ナッジ研究者がお答えします#30:SNSがやめられない
【質問】夜になるとSNSがやめられず、そんなに見たい投稿があるわけではないのに、気が付くと明け方です。以前は家族が「もうやめたら」と言ってくれましたが、今は誰も注意しなくなりました。どうすればやめられるでしょうか?
あなたは夜、狙われています
人は直感と理性の2つのモードがあります(Kahneman et al, 2002)。理性は有限です(Baumeister, 2003)。疲れると理性が枯渇し、直感的な行動をするようになります。夜は理性がとても利きにくい時間帯なのです。
SNSはなぜあんなに便利で快適なのでしょうか?需要と供給という観点から考えます。供給者(運営側)は、あなたが1秒でも長くSNSを使うようにプロモーションを行い、需要を刺激します。ここで、運営側を邪魔する存在(競合)は「消費者の理性によるブレーキ」です。だから、プロモーションの一斉攻撃をかけるベストタイミングは、理性が弱まる夜の時間帯です。
夜中にどんどんと強い刺激が発せられて、あなたの本能を興奮の世界へ誘っているシーンを想像してみてください。確かに、あなたはその刺激に魅せられています。でも、それは本当に健全な関係でしょうか?
理性があるうちにする3つのナッジ
「私たちの直感は新しいことを始めるのは得意。でも、やめるのは苦手」「私たちがやめるのを必死に邪魔する巨大な力存在がある」ということは知っておいて損はないです。その上で、理性が突破された後の防衛線をどう確保するのかは、理性があるうちに設計しておかなければ勝ち目はありません。そこで、ナッジを使った対策を提案します。
①21時を過ぎたらスマホのスイッチを自動的に切る。
②スマホを隠す。
③21時以降はスマホを使わないと宣言する。
21時過ぎたらやめるのが難しくなります。それがわかっているので、その前にルールを決め、それを宣言します。何となくスマホを開始できないように、プロセスを面倒くさくさせることで、「スマホも後でいいか」という直感に訴える作戦です。人の直感は、面倒なものを嫌い、そして他人に宣言したものを破ることには、抵抗を感じます。
私は、スマホの代わりになるように、本を手元に置いています。
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