逆トラウマで人前で緊張しない理由
中学2年、わたしは生徒会の議長にさせられた。
させられたというのは大げさな話ではなく、もともと生徒会など1ミリたりとも興味もやる気もなかった。
しかし、まだ体罰が黙認されていたころ、体罰大歓迎の体育教師にやれと言われ、最後まで断り切れなかった。
せめて目立たない書記ならと打診したが、もうひとり生徒会にねじ込む生徒が生徒総会などの司会ができそうもないみたいな難癖をつけられ却下された。
今なら、そもそもそんな理不尽な話はないし、あったとしても親に相談してクレームを入れてもらえば済むことだろう。
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生徒会活動により、友達とファミコンしたり、自宅でバラエティ番組を観たり、部活をしたりする時間を奪われることは苦痛でしかなかった。
救いだったのは、生徒会のメンバーがいい人たちだったことだろうか。
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任期の1年間、さまざまな話し合いの司会に加え、体育館の壇上に置かれた机に座りマイクを使い、全校生徒の前に晒されながら行う生徒総会というイベントをこなさなければならなかった。
とはいえ、壇上からの見晴らしはよかった。
1年生から3年生まで約900人、その後ろにズラリとパイプ椅子を並べて教師たちが一望できた。
そこで身をもってわかったことがある。
人の話など、真剣に聞いている者などいない
生徒どころか教師ですら足を組み下を向き寝ている者もいた。
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大人になってから、何度か人前でスピーチする機会があったが緊張することはなかった。
なぜなら聴衆は、わたしの話など真剣に聞いていないと思い込んでいるから。
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とはいえ、あのころに戻り、生徒会をやらなくてよい選択ができるなら喜んでやらない選択肢を選び、友達の家でスーパーマリオをする。