見出し画像

【トヨタ生産方式/TOC編10;ザ・ゴール第六章「ボトルネックを探せ」】

*前回までの投稿は上のマガジンに入れています。

今回はエリヤフ・ゴールドラット氏のザゴール、第6章「ボトルネックを探せ」を対話形式で解説します。引き続き、先輩の健と後輩のショウだけでなく、ショウの課長の倫也も参加します。6章は結構重めなので、1投稿で1つの章の解説になります。

・・・・・・・・・

👱🏼‍;おはよう。今日は前回解説したハイキングでの解説策を工場に落とし込んでいく部分を解説していくよ。

👨‍🦱;おはよう。よろしく。

🧒‍;おはようございます。よろしくお願いします。

六章:ボトルネック~何が工場の能力を決めているのか~

👱🏼‍;第六章は、いきなりゴローさんが落ち込んでいるところから始まる。奥さんが出て行ってしまったからね・・。電話も繋がらなくなってしまったんだって。

👨‍🦱;そりゃ大変だわ・・・。

👱🏼‍;でもゴローさんは仕事はちゃんと切り替えるのがすごい。早速ハイキングで起こった話を、製造課長、経理課長、元気な女子社員、データ担当の若手社員に話をする。しかし反応は薄い。そこで、データ処理担当の若手は、工場ロボットに統計的変動はないと言い切る

👨‍🦱;最初は自分たちが否定されているみたいで、こういうのって話聞いてもらいづらいよな。


実際に工場で起きた「つながり」と「ばらつき」の問題

👱🏼‍;でも、ゴローさんは、「問題はロボットにではなく、ロボット以外の部分にあるといういい、さらに、ロボットだけでなく、システム全体を生産的にする必要がある」という。そんな折、製造課長へ本社製造部長から急なオーダーが頼まれるんだ。

👨‍🦱:工場長を飛ばしていきなり緊急の指示か。悪い組織の典型だな。

👱🏼‍;その時の時刻はお昼の12時。夕方5時までに製品を出荷する必要がある。100個の製品が必要で、出荷までの工程が組み立てと溶接で、組み立ては、1時間に25個仕上げられる。組み立ては12時時点ですでに作業を進めており、溶接のセットアップは外段取りで実施しているので、1時に開始できる。溶接マシンは、1時間25個安定的にできる。そのため12時から5時までの間で、100個製造可能となる算段だ。

👨‍🦱:うまくいけばの話だな。ハイキングの話がどのように起きるか見物ってところだな。

👱🏼‍;そこでゴローさんは、データ処理の若手にそれぞれの工程で部品がいくつ作られたか記録するように指示した。

👨‍🦱;そういう、見える化が大事だな。それで結果はどうなったんだ。まあ大体予想はつくが。

👱🏼‍;そう。予想通り、90個しかできなくて、出荷ができなかったんだ。下記のようなことが起きたんだ。

画像2


人が行う組み立て作業だが、立ち上がりがうまく流れず、25個達成できなかった、しかしそのあと挽回して平均は25個作っている。一方溶接は機械で生産のため25個は、ばらつきなく作れる、しかし、前半在庫がなかったため、19個であったり21個であったりする。後半在庫はあるが能力はばらつかないため、MAX25個しか作れない。結果、合計生産は90個と未達となってしまったんだ。くどいようだけど、だめ押しの説明だね。これは、ハイキングと一緒だ。

👨‍🦱:まあ、そうだが2つの工程だけでこんな結果になってしまうなんていったら複数工程では目も当てられないな。

👱🏼‍;そう。だから、ゴローさんは皆に「これまでは経費を削減しようとして生産能力を落としてきたが、それが大きな間違いだったんだ。ほかのリソースより余分な能力を持っているリソースがあってもいいんだ、そこまで理解した上でシステムの全体最適を目指さなければならない」宣言するんだ。

👨‍🦱;そうか。トップがこれを明言するってすごいことだよな。

🧒‍:また二人の会話を割って入って、、すみません。でもこれって、JITで学んだ3原則の「必要数をタクトで決める」とは少し矛盾する話のように思うんですけど。。。必要数が少なければ、少ないなりの作り方を、必要数が多ければ、多いなりの作り方をしないといけなかったですよね。

👱🏼‍;いや、矛盾はしていない。むしろこれは、「必要数をタクトで決める」ということを言っているんだ。このタイミングではまだ早いから、後半で説明するよ。

🧒‍;そうなのですか。。よろしくお願いします。


ボトルネックと非ボトルネック


👱🏼‍;うん。先に進もう。ゴローさんは、具体的な進め方についてジョナサンに相談するんだ。そして、つながりとばらつきの二つの現象の組み合わせについて理解したこと、現場で起こったことについて説明する。
そうすると、工場の中のリソースを2つに分けなければならないとアドバイスをもらう。

👨‍🦱:ボトルネックと非ボトルネックだろ?

👱🏼‍;そうだ。ボトルネックとは「瓶の首」の意味だ。

「ボトルネック」:
 その処理能力が与えられた仕事と同じかそれ以下のリソースのこと。
「非ボトルネック」:
 与えられた仕事量より、処理能力が大きいリソースのこと。


👨‍🦱;今回はどのように市場の需要に対応するかが重要だが、ボトルネックがどう市場に関係してくるんだ?生産能力を合わせてはいけないのはわかっていることだよね。

👱🏼‍;需要に合わせなければならないのは、工場内でのフロー、つまり流れだってジョナサンはいうんだよ。

👨‍🦱;ほう。じゃあ、その流れとボトルネック・非ボトルネックはどう関係してくるんだ?

👱🏼‍;工場の本当の能力を決める要因はなんだい?

👨‍🦱;そりゃ、ボトルネック・・。お、ということは、ボトルネックを通過するフローを市場に合わせるんだな!

🧒‍;すみません。ボトルネックってできる限り無くさないといけないんじゃないんですかね・・。

👱🏼‍;また突然でてきたな(笑)でも、課長の倫也の言うとおりだ。ボトルネックは悪ではなくて単なる「現実」なんだ。同じ回答をゴローさんたちから受けたジョナサンは「まずはボトルネックを探してみろ」っていうんだ。

👨‍🦱;ボトルネックを探すか・・。生産能力のデータをすべて確認すればいいのか?いやさっきの通り、それ以前の在庫によって変わってしまうからだめか。うーん、膨大なデータ分析が必要なのではないのか?

👱🏼‍;いや、ちがう。ボトルネックとは「仕掛り」が溜まっているところだ。リソースが処理しきれないところだからな。例えば、ひときわ大きい仕掛りの山があるところとか、頻繁に足りない部品を取りに行くところとかが、怪しいんだ。

👨‍🦱:そうか、それはわかりやすいし、言う通りだ。

👱🏼‍;早速ゴローさんたちのチームはボトルネックの設備を探し出す。そうすると一つ目のボトルネックは、最新の機械であり、最も効率の高い設備だったんだ。昔三台で動かしていたものを一台で対応できるようにして時間効率も良くなったとのことなんだけど、仕掛りが山のようにあるようだ。

👨‍🦱;効率が良くなっても、台数が多いほうが生産数量は高かったのかもしれないな。

👱🏼‍;そしてもう一つの設備が見つかる。バッチ式の熱処理設備だった。部品を入れてから一定の時間がかかり、入れられる量も限られているため、こういう設備はボトルネックになりやすい。だが、今回はほとんどの場合、炉の半分も埋まらないまま動かしていたようだ。本社からの緊急指示が多くて、大至急のオーダーを入れているからだそうだ。

👨‍🦱;ボトルネックが二つか、なかなか大変だな。

👱🏼‍;うん。それでゴローさんはジョナさんに電話するんだ。そうすると、たまたまジョナさんは日本にいて、明日工場に来るっていうんだ。

👨‍🦱;さすが、フィクションの世界だな(笑)すごい。

👱🏼‍;な。普通そんなタイミング良く来ないよな。大体、ボトルネックが見つかったっていったん膠着だ。それは置いておいて、ジョナさんは工場に着くとすぐ、ボトルネックの話を聞き、「やらなければならないことは一つ、ボトルネックの処理能力を増やすことである」というんだ。

👨‍🦱;でも、ゴローさんの工場に投資するお金は無いんだろ。

👱🏼‍;工場全体の生産能力を増やすわけでない。それにまずそのボトルネックが十分に活用されているかを確認するんだ。

👨‍🦱;なるほど。

👱🏼‍;それで、ジョナさんと現場を見に行くんだ。まず、最初の最新設備だ。現場に行くと動いていない。休憩時間だったからだそうだが、ジョナさんは厳しく、「ちょっと待ってくれ、これが非ボトルネックならばいいが、ボトルネックならば、そうはいかない。」と言われる。

👨‍🦱:工場全体のスループットだからな。休憩代が高くつくね。

👱🏼‍;さらにジョナさんは、以前の設備も動かすことを提案

👨‍🦱;コストが上がるのでは?

👱🏼‍:コストのことは後で心配しようとジョナさんはいうんだ。そして、次の熱処理設備にいく。そうするとジョナさんは、この処理をしてくれる下請けはないかと聞く。そうすると同じようにほかのメンバーが、部品コストが上がるという。

👨‍🦱;俺も思った。。。

ボトルネックに眠るお金

👱🏼‍;そこで、ジョナサンは、在庫の山の金額について聞く、そうするとメンバーは100万という。しかし、ジョナさんは「もしこれがボトルネックならそんな金額では済まないという。」

👨‍🦱;というと?

👱🏼‍;今スループットのことを考えると、ボトルネック前にある部品が通過できないせいで、出荷できずに納品が遅れている製品が千台あったとする。そのものの最終製品の費用が1台10万とすると、1億円のお金になる。つまり、ボトルネック前の在庫は1億円のお金が溜まっていると考えなければならないんだ。

👨‍🦱:そうか。。。そうだな、ボトルネックがある場合は、工程能力はボトルネックに等しい。前から言っている通り、スループットはボトルネックが決めている。大地君のスピードと同じだ。

👱🏼‍;その通りだ。さすがだ。ボトルネック1時間当たりの生産能力=工場の生産能力なんだ。工場全体の総費用をボトルネックの総運転時間で割った金額が本当のコストなんだ。そして、このボトルネックを最大に活用する方法は2つ。 

一つ目は、ボトルネックのムダをあらゆる方法でなくすこと

👨‍🦱;従業員の休憩時間を工夫して、機械が止まらないようにするとか、すぐ作る必要ない部品を作らないとかだね。スペアパーツもだめだね。オーダーがないものは作る余裕がないはずだからね。それと俺なら製品検査もボトルネック前で強化するかな。この部分だけは、ちょっとトヨタ式とは異なるけど、短期的には選ばざる得ない選択かもしれない。

👱🏼‍;そうだね。品質を工程で作りこむこととはちょっと違う。でも、トヨタ生産方式で話したけど、それはある意味長い時間をかけて実施していくものた。だから、おれも賛成だよ。もう一つは分かる?

👨‍🦱;うん。もう一つはボトルネックの負荷を減らして生産能力を増やすことだと思う。下請けや古い機械を使ってでも多少のコストなら費用をかけて負荷を落とすほうがいい。大地君も重い荷物を分けていたよな。

🧒‍;あ、また突然すみません。ということは、さっきの話、、JITの三原則の「必要数をタクトで決める」という話ですけど、必要数を”ボトルネックでの必要数”と言い換えるとつながりませんか?だって、そりゃボトルネックの数量でスループットが決まるなら、そこを最大化するための必要人員を揃えればいい。そして、量が増えなかったら、多能工化しておいてそこに一気に残業等でサポートに入る。実はこれが理想なのでは?

👱🏼‍;その通りだ。やるね。だから、必要数をタクトで決めるということと矛盾はしないと思っている。さて、ジョナさんはトヨタの話はしていないけど、ボトルネック生産能力を高めるための方法をアドバイスし、去っていく。これで、ゴローさんは、やるべきことは、はっきり見えた。7章で実際のアクションに移っていくんだ。工場のムダを1秒でも削減するためにね。そして、そんな時に奥さんから電話が。

👨‍🦱;ここでまた家族ネタ登場か。いずれにしろ、次がどうなるか気になるな(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・

最後に
今回は。6章のみでしたが工場での具体的な問題とその解決案について解説しました。ボトルネックが工場全体のコストを背負っている、部品コストを上げて、スループットを向上することが会社のゴールに近づくという発想は斬新ですよね。次回第7章で、具体的にどうやってボトルネックの処理能力を向上させていくかを解説します。続きは下記です。

なお、TOCシリーズはザ・ゴールと岸良裕司さんGoldratt Channelの動画を参考に解説をしています。(動画、超超お勧めです!)

#製造
#現場
#理論と実践
#ものづくり
#トヨタ生産方式
#リーン生産方式
#改善
#かんばん
#7つのムダ
#TOC
#制約理論
#ザ  ゴール



いいなと思ったら応援しよう!