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ナッジ研究者がお答えします#23:離職防止にナッジは使える?

【質問】若い人の離職防止にナッジは有効でしょうか?

答え:なるかもしれません。

離職防止には、職員のグリット(やり抜く力)を育てるとともに、魅力のある職場にしていく環境的アプローチの両面が重要だと考えられます。

特に本人の能力・意向と事務分担のずれ、あるいはパワハラなど、コミュニケーションの齟齬については、ナッジが役立つかもかもしれません。コミュニケーションを補完するナッジとして、次のナッジが私のお気に入りです。

また、「職場にいるだけで健康になる環境的ナッジ」も、長期的な離職防止に役立つかもしれません。

ただし、ナッジは、望ましい行動をするべきだとわかっていながら、それができずに困っている人のために用いられるべきものです。
もしも本人にとって離職が望ましいのであれば、ナッジで離職を抑制すると、労使ともに「克服できないミスマッチ」を先送りすることにもなりかねません。

さて、離職する人に対しては、笑顔で送り出す方が好ましいです。最後に嫌な思いをさせると、相手(離職者)は、「嫌なことをされた」という思い出が強く印象に残ってしまうからです。これは「ピークエンドの法則」という心理現象で、今まで恩を受けた職場に対して攻撃的になってしまうのは、お互いにとって悲劇なことです。組織においては、相手に対して言いたいことがあっても、最後は笑顔で送り出すことをお勧めします。


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