「誰にも読まれないけれど存在している文章」が何個もあるのだ。
例えばなんだろうか。あの長ったらしい利用規約でさえきっと隅々まで読む人は何人かいるだろうし、日本国憲法だって法学部やその手の専門家は隅々まで読んでいるはず。
1番近いのは研究論文の謝辞のページだろうか、あれは関係者以外は読まないだろう。
しかし完全に誰も読んでいなさそうなのがこの、参考書や技術書のはじめにとあとがき以外思い浮かばない。
もしかしたら筆者は、誰もまだ見つけていなかった新しい概念を発見してしまったのではないだろうか。