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忘れているから忘れ物

やばい、早く会社行かなきゃ。

その時、息子の忘れ物に気付いた。

それを届ければ、私は会社に遅刻してしまう。

そんな時間だった。

迷っている時間すらなく、息子に申し訳ないと思いながら、会社へ行った。

申し訳ないと思ったのは、忘れ物に気づいたのに、困る子がいると分かっているのに、持って行ってあげらなかったから。

その忘れ物は、人に迷惑をかけてしまう忘れ物だったのだ。

忘れたのは、給食当番のエプロン。

なぜこんなに分かりやすい場所に置いてあるのに、忘れるんだ?

いゃ、私が分かりやすいと感じるだけで、息子から見れば、気づきにくい場所だったのかもしれない。

話し合って、今後そうならないように、置き場所について決めておかなければな。

いゃ、それよりも、給食当番の同じクラスの子が、困っているんじゃないか。

いゃ、間違いなく困るよね。

忘れた息子が、トラウマとなる出来事にならないだろうか。

息子のことだから、きっと、そんなことにはならない気がする。

いろいろ考えてみたものの、それをどう乗り切るのか、それも経験になるかもな、なんて思った。

そして、なんなら、息子がどう乗り切るのか見てみたい気もした。

1日中気にしながら仕事をし、家に帰った。

昼寝から目覚めた息子に、給食のエプロン大丈夫だった?と聞く。

すると、1つ余ってた、と謎の答え。

ん?

聞き返す。

1人少なかった。

つまり、先週の給食当番より、今週は1人少ないグループだったらしく、なんの問題もなかったらしい。

あー、本当にうちの息子は、持っているのだ。

私には無い、運の良さというか、乗り切れる強さというか。

でも、なんとなく、息子はどんな状況でもやっていけそうな気はしているのだ。

小学校の時、娘が内履きの靴を忘れ、慌てて届けたら、学校のスリッパ借りてたから、わざわざ持ってこなくても良かったのに~って言われたことを、また思い出して笑っている。

親が心配するほど、子供は子供ではないのだろうな。

それなりに対処する力を、身に付けているのかもな。

たとえ運でも。

親として、いつも抜けていて、さらに気にしすぎる私は、いつも子供達の乗り切る力や言葉で、助けられている。

我が家の子供達のおかげで、ずいぶん心配性ではなくなったけれど、もう少し、気遣いできる人になりたいとも、思っている。

いつもなんとなく、こんな親でごめんねって思ってしまうのです。

でもやっぱり、全然気にしていない子供達に、救われているのです。

ありがとうって思っているのです。






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