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「ナッジあるある」ちょっとブラックな5位と4位

※このnoteはインターネットラジオVOICY「ドクター紅と竹林の土曜の行動経済学」(2020年4月18日放送予定)の内容をベースに書き下ろしたものです。
登場人物 ドクター紅(くれない):ナッジの魅力に気付いた公衆衛生医師。竹林博士:ナッジの面白さを伝えるのが大好きな研究者。

紅:皆さん、こんにちは。大好評のナッジあるある。今回は5位から発表します!

【第5位 〇〇の話が盛り上げる】

竹林:第5位は「実はナッジ悪用の話をすると盛り上がる」です。

紅:「悪い面を知りたい」という気持ちは人間の根強い心理なのかもしれないですね。でも、大丈夫ですか、ブラックな話をして?

竹林:あらゆるものには光と陰があり、ナッジも例外ではありません。私はナッジのいい面を楽しく伝えるようにしています。が、忘れてほしくないのは、ナッジは「うっかり」も含めて悪用されやすく、正しい知識と高い倫理が不可欠だということです。

紅:陰を学ぶことで、光をよく知ることができるということですね。

竹林:はい。ちなみに私の中で、悪用されるとこわいナッジNo.1は単純接触効果です。

紅:単純接触効果ですか?何回も見ているうちに好意を持っていくという、シンプルなナッジですよね?

竹林:何しろ単純接触効果は無意識に訴えかけてきますからね。一度ネットショッピングで靴を閲覧したら、毎日その靴がポップアップされるようになって、最初は欲しい気持ちが少なくてもだんだん欲しくなってくるってことありますよね?このように緩やかに誘導していくのが単純接触効果の特徴です。

紅:なるほど。単純接触効果には、自然に信じさせてしまうパワーがあるのですね。

竹林:はい。ところで、紅先生はパタリロという漫画、わかりますか?

紅:昔流行りましたね。

竹林:パタリロはマリネラ国の王様で、部下や国民を洗脳するのが大好きなんです(苦笑)。普段から「パイライフ」という想像上の怪物をさり気なく会話に入れた結果、ついに国民はパイライフの存在を信じるようになりました。

紅:困った王様ですね。

竹林:これを悪用すれば、怪物の代わりに、仮想敵国の存在を信じさせることもできそうですね。

紅:…。

竹林:さらにパタリロはマリネラ国が核兵器を持っていると主張し続けた結果、核保有国として国際的に認められます。

紅:世界中が信じてしまったんですね。

竹林:パタリロはフィクションです。でも、私たちの身近でもフェイクニュースを何度も聞いているうちに信じてしまい、間違った考えが定着しているってこと、ありませんか?

紅:インターネットニュースのコメント欄で、的外れな意見でも、ズーっと同じ論調のコメントが続いているうちに「その通り」と思えてしまうのは、単純接触効果の影響ですね。

竹林:単純接触効果に同調効果が加わって、相乗効果が発揮された可能性があります。だから「自分の考えの背景には単純接触効果があるかも」と疑ってみるのがお勧めです。

【第4位 ナッジが気になって】

竹林:第4位は「出かけると、至る所でナッジが気になる」です。例えば、人気のないレストランなのにお店の前に待合用の椅子が並べている風景、見かけませんか?

紅:ありますね。

竹林:実はその椅子は誰も座ったことがなく、同調効果に訴えかけるための小道具かもしれません!

紅:竹林博士は、出かけてももナッジ探しを楽しんでますね(笑)!

竹林:3位は次回発表します。お楽しみに!


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竹林/津軽弁のナッジ研究者
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