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「思考プロセス」と子供の教育について ⑧大人と子供はどう違うのかをもう一度考える【最終回】

こんにちは、ゴール・システム・コンサルティング&リ・デザイン研究所です。ゴール・システム・コンサルティング代表取締役村上悟による、TOCの基本スキル「思考プロセス」と子供の教育に関するコラムの8回目をお届けします。はやいもので、とうとう最終回です。TOC(制約理論)や、教育のためのTOC(TOCfE)、考える力の育て方に興味がある方、ぜひご覧ください!

※第1回~前回までのコラムは、以下のマガジン(村上のコラム一覧)からご覧いただけます。

これまでの連載では、子供の発達成長の段階について「4歳の壁」と「9歳の壁」という発達科学での考え方を紹介しながら、TOCfEの3つのツールについて考察してきました。そして、TOCfEが子供の発達段階に適した体系を持っており、発達段階に応じた、正しい成長を促進するツールである事を説明してきました。

ここで改めて、TOCfEの3つのツールがどのようなものかを見ておきましょう。

3つのツール:ブランチ、クラウド、アンビシャス・ターゲット・ツリー

●ブランチ
「繋がり」を通じて「因果関係」「理由付け」を学ぶ事ができます。

●クラウド

目の前の「対立」や「ジレンマ」から、「要望(必要条件)」・「共通目的(ゴール)」・「理由(アサンプション)」と順々に視野を広げて事象を構造化し、多角的に理解することができます。
また、自分と相手の間に存在する「ジレンマ(外部対立)」では、相手と一緒にクラウドを書くことで「共存共栄(ウィンウィン)」のコミュニケーションのあり方を学ぶ事ができます。

●アンビシャス・ターゲット・ツリー(ATT)

自分との対話を通じて具体的なターゲットを設定し、目標達成までを合理的に計画する、すなわちゴールを達成するために「今」から何をするべきかを考えることが出来るようになります。

TOCfEではこれら3つのツールを、国際認定のコースを通じて子供だけではなく、教師と両親と共通の道具を使うように教育しています。これによって大人も学ぶ事ができ、さらに人に教える事によって、共に成長してゆく流れがあるのです。

TOC思考プロセスの一つの特徴と言えると思いますが、TOCfEでは、ツールを使いこなし論理的なコミュニケーションを行うために、それを媒介する「要(かなめ)」の役割をするきちんとしたルールを設けています。

これがTOCfEの第4のツールとでも言うべき、論理検証のためのルール、CLR(Categories of Legitimate Reservation)です。本来のCLRはジョナスキルでは7つありますが、TOCfEではそれを簡略にしたもので「明瞭性」「存在」「因果」「十分性」という4つチェックポイントがあります。

CLRはごく簡単に言えば「事実関係を分かりやすく、過不足なく表現する」ためのチェックポイントであり、目の前の事象に囚われがちな子供の思考をちゃんともみほぐして、時間と空間の認識を拡げてゆくための「ベース」になるものなのです。

子供とは、「囚われている目の前の『今』から始まり、翼を拡げてゆく」もの。TOCfEツールを子供に教える大人に大切な事は、子供が日々外界の刺激(環境・経験)を受け取る中で、しっかり物事を捉え、その繋がりが理解できるようにCLRを上手に使って教えてゆく事ではないでしょうか。

その繰り返しによって視点を拡げ、コミュニケーションを発展させ、人として成長し、人生の目標を達成してゆくのだと思います。

一方大人は、「いろいろな物事に囚われ、あれやこれやと散漫になる」事が多く、そういった中で多くの問題を「絞り込んでゆく」ことが苦手になりがちです。TOCfEの経験者に聞いてみると、こんな状況に囚われると、複雑な組織問題の解決には使いにくい、もしくはどう使ったら良いか分からないという意見が多くありました。

お話ししたように、ジョナスキルではUDE(問題)からクラウドを作るのに対して、TOCfEでは目の前の対立から作ります。この手順の違いにより、目前の対立に囚われて問題との関連がよく分からないということが、使いにくさの理由のひとつに挙げられます。さらに、ジョナスキルのように、多くの問題の根本となる原因(コアクラウド)を特定して、インジェクション(解決案)、解決行動という一連の流れをたどれない事が、大人が組織の問題解決にTOCfEを使いにくいと感じる原因になっているようです。

「TOCfE」と「ジョナ」の根本的な違いを考えるとき、それぞれ誰のためのスキルかを抜きにして検討することは出来ません。TOCfEの主役は子供であり、一般的な問題解決手法であるジョナスキルの主役は大人です。この「大人」と「子供」の違いに気付くことが重要なのであり、二つのスキルを使いこなすカギになると私は思います。

では、TOCfEスキルを使って組織問題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか?ポイントは、TOCfEのスキル体系に埋め込まれた大人と子供の違いをしっかり認識する事に尽きると思うのです。なぜならば、お話ししたように、大人は時間と空間の認識の中で問題を認識する事が出来ます。つまり「何を・何に・どのように」というステップで、「過去の問題」を分析し、「現在の行動」によって「将来の変化」をさせる事が出来るのです。

これもお話しした事ですが、子供の成長・発達は「今」から始まって、「過去の因果」、「将来の夢の実現」と羽ばたいてゆきます。この二つの流れは、どちらも「過去・現在・未来」という三つの時制を扱うという点で基本的に同じと考える事が出来ます。

ですから、TOCfEスキルを使って組織問題を解決するには、TOCfE三つのツールである「ブランチ」・「クラウド」・「ATT」をそれぞれ「三つの時制」を扱うツールとして使う事が重要なのです。

すなわち、
1.ブランチを使って「過去」の問題を分析し 
2.「現在」囚われているジレンマを、クラウドを使って明らかにし解決案を考え
3.ATTを使って解決状態に至る「未来」への道筋を明らかにする

以上、簡単ですがTOCfEスキルを適用して、組織の問題解決を体系的に考えるための基本的な考え方を記しました。
是非参考にしてください。

・・・

ゴール・システム・コンサルティング代表取締役村上悟による、コラム『「思考プロセス」と子供の教育について』は今回が最終回となります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。また、本コラムについて、これまで様々なご感想をいただき、大変ありがとうございました。
今回のコラムが、TOCfEとジョナスキルを活用して、お子さんの教育や、仕事に取り組む方の参考になれば何よりです。

ただいま、次のnote連載に向けた準備中です。
そんなにお待たせせずに、次回連載をスタートできる予定ですので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!

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