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Aurora festival 2011  PartyReport

地中海に浮かぶ島 サモスラキ島。地中海の島と言えばサントリニやミコノスが有名だが、この何もない島が夏のシーズンだけ一変する。それがRaveだ。

今やEDM(ErectricDanceMusic)は世界規模で有名になり、Raveを含め野外フェスの勢いは止まらない。EDMといえど細分化するとかなり多くのジャンルがあるのだが、今回はPsytrance, Technoのパーティになる。


本編に入る前に少し僕のイベント歴について説明しておこうと思う。


日本に居た時から野外フェスは夏に欠かさず参加をして来た。ジャンルを問わず小さいものからビックフェスまで時間が合う限り行くほど野外フェスが好きだった。その頃から海外のイベントに興味はあったものの一つのイベントに行くのに海外まで行く資金も時間の余裕も無かった僕は今回の長期の旅で必ずイベントだけは参加しようと心に決めて旅立っていたのだ。(旅行記はトップページ海外写真放浪記をチェックしてください)


イベント中はセキュリティも甘くなる。なので宿に大半の荷物を預け、イベントは全編フィルムカメラで撮影をしている。何十万もするデジタル一眼をイベントに持っていくと兎に角気になって全く楽しめないので。


今年は新型コロナウィルスの影響で殆どのイベントが中止となってしまったので古い記録ではありますが、写真と文章でイベントを体感してもらえたらと思います。

また海外のイベントに興味はあるけれど、どういったものなのか分かりやすいと思うので是非読んでみてください。

では。


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到着までの道のり


インドを出発した僕は出国前から予定していたギリシャの島で行われるRave 【Aurora Festival2011】を目指しイスタンブールへと飛んだのだが、インドを出る際に大変な目にあい2日間ほど寝込んでしまう。

出だしは悪かったものの、初めてのイスタンブールはアジア圏とは全く異なる文化の為、建物、食べ物、衣装、文字、全てにおいて興味をそそられる魅力的な空気感を放っていた。

カドキョイと言うブルーモスク近くの駅に2011年当時ツリー・オブ・ライフと言う日本人宿があり、そこを拠点として買い出しや情報収集をし始めるのだが、寝込んだせいで準備が全くはかどらない。

ただ、そこはこの旅初めての日本人宿。皆んな物凄く親切だし助けてくれる。バイクで世界一周しているPちゃんにモンベルの一人用テントをあっさり借りる事ができた。実はテントが一番のネックだったのだ。


国内ならテントや寝袋、ライトなどは家から持っていけば何の心配もないが、海外のイベントだと出来れば購入したくない。イベントの後荷物になるし地味に高いので。海外の野外イベントで最低限必要な物は

テント・寝袋・懐中電灯(iphone)・衣類・キャッシュ

位だろう。テントでの盗難はかなり高いので軽装で行く事をオススメする。


Pちゃんに10日後テントを返す約束をし、この宿の名物管理人シュウさんに大半の荷物を預けいよいよギリシャへと出発する。



サモスラキ島はトルコ寄りのギリシャの島なので、バスで数時間走れば船着き場のテッサロキニへと到着してしまう。途中国境を超えなければならないのでバスを降りるとスイス人のフェルナンドから声をかけられる。どうやら彼もAuroraFesへ行くらしく一緒に行かないかと誘って来たのだ。


彼の他にもパーティー目的の乗客が居てスイス人のフェビアン、彼女のダニエラも加わり計4人で島を目指す事になったのだが、この日はイベント前日でテッサロキニに到着したのが夕方だったので船が無く、仕方ないのでそのまま浜辺で野宿する事になった。


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前の週にインドの砂漠の真ん中で死にかけた僕は最早何処でも寝れる人間となっていた。何より新しい出会いとイベントへの興奮で楽しくて仕方がなく、フェビアンが買って来た酒が尽きるまで四人で飲み明かした。



夜が明けると何故かフェビアンとダニエラの姿はなく、僕とフェルナンドだけが砂浜で横たわっていた。トイレに行きたかった僕は近くのレストランまでダッシュで行き、用を済ませると朝ごはん用のサンドイッチを買って戻りフェルナンドを起こして食べ始めた。


そこに何処で仕入れて来たのかテキーラをしこたま買ったフェビアンとダニエラが戻って来て朝の8時からまた酒盛りが始まった。10時のフェリーの時間までそうやって浜辺で飲んでいるとイベント客が集まって来て20人くらいで飲み始め、ベロンベロンのままフェリーへと乗り込むと、中はもっと大騒ぎになっていたのだ。


普段は観光用の中型客船なのだろうが、中にスピーカーが設置されていて爆音で音楽が流れている。皆逸る気持ちが抑えきれずに船着き場から爆発してた。本当に5日もこれが続くのか?持つのか俺の体力は?



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最高のロケーションとパーティーの始まり


船中とは裏腹に船は悠然と進み目的地のサモスラキ島へと到着する。

船着き場はテントやスーツケースを持ったレイバー(レイヴ好きな人)で溢れかえり、移動用のバスでピストン輸送されていた。4人でバスに乗りパーティー会場へ辿り着くとゲートでオンラインで買っておいたチケットを見せ入場する。とにかく早くメインステージへ行きたい。テントの張り場で快適に過ごすには場所選びが一番重要なのだが、最早そんなことはどうでもよかった。4人で適当な場所へ荷物を置き、地図を片手にメインステージへと移動していくと、もう向かう途中から最高なことが分かった。

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右がメインステージで目の前は海。


このサモスラキ島最大のウリはとてつもなく良いロケーションなのだ。汗だくに踊った後はそのまま海へ入ることができる。また海に入りながら音楽をゆっくり楽しむ事もできる。最高。


音もだんだんと大きくなって来て、正面に来ると目の前には山。

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そして写真には取れなかったが、少し行った所に滝もあり、ここまでロケーションが良いイベントに出会ったことがなかったので、我を忘れて、取り敢えずテントも張るのを忘れて4人で踊り狂った。


こうしてAurorafestival2011は最高のボルテージの中始まる。


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このメインステージ以外に3つのフロワーがあり、敷地自体も広大だ。chillout, Live, moveとそれぞれに凝ったデコレーションがされ、夜通し音が流れている。


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この後もいくつか海外のイベントには行ったが、初めての海外イベントがこの場所で本当に良かったと今でも思う。それは色々な要因があるが、まずはイベント自体の規模だ。


各イベントには大体の収容人数があり、大きいフェスだと1万人以上、中規模で2−5千人、小規模で数百人くらいと、まぁ決まりは無いが大体それでイベント自体の雰囲気は行く前から掴める。


大きいフェスだと仲良くなった友達とはいくら期間が長い海外のイベントでも会えない事があるが、お金が掛かっている分有名アーティストを多く見れる利点がある。


Aurorafesは中規模に当たるのだが、ロケーション、アーティスト、人数が一番ベストだった。何より人が皆良い人ばかりだ。


ここに着くまでに顔見知りになったヤツや


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会場で毎日一緒に踊った子

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兎に角毎日会うのでどんどん友達が増えていくのだ。踊っている間もそうだが、休んでいる間やご飯中でさえ新しい出会いがある。

イベント中は衣食住がある簡易的な村の様なコミュニティーが形成されるのでこう言う事が起こるのだと思う。


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Raverレイバー

彼らは総じてレイバーと呼ばれているが、イベントへ行かない人や普段街中で会ったりしたら敬遠してしまう様な見た目の人も多いと思う。


だが、実際には彼らはそのイメージとは多分かけ離れている。真面目なヤツも居るし、本気で環境問題に取り組んで居るヤツもいる。そういったイベントへいくヤツ=悪では決して無い。

勿論全員がと言う訳ではないが身の危険を感じる様な事は先ず無かった。

皆優しく、イベントを皆んなで楽しもうと言う空気感がずっと続いていくのだ。見ず知らずの僕がシャッターを押しても必ず笑顔で返してくれる。


ヨーロッパのイベントでは本当に多くの国からの参加者がいるのだが、陸続きの大陸は隣国との軋轢が多少なりある。日本も例外では無いが、あまり良いイメージを持たない国の人同士も音楽と言うファクターを掛けるだけで仲良くなれる事もイベントの良さの一つであると思う。

どの音楽イベントもそうだが、僕は音楽イベントは力場だと思っている。音楽のエネルギーに集まった人達が起こす化学反応。

食事で取れるエネルギーの様に音楽には目に見えないエネルギーが必ず存在しているはずだ。

ストレスの発散は勿論、癒しや、こうやって人と人を繋ぐ事も音楽の余波なんじゃないのかと思う。

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非日常感

1日目はこうしてテンションのままに踊り、それぞれのタイミングでテントを建てに戻りゆっくりと就寝した。前日の疲れもありぐっすりと次の日の昼くらいまで寝てしまう。

イベントのタイムテーブル上メインのDJは最終日辺りの夜になるので、それまでは助走の様なものだ。今回の僕のメインはJunoreactorで往年のゴアトランスDjだ。

マトリックスシリーズの全編の音楽担当が彼。

それまでは割とユックリとイベントを楽しんでいくのだが、このイベントで楽しみの一つがご飯だった。

ここに来るまでの4ヶ月近くネパールとインドに居た僕は豚肉と牛肉を食べていなかったので、貪る様に毎回肉を食べまくっていた。勿論ビール付きで。

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それぞれが自分の楽しみ方をしていて見ているこっちが楽しくなってしまう様な事も。


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因みにダニエラは基本トップレスだった。会場でもテントサイトでも。そんな楽しみ方もある。


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会場内はディズニーランドとまではいかないが非日常を体感出来る空間となっている。

僕自体も長い事東京で働き詰だった事もあり羽目を外しまくりお金をじゃぶじゃぶ使った。ギリシャはユーロ圏なので物価が跳ね上がるのだ。今までインドで一日1000円程度で暮らして来たのだが、ここに来て1日5000円は使ってしまっていた。

暑いので朝からビールが止まらずに1日何本飲んだか分からない。

宿泊費が掛からないのでまぁ安いもんではあるのだが。

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メイン会場は夜も勿論賑わっている。昼間と夜でフロワーにいる人が違うのがまた面白いところで、夜踊る人は昼間寝ているか、ユックリ過ごしていて、昼間踊っている人は夜寝るのだ。

これを繰り返した3日目にはもう感覚が麻痺し、こうゆう村に住んでいる感覚になって来る。

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物販会場。


そんな毎日もあっという間に過ぎて行き、とうとう最終日のjunoreactorの時間がやって来る。

最終日

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最終日はフェルナンド、フェビアン、ダニエラと昼ごはんを食べ、4人で基本的に一緒に過ごした。明日帰らなければならないと思うと、今日を目一杯楽しもうと思うものだ。

それは会場の皆んな同じ事を考えていたと思う。この日が終わってしまえばまたいつもと同じ日常へと戻っていってしまう。

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この瞬間を精一杯楽しみたい。


楽しくて仕方がない。


こう思える事があるって本当に幸せな事だと思う。

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歳や人種、職業なんて関係がない。今ここに居て一緒に踊る事が出来る。一昨日まで全く知らない人とここまで一緒に同じ思いを共有できる。


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それが僕の感じた海外のRaveだ。勿論日本のイベントも楽しいのだが、少し閉鎖的と言うか、ここまで人との繋がりはできないと思う。全てのイベントがこう言った雰囲気で行われている訳ではないし、僕が勝手に楽しんで居た部分が多いかもしれないが、この記事を見て少しでも海外のイベントに興味を持ってくれて、この感覚を味わって貰えればと思う。


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AfterParty

イベントが終わりまだ音が鳴っている中、皆帰り支度を始める。僕らもテントをたたみ、帰りのバス乗り場まで行くのだがフェルナンドはこのイベントで仲良くなったオーガナイザーの友達の後片付けを手伝う事にしたらしく、後一週間は島に残ると言う。

フェルナンドとハグをして別れ、フェリーに乗り僕ら3人はテッサロキニからトルコのイスタンブールまでそのまま帰るのだが、バスの中でダニエラにスイスに来ないかと誘われる。僕はこの後まだまだ旅が続くので厳しいと伝えると凄く寂しそうな顔をして泣くジェスチャーをしていた。


イスタンブールのバス停で二人とハグをし、また必ずイベントで会おうと言い別れたのだった。

こうしてそれぞれの生活へと戻っていったが、いい人達と出会えたからこそイベントが楽しい物となったと思う。

またこうやって良い出会いが出来るイベントへ行けるように、毎日の努力を怠らない様にしたい。


終わりに

僕は長期旅行中にイベントへ参加したが、日本から参加する場合

飛行機代+チケット代+滞在費

が掛かって来るので相当な出費となると思う。もし行く場合は一つのイベントでは無くいくつかのイベントを回る、若しくは観光の合間にイベントを入れると良いかもしれない。


またイベントの探し方が分からない人用にGOABASEと言うサイトがある。このサイトでは世界中のパーティー情報が載っているので、参考にして見ても良いと思う。


ここまでは良い事ばかり書いてきたが、海外のイベントで盗難や傷害事件に会う話がない訳ではない。それに加え薬物の温床となっている事もあるので全ては自己責任でしっかりと自分を持って参加して欲しい。

国によっては終身刑や死刑となる事もあるので薬物だけはダメ絶対。


安全に楽しむ事を第一に楽しんでいただければと思う。


長くなってしまいましたが、読んで頂き有難う御座いました。


また楽しい夏がやって来る事を願って。

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次回はThaiのKo-Taoで行われたThe Experience2012を執筆いたします。

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