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【要約②】持続するフェミニズムのために(著:江原由美子)

紹介する本はこちら。
以前より気になっていたので。

第1章:この50年、何が変わり、何が変わらなかったのか

1970年代の女性の状況

 東京でウーマン・リブ活動が誕生し、流行したが、未だ女性が4年制大学を出ても職がないと言われた時代。女性の平均初婚年齢は24歳。自身の状況に違和感を感じつつ、旧来の価値観の両親らとの間に挟まれていた女性が多かったのではないか。

 ※ウーマン・リブ活動についてはこちら(社会学論考 第39号 2018.11 日本の女性運動ー1970年代から何が引き継がれたのか 樋熊亜衣 2017年度博士論文)の概要内で「1985年に江原由美子が総括を行うまで」と記載ありました。江原先生が総括された文章を読んでみたいです。どの著作(論文?)かわらかなかったのですが、「女性解放という思想」という本はヒットしました。

50年後の女性の状況

 大学進学率、労働面、非正規労働者比率、司法・メディア・医療・大学教員等における女性の比率、衆議院議員、婚姻件数等、性別役割分業意識を比較している。

変わらぬ男女差と女性の中の多様性

 この50年で女性の社会進出は大きく躍進した。背景は2つの変化がある。
 1つ目は、女性の高学歴化。女性の高学歴化により、女性の社会進出が進んだように見える。一方で、女性側の価値観の変化と比較したとき、女性の労働力比率の低さ(子持ち女性の退職のため)や非正規労働者比率などを鑑みると、女性は男性と異なった働き方を選ばざるを得ない状況であることが分かる。
 2つ目は、女性の中の格差の拡大。産休・育休制度の利用できる正規雇用女性社員と、そういった制度を利用できない上に一度退職すると復職の難しい非正規雇用女性社員の格差が拡大している。1970年代は結婚して夫の扶養に入ることが女性の生き方であり、女性が非正規雇用でも生きていけたが、現在は結婚しない女性も増えてきており生き方が多様化している中で、多様な生き方を支える経済的な基盤がないのが現状だ。 

アメリカとスウェーデンの女性の状況

 (歴史については割愛する。)
 アメリカの現状は、フルタイム労働者比率や各種職業における女性比率を見ると、日本よりはかなり男女格差が少ないことは確か。一方で職業による賃金格差が大きかったり社会福祉の欠如(有給の産休がないこと)により、近年では日本よりも女性労働力比率が少なくなっていたりする。
 スウェーデンはジェンダー平等度が高いと言われている北欧の国である。フェミニストの政策が国政に取り入れられた経緯もあり、女性の労働力比率の高さや政治における女性参加率の高さが特徴である。一方でまだ本当の男女平等になったとは言い難い状況である。
 いずれの国も、男女平等は進んできてはいるが、各々独自の課題がある。

ジェンダー平等は進んだか

今なお進歩の余地がある。過去50年の進歩は下記2点。
 ①各国での性別役割分業意識の低下
 ②女性の大学進学率の上昇
一方で各国の差が大きく、変化が滞ったり逆転したりしている事柄。
 ①女性の就業率の上昇
 ②管理職女性比率、女性賃金率の上昇
 ③女性の政治参加の上昇
 ④男性の家事労働・ケア労働の分担の度合いの増加
ジェンダー平等に関する項目の達成度は、景気動向、公的保育・介護制度の有無、税制や社会保障制度、労働法制や選挙制度などの社会環境によって大きく変化しやすいことが分かる。
 ジェンダー平等は多くの人が望んでいるにも関わらずまだ実現していない。フェミニズムの理論の可能性と限界を次章以降で検討する。

続きはこちらです。


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