新しいサービスを考えている人すべてに知ってもらいたい『スタートアップ・フィット・ジャーニー』
こんにちは。
普段は「プロダクトマネジメント」に関するnoteを書いてます、@go-go-pdmです。
https://twitter.com/go_go_pdm
最近私は転職して、新規サービスのプロダクトマネジメントを久しぶりにやっているのですが、
『スタートアップ・フィット・ジャーニー』って改めて秀逸で、
ITサービスだけでなくて、
どんなものの企画にも応用できて良いと思う一方、意外と使い方や応用の仕方が広まっていない気がしているので、
私なりの使い方を紹介したいと思います。
ちなみに、新しいプロダクトだけでなく、「新しい機能」を考えるレベルでも結構使えますんで。
※ 今日のブログは個人の意見で所属企業を代表するものではありません。
会社の事例を使っての話はまたの機会に…
スタートアップ・フィット・ジャーニーとは?
IT界隈の方なら一度は「PMF(Product Market Fit)」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、
PMFに至るまでのプロセスをフレームワーク化してくれているのが
「スタートアップ・フィット・ジャーニー」と言います。
詳しい話はこちらに譲りますが(東京大学FoundX様、本当にありがとう!)
概要としては、以下となります。
そんなの当たり前じゃん…と思われるかもしれませんが、
日々色々な方々のプロダクト相談に乗ると、上記ができている方はほとんどいないと感じます。
ちなみに、近い概念として「ダブルダイアモンド」というのもあります。
私ならスタートアップ・フィット・ジャーニーをどう使い倒すか?
まずはこの順序に則る
よくあるケースなのですが、
「④ 解決策は製品やサービスになるか?(Solution / Product Fit)」
から、企画をスタートさせていないでしょうか?
例えば、「AIを使って何かしよう」とか、「ブロックチェーンを使って何かしよう」などです。
または、「こういう施策をしたいんです!(以上)」みたいな状況も同様です。
先ほどの図の通りで、いきなり④からスタートしてはいけません。
しっかりと順番に考えていきましょう。
もちろん、Aという商品を作ったらどうだろうか?という発想からスタートして、①から順にAという商品について考え直すのはよくあるプロセスですので、私としては問題ないと思います。(①に戻るのが大切)
① まず誰を対象にするか?(Customer)
「ペルソナ」「ユーザターゲットセグメント」は知識としてご存じの方も多いかと思います。
まず慣れていない場合は、以下の2点に気をつけてください。
- 具体的に対象をイメージすること(最初は信じられないくらい具体的にしてみてもいい)
- ファクトに基づいた対象の設定
具体的に対象をイメージするのは、試しに以下くらいやってみてもOKです。
そしてこれを考える場合に、大切となるのが、上記の基となった「ファクト」です。
対象のイメージは「事実」に基づかなければならず、そのためにたくさんのデータを集めたり、たくさんのインタビュー結果を用いることを忘れないようにしてください。
私もこのフェーズでは、信じられないくらいのデータや調査結果を読み込みます。
ちなみに転職活動するときの、志望動機を作るために、
その会社の顧客が誰なのかをデータをしらみつぶしにあさったりもします。
そうすると理解が深くなり、よりよい転職につながることが多いからです。
こちらのTweetも参考になるのでぜひ!
② その方たちが抱えている課題やペインは何か?(Customer / Problem Fit)
こちらも①とほぼ言いたいことは同じです。
その対象には様々な悩みや課題、ペインを抱えています。
今頭の中にある「解決策」はひとまずしまってください。
対象となる方が、全体としてどんな課題に包まれているのかを把握しましょう。
把握の仕方は様々ですが、ここでも「ファクト」を大切にしましょう。
まずは想像(仮説)からスタートしてもいいですが、データや調査、インタビューでの検証をお忘れなく!
ここで使えるツールとしては
「カスタマージャーニーマップ」
「バリュープロポジションマップの右側」
などがおすすめです。(使い方はリンク見てね)
場合によっては、課題に関する調査結果があって、その課題を持っている人が「40代男性かつある特徴を持つ人」のようなデータから、今回のジャーニーを進めるケースもあるかと思います。
その場合は②→①と逆行しますが、私個人としては問題ないと思います。
ここからが本題! ③課題に対しての解決策は適切か?(Problem / Solution Fit)
ここからがいかにも「俺って企画者だなー」というフェーズになってきます。
私たちが考えている「解決策」が本当に良さそうか、というのを
ユーザーインタビューをしながら検証を進めます。
要は、いろんな人に聞いてきましょう!って話です。
(インタビューにはスキルがいるのですが、それはまた詳しいサイトなどを一度みて、実行してみてください)
で!!
インタビューするのはいいのですが、アイディアをどうユーザに見せながらインタビューするのか?という究極的な課題に対して、
世の中の書籍やサイトなどで網羅されているものが見当たらないので(私が不勉強なだけかもしれません)、
今日はおすすめの検証方法をまとめたのをいくつか紹介しますね。
正直ここを伝えたいがために今日のブログ書いているようなものです。
https://twitter.com/TadokoroMasa/status/1529797647351300098
まずはグッドパッチさんがまとめている、「価値検証」のやり方についてまとめたブログです。(初級)
この中でも「ストーリーボード」は準備もしやすいので結構おすすめです!
次に「起業の科学」という書籍を出されている田所さんが先日Tweetされていた内容です。
ここまでまとまった図は見たことないので、この中から、ピックアップして検証に使ってみるといいと思います!(上級者向け)
④ 解決策は製品やサービスになるか?(Solution / Product Fit)
③で解決策がユーザにウケそうだ!と思ったら、実際にサービスや商品、プロダクトを作ってユーザーに試しに売ってみよう、というのが④のフェーズです。
企業によっては「PoC」フェーズなんてのもこのフェーズに当てはまると思います。
ポイントは3点です。
最初の開発可能かどうか?ですが、
例えば、空を飛びたい!というニーズに対してタケコプターを作る!という解決策は今の技術では実現が難しいです。
でも、意外とそんなもの作れちゃうの?!ということもあるので、日々新しい技術には目を向けておく必要があります。
次に、MVPというのは「実用的な最小限の機能をもつプロダクト」という意味です。
詳しくは以下をご覧ください。
ちなみに、MVPのポイントはスピードを重視することで、欲張らないことです!
もう一度言います、欲張らないことです!
え!これでいいの?というくらいのプロダクトでスタートしましょう。
そして、最後に「経済合理性」です。
要は、ちゃんとビジネスになるのか、ある程度お金が手元に残るのか、ということです。
営利にしろ非営利にしろ、赤字ではいろんなことを続けるのは難しいと思いますので、しっかりと検証をしましょう。
会社の仕事であればROIが取れるか、などと言い換えると良いです。
⑤ 製品やサービスは売れるのか?(市場に適合するか)(Product / Marketing Fit)
一般的に「PMF」と呼ばれるものになります。
こちらに関しては本当にもうたくさんの記事や本がありますし、「PMF」って検索しただけですぐに学べてしまうので、このブログでは大きく紹介しないことにします。
私なりの「PMF」の定義を念の為書いておくと、
PMFとは、
・新しい商品であれば、営業やマーケティングへのコストに比例して売り上げが伸びる状況
・既存のプロダクトにおける新機能であれば、リリース後のPDCAサイクル(単体アップセルの売り上げ向上)
というように言えるかと思っています。
実はこれらをまとめた良いサイトが…
あります。笑
ただ、少し用語がIT業界の専門的なものが多いので、より簡易な解説があれば良いなと思って今回の記事を書いてみました。
また、③課題に対しての解決策は適切か?(Problem / Solution Fit)に関して良いまとめがどうも見当たらないのも、モチベーションになりました。
ぜひ慣れてきたら上記のサイトをバイブルのように使ってみてください!
解決策からではなく、対象とその課題をまずは明らかにしよう!そして解決策を検証しよう!
古今東西優れたアイディアには必ず、解決すべき課題がはっきりしています。
これはマーケットインだろうが、プロダクトアウトだろうが、共通していると思います。
基本に立ち戻ることは非常に大切です。
私もProduct Mangerを10年やっていますが、いまだにこうやって、基本フローを守り、そしてアップデートをかけるようにしています。
それでも、新しいアイディアというのは大半は失敗するのです。
失敗するから、また基本に立ち返ってブラッシュアップをかけるのです。
普段そんなことを考え、悩み苦しみながら仕事をしています。
ではまた!