アラジン ブルーフレーム 15型後期デラックス
古いストーブ、アラジンの15型後期デラックス(H42206)を使っています。1960〜66年頃のストーブです。自分用のメモを兼ねて雑感を書いてみます。情報の断片がどなたかの参考になればうれしいです。
僕の場合は、アラジンのぽってりとしたタンクの造形に惹かれました。購入前から、買うならぽってり、ぽってりじゃないモデルなら別にアラジンじゃなくてもいいと考えていました。また、カスタマイズして使いたいと思っていたので、イジるにあたって躊躇しなくてもいいような、なるだけ外見のボロい個体の方が、で、その分お安い方が助かるという心持ちで探していたところ、いい塩梅に使い古された15型(ぽってりは15型のみの仕様)を古道具屋さんで見つけて購入しました。
この15型後期デラックスの「デラックス」についてですが、15型から38型までのモデルには、必ず、無印とデラックス、2種類の製品ラインが用意されていました。両者の違いは以下の3点と言われています。
購入した時点で、フレームのクロムメッキは全体に錆びが浮いてメッキ感はほとんど残っていませんでした。チムニーに窓が前後に2つある点は、青い炎を見て愉しむという点で有利だと思います。ただ、このストーブをいい雰囲気にしてくれているポイントは「デラックス感」ではなくて「15型感」なのかなと僕は感じています。15型に特有な「タンクに垂直に直付けされたノブ」や15型後期の特徴である「8本脚」、あと15型〜16型前期までの「カーブのあるハンドル」あたりです。これらの特徴はデラックスに特有のものではなく15型の特徴です。
タンクを真鍮むき出しにした
燃料タンク全体が真鍮で作られているのは15型までです。15型の後期でも、ノブが丸ノブから八角形ノブに変わった、後期のなかでも中期・後期にあたる個体は、タンクの上半分が鉄製、下半分が真鍮製という、16型の仕様を先取りしている場合があります。タンク全体をまるっと真鍮むき出しにしたい場合は、注意が必要だと思います。上半分が鉄製に変更されたタンクの塗装を剥ぐと、上半分が銀色、下半分が真鍮色になります。剥離作業の前に、タンクにマグネットを当てるなどして、塗装の下が真鍮なのか鉄なのかを確認した方がいいと思います。(補足 : 八角ノブの付いた15型後期であってもタンクの上下とも真鍮製の場合もありそうなので、やはり現物で確かめるに越したことはないと思います。)
塗料の剥離作業には「アサヒペン 塗料はがし液」という薬剤を使いました。この液をタンクに塗ったくって20分ほど置いた後に、ヘラのようなものでこそぎ取るという流れです。2、3回に分けて作業してスムーズにすべて剥がせました。はがし液を使うと、塗膜がデローンと剥がれてくれるイメージを持っていましたが、そうではなかったです。塗装がちょっと柔らかくなる程度で、塗膜の除去にはこする作業が要りました。剥離後の真鍮は、磨けば磨いただけ光沢はでますが、ちょっと鈍いくらいが好きですね。
綿芯をガラス芯に交換した
昔も今もアラジンが綿芯を採用しているのは、おそらく消耗品として純正の芯をユーザーに販売するためなのだろうと思っています。綿芯を使うと燃料切れ時に芯の空焚き状態になり黒煙が上がってしまう点が一番のデメリットだと思っています。あんなアバウトな燃料計(いやまあかわいいんですけど)しかついてないクセに、燃料が切れたらもれなくススを吐くなんて、僕にはちょっとシビア過ぎる…。合わせて、綿芯についてまわる、芯の交換やカットなどのメンテに費やす手間も減らせたらなと思いまして。ガラス芯に交換すると、理屈上は永遠に使えますし、なにより燃料切れ時の芯の空焚きは、芯先に付着するタールなどを焼ききるための推奨される工程となり、総じてラク。
僕は、コロナの替え芯「KT-10」というガラス芯を流用しています。15型アラジン純正の綿芯に付いている、芯を上下させるためのアームと芯を接続するためのチョボを取り外して、コロナの替え芯「KT-10」に取り付けて、そのまま入れ替えて使っています。簡単です。
流用元のチョボについてですが、アラジン用の綿芯として販売されているサードパーティ製の替え芯の中には、チョボが芯の内側と外側の両方を貫通してガチャッと強固にカシメられているモノもあります(下の画像参照)。このタイプの芯からはチョボを流用すると少しめんどうだと思います。僕が使ったのはアラジンのオリジナル芯から取り外したチョボで、爪を芯の外側から内側方向に突き刺して固定されているタイプです。爪が刺さっているだけなので、こちらの方が、流用元の芯から取り外しやすく、流用先の芯にも取り付けやすいです。
また、よく言われることですが、点火した時に、綿芯とガラス芯では、ブルーフレームのおもむきが少し違います。綿芯の方が丸みのある濃い青い炎で燃え、ガラス芯は、シャープな形状で少し薄い青色の炎が出る傾向があります。炎の「らしさ」で言うと綿芯に分があるのは間違いありません。僕は、芯に関しては、コスパも含めた利便性を優先してみました。わかりにくいかもしれませんが、この記事の1枚目、2枚目にある購入時のデフォルト状態の画像だけが綿芯の炎です。青々と丸みを帯びてます。
ノブで芯を上下させることはない
芯は、最適なブルーフレームで燃焼する位置で固定して使っています。普段の生活でノブを使って芯を上下させて調整する機会はほぼありません。消火時は、フタを開けて上から息で吹き消しています。吹き消す方法だと、ノブで芯を下げて消火する際に起こりがちな、芯が下がりきらずにこっそり燃え続けてしまう系の失敗も起こらないので、そうしています。消火時に芯をいちいち下げないので、当然、点火時に最適位置を探しながら芯を上げる必要もなく手間が省けます。ネットで古いアラジンを購入する際、多くの方がノブの操作で芯を正しく動かせるコンディションかどうかをやたらと気にしているように見えますが、使い方によっては、そのポイントは必ずしもキモにはならないです。私のこの15型後期デラックスも、芯を正常に上下させることができているかと問われると、そこまできびきび動いているわけでもありません。15型の芯を上下させる機構は、バラしてタンクの中を覗き込んだことのある方ならご存じの通り、驚くほどプリミティブでラフです。60年前の品にたどり着いておきながら、この機構に完動を求め過ぎるのは少しナンセンスなようにも感じます。
(追記)フタの取り外しは餃子ヘラ
(追記 : この記事にとてもアクセスが多いことを知って、ひとこと付け加えたくなりました。)フタの取り外しには、我が家では餃子のあんを包む際に使う金属製のヘラを使っています。家にあるモノの中で一番適していたってだけのことですが、サイズ感や硬さがちょうどいいです。
ガラス製のチムニーに交換した
ガラスチムニーを福井のガラス職人さんからネットで購入して、純正チムニーと交換しました。ガラス製のチムニーにすることによって、部屋の暖かさは体感で1.5倍くらいアップしました。もう純正には戻れないです。炎がよく見えることで、うっかりの消し忘れも減ります。ガラスチムニーを換装したことで、この15型で考えていたやりたいことはすべてやり終えました。あとはこの先、長く使ってあげたい。
アウトドアに持ち出したりはしない
真鍮製のタンクは思いのほかやわらかく、ぶつけるとすぐに凹みます。もうその点だけで持ち運びには不向きと言えます。15型はタンク内部が二重構造になっていないですし、不意に揺れると灯油漏れも起こしやすいでしょう。また、アラジンの炎は風にめっぽう弱いです。持ち運んで屋外で使ってもロクなことはないと思います。家の中で活躍しています。
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