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生成AIでお店探し!新作アプリ「UMAME!」発表会レポート
ぐるなびは2025年1月20日(月)、AIで新たなお店と出会えるアプリ「UMAME!(うまみー!)」をリリースし、β版の提供を開始しました! 生成AI技術やぐるなびが保有するビッグデータをフル活用した、ユーザーの外食ニーズにマッチするパーソナライズ化された飲食店情報が提供されます。同日に行われた発表会のレポートとともに、これまでの飲食店検索サービスとは一線を画す最新機能の詳細や今後の展望についてお伝えします。
ぐるなびが飲食店検索サービスをリリースするのは、1996年に誕生した主力事業である飲食店情報サイト「ぐるなび(現:楽天ぐるなび)」以来、初めての取り組み。2024年8月より本格始動した、ぐるなび全体の技術革新・DXを実現する「ぐるなびNextプロジェクト」の一環で開発されました。
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「UMAME!」のネーミングは、文字通り“「うまい」を「私に」”。思わず「うまい!」と言ってしまうような、まだ出会えていない未知の食体験を提供したいというメッセージが込められています。「未知との遭遇」から連想し、アイコンのメインイメージはUFOに。オムライスを組み合わせ、愛らしく親しみやすいビジュアルとなりました。
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発表会冒頭では杉原章郎 代表取締役社長が「ユーザー本人が思いもしなかった新たなお店と出会うようになり、飲食店側も予期せぬ新たなユーザーと出会うことができる。まさに、外食と人の関係性の革命とも言えます」と紹介。開発に携わった岩本俊明CTO(Chief Technology Officer)によると、「検索しているというよりは、相談している感覚で使えるアプリ」を目指したといいます。
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たとえば、友人同士で銀座の焼き肉店を訪れたい場合、今までの情報検索では「銀座 焼肉」など、お店探しの条件となるキーワードを自分自身で考案してピックアップしていました。しかし「UMAME!」では、「銀座でおいしい焼肉を、友達同士でわいわい食べたい」と複雑な条件やあらゆるシーンを自ら選別することなく、考えていることをそのままAIに語り掛けるだけ。自分が入れた情報とパーソナル情報を掛け合わせた“マッチ度”も表示され、お店選びの判断基準もわかりやすくなっています。
テキストや音声入力だけでなく、画像検索にも対応。「いつかこの料理を食べたい」「こんな雰囲気のお店に行きたい」とあらかじめ保存してあった画像を登録すると、AIがお店をピックアップしてくれます。「まるで詳しい人に提案してもらっているようで、自分も食通になったような気分に。本アプリならではの体験です」(岩本CTO)。
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さらに、組み込み型で学習されたAIによるオリジナルな機能が。「二次会検索」は、その名の通り二次会を開催するためのお店選びに特化。二次会は参加人数などが直前まで判明せず、かつ短時間で対応しなければならないため苦心された経験を持つ方も多いはず。岩本CTOによると「社内でも要望が多かった機能」とのこと。
さらに、出張先や旅行先で活躍するのが「旅先グルメガイド」。その土地ならではのグルメを味わいたくても、慣れない場所のため店探しに手間取ってしまうことも多いはず。「大阪にいるんだけど、おいしいグルメは?」と、訪れた場所の地名を含めて問いかけると、最もメジャーで定番な食べ物を瞬時に教えくれます。また、検索対象となる土地の方言を踏襲して返答されるので、まるで現地の人が直接提案してくれたような感覚なのです。
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岩本CTOと、ゲストであるテックジャーナリストの弓月ひろみさんによるトークセッションでは、デモンストレーションを交えながら「UMAME!」について深堀りしました。
――世の中全体でAIの活用が進んでいますが、そんな状況下で「UMAME!」の開発はどのように進められていったのでしょうか。
岩本:プロジェクトで検証していく最中にもAIはどんどん進化していき、そのたびに数少ないプロジェクトメンバーたちでトライしていきました。最新のAI技術が出ると試していたのですが、AIの進化スピードが速くて追いつくのが大変でしたね。
――ちなみに、海外ではどんな状況なのでしょうか。
弓月:先日、アメリカ・ラスベガスで行われていた世界最大級のテクノロジーイベント「CES 2025」へ行ってきました。家電メーカーや車メーカーなどを見て回ると、今は“人に寄り添うAI”をビジョンに掲げている印象でした。ただ、なかなかサービスに落とし込めていないのが現状。その点において、「UMAME!」は革命的だなと思いました。
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――これまでの検索との違いは?
岩本:自然言語で探せるというところですね。せっかくなので、実際にやってみましょう。
弓月:これ、私がパッと思い付きで言ってみてもいいですか?
岩本:もちろんです!
弓月:「すごくお世話になっているクライアントの方と、外せないお寿司を食べに行きたい」。
岩本:なるほど。この場合、“外せない”という単語がどういう意味で捉えられるかですが……“取引先”“外せない”という要素から、“接待”というフィルターが作成されました。
弓月:おお~! この検索結果から、予算や人数などでさらに絞り込むことも簡単にできるんですね。
――日本を訪れる外国人の方にもお使いいただけそうですね。
岩本:現時点では日本語がわかる方向けですが、この後の展開として、インバウンドの方にも使っていただけるようになれたら。観光客の方や日本に住んでいる外国人の方に実際お話を聞くと、よく行くお店がどうしても限られてきてしまうらしいんです。飲食店はたくさんあるので、もっと食文化を体感してほしいんです。
弓月:海外の方が投稿する(ネット上の)掲示板に、「日本で蕎麦屋に行ったが、10割蕎麦や板わさなどの(通な)メニューも体験してみたかった」という後悔の書き込みを見かけたことがあります。従来の検索方法ではなかなか難しかったのかもしれませんが、「UMAME!」ならマッチングできるかもしれませんね。
――「UMAME!」をはじめとした、ぐるなびにおける生成AI活用の展望や期待することは?
岩本:ユーザー様はもちろん、飲食店様がお店をもっとよりよくしていくためにサポートできるシーンはいくらでもあります。「UMAME!」で得られるデータや開発技術を活用しながら、AIの進化とともに外食産業を変えていきたいです。
弓月:ぐるなびさんは、お店に寄り添って膨大なデータを集めていらっしゃる会社という印象があるので、ユーザー目線に立って寄り添うことができるのではないでしょうか。外食産業の方にとっては代替となり、かつユーザーもストレスなく使える未来が待っているのだろうとワクワクしています。
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「UMAME!」の正式リリースは、2025年夏頃を目指しています。今後は食体験の記録ができるジャーナル機能などを提供予定です。訪れたお店を地図でマーキングしたり、ソーシャルメディアと連携したり、画像を投稿・保管したりといった記録がAIで簡単にできるようになります。「アプリを通じて食体験の記録を、思い出がよみがえるような形で作っていきたいです」(岩本CTO)。順次、Android版のリリースも行われます。まずはiOS版のβ版にて、飲食店探しの新しい技術を体感してみてください!