ナッジ研究者がお答えします#24:ゲーム化はナッジですか?
【質問】ゲーム化(ゲーミフィケーション)はナッジになりますか?
答え:一般的にはそうです。
ゲーム化とは、「ゲームのデザイン要素や原則(競争、コンプリート、アイテムなど)をゲーム以外の文脈で応用すること」を指します。
ナッジの定義(「選択を禁じることも経済的なインセンティブを大きく変えることもなく人々の行動を予測可能な形で変える選択設計のあらゆる要素」)から考えると、ゲーム化はナッジの範疇に入りそうです。実際、公衆衛生におけるナッジ介入における系統的レビュー論文では、ゲーム化も含めています。
一方、ナッジにおいては、「すぐに拒絶する自由が確保されていること」が重要です。
例えばチームを作って冒険をするオンラインゲームや、依存性やギャンブル性が高いゲームは、実態として、いつでもすぐにやめるのが難しいことでしょう。また、「子どもにもスマホゲームを使って行動変容を促すことは、問題はないのか?」といった意見もあります。
個別に目的、コストとベネフィットの比較、倫理を考慮し、慎重に判断するべきだと考えます。
なお、研究者のスタンスによって、ゲーム化をどう解釈するかは違ってくるでしょう。私の場合、健康づくりでは「アナログゲーム(チーム対抗クイズ大会など)」といった文脈でのゲーム化を推奨する傾向にあります。別の研究者は、「それではせっかくのAIが活用されていない。スマホゲームを積極的にナッジとして活用するべきだ」という意見があるかもしれません。ぜひ、異なるスタンスの研究者とディスカッションしながら、最適なゲーム化ナッジを追究したいです。
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