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コンサルタントの「疑うこと」と「知ること」、「信じること」を考えてみる
こんにちは、ゴールシステムコンサルティングの村上悟です。
今回は連載の3回目として、業務改革を手がけるコンサルタントとして大切なスタンスである「疑うこと」と「知ること」そして、「信じること」の定義と考え方を検討してゆきましょう。
第一に「疑う」ということについて考えてみましょう。まず知っておいていただきたいのは「疑う」ことは「否定」することとは全く違うという事です。我々コンサルタントがクライアントにお勧めするものは根拠のある「手法」でなければなりません。つまりそのことを証明するために、疑い深く何度も三現主義で確かめて、それでも否定出来ない時にはじめて、その論理は正しいと見なすのです。つまり、正しさを確かめるために疑うのです。しかし、否定できないからといって「正しい」とは断言できません。すなわち、昨日までは正しいと見なされても、環境などの条件が変われば明日は正しいとは限らない、ですからあくまでも「正しいとみなす」のであって、疑問の余地を残すのが科学的に「正しい」という事であり、これが学びに繋がるのです。
要するに「疑う」ことは、考えることと同義で、偉大な先人は皆この態度で学びを行ってきたのだと思いますし、人間は疑って考えることによってのみ「知り」・「学び」続けることができるのだと思うのです。
一般的に、『宗教』は信じるもので実生活には役立たず、『科学』は論理的で私たちの暮らしに実際の恩恵をもたらし、論理的であるが故に再現性を有すると言われます。でも昔は宗教も論理的で役に立つ再現性のある実学だったのです。そんなバカなと思われるかもしれませんが、太古の昔から宗教は政治と密接に結びついていました。例えば「暦」運用を考えてみましょう。その昔は暦によって農作を行い、毎年の収穫の安定を図り民の心と生活を豊かにしてきたパワフルな道具だったのです。もし暦の運用に失敗すれば「宗教」の権威は否定され、人の心は離れてしまう訳ですから、宗教は再現性を担保するために様々な現象について科学的・論理的なアプローチを行ってきたのです。科学的に天体の運行を分析しながら、「何事も神様のお陰、祟り、恵み」というように、原因と結果の間にある「なぜならば」を神と結びつけて説明してきたのが宗教の歴史なのです。
この姿勢は科学的でしょうか、それとも宗教的でしょうか。我々の現代科学の眼から見れば全くの荒唐無稽で、迷信に過ぎないことであっても、「現実に起こる(った)事象を説明しようとする」という姿勢は科学と同様であり、「現実のものごと(事象)を説明し、予測する」ことは一つの「理論」と言えるのではないでしょうか。ここから、分かるのは「論理的で説明できること」と「再現性があること」だけでは宗教と科学の違いは説明できないということです。
人間は社会的な生き物で相互信頼を基本として生活しています。ただ、新しいものに関しては、そう簡単には信じられないので、信じるための「確からしさ(再現性)」と、それを支える「説明(論理)」が必要なのです。信じたい人に「ある条件では○○という結果である、またある条件では□□という結果が出る、なぜならば温度が△度以下では××の??がこうなり・・・・からだ」という分かりづらい説明ではダメで「○○すれば必ず□□になる、なぜなら××だから」というシンプルなロジックが必要なのです。だからこそ、それにつけ込む形で「ニセ科学」のような、もっともらしい「説明」が幅を利かせているのです。要するに、宗教とは「人間の信じたい気持ち」に応える形で、信ずるに足りるもの(信仰の対象)」を提供し続けているのです。
反対に、宗教とは疑わないこと、言い換えれば「教義」を信じる「信仰」を基本にする思想活動です。言い換えれば、そうなると、そこで行われる議論は「教義」に対してではなく、「どう行うか」という教義(定石)の解釈を中心としたものにならざるを得ません。そしてこうなると、環境が変化して、適用条件が変わったときに対応できず衰退してゆく事になるのです。科学であれば「誰々がこう言っている」ではなく、その論が依っている「前提条件」を明らかにして、しっかり論を戦わすことが重要なのは言うまでもありません。
私たちが必要なのは、疑いや批判や反証を受け入れ、明日はどう変化するかを、その変化に対応するために、どう進化すべきかについて、真摯に議論する態度だと思います。なぜならば時代はVUCAなのです、やってみなければ分からない、そんな状況の中で、未来を確定的に担保する事は出来ません。批判を受け付けず、これが正しいやり方だと独善的に示したところで、そのやり方は「科学的」とは程遠い事になりますし、そのやり方では進化は間違いなく止まってしまうことになるのです。
次回からは、この環境変化に対応する科学的な「論の立て方」と「検証の仕方」をフォードシステムを築き上げたヘンリーフォード、TPSを構築した大野耐一、TOCを開発したE・ゴールドラットという三人の泰斗を例に上げて、その時代背景と環境を解説しながら生産システムの進化という見地から解説してゆきましょう。
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