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Valor 625 灯油ストーブ
イギリスのValor社製のビンテージストーブ、Valor 625を入手してレストアして遊びました。自分用の備忘録も兼ねてメモしておきます。情報の断片がいつかどなたかのお役に立つことがあればうれしいです。
おそらく1970年代に製造・販売されたと思われるValor 625は、アラジンなどと同じく灯油を燃料とするブルーフレームのストーブです。海外の中古サイトでたまたま見かけて、かわいいフォルムだなと一目惚れして入手しました。ヨーロッパ的な優美さもありつつ、ボテッとした田舎くささもあるような、簡素なデザインが秀逸だと思っています。濃ゆいアイボリーも良い。こういう正統派ダサカワ、好みですわ。せっかく出会ったので、できるだけ長く使ってあげたい。
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情報があまりなくて調べのつかない点も多いのですが、純正パーツの乗り入れ方などから判断して、Valor 625は、ブルーフレーム仕様でタンクが分離するValor 685のポータブル版といった位置づけのようです。サイズ感としては、家にあるアラジン15型より若干大きいです。また、同じValor 625であっても、チムニー正面のエンブレムの有無やタンク下部の通気穴のレイアウトなどの仕様が違う個体があることは、ネットの情報から把握しています。その辺りのことから、このValor 625は、仮に前期か後期かの二択で言うと、後期だと推測します。
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![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62985624/picture_pc_414c6f00a7f014c252447dffa913b5e5.jpg?width=1200)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62628951/picture_pc_b5888b1faf52269358163e8102e4db0d.jpeg?width=1200)
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![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62639653/picture_pc_adb6cdc3e180114046f3ce65e2774afc.jpg?width=1200)
ギャラリー周辺のサビ汚れがひどかったので、ざっとサビを落として、開閉のたびにサビがボロボロとこぼれる状態はひとまず回避しました。僕は「花咲かG ラストリムーバー」を使っています。ネジ類などの小さなパーツのサビ取りにも活躍してくれます。また、ギャラリーと台座の間に挟んである4本のバネがへたって、ギャラリーがフワッフワッになっていたので、新しいバネを自作して交換して良いチカラ加減に調整しました。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62639671/picture_pc_ebf25a929d3c95ae9acd830216bf57b6.jpg?width=1200)
芯は、ガラス芯に交換しました。自宅で使用するのがメインなので、やっぱり綿芯は使いにくいなと思っちゃいます。青い炎の色味とかかたちは綿芯の方が断然かっこいいんですけどね、便利さを優先しました。ガラス芯をつけると、ホルダーに付いているトゲトゲがうまく芯をホールドしてくれないので工夫しました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62628487/picture_pc_03c2ee08acb13fe76a4d57be8a3bd77e.jpg?width=1200)
芯ホルダーとガラス芯の固定には、タッカーの替え芯を切って使いました。芯ホルダー外側からガラス芯を貫通するようにタッカーの芯を突き刺して芯ホルダー内側でガラス芯を抱き込むように固定します。組み込み時、芯ホルダー内外のクリアランスはほとんどないので、特に芯ホルダー外側のタッカーの芯をしっかりとホルダーに沿わせる必要があります。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62628819/picture_pc_d6b3e61c053608d60817c904083ef495.jpeg?width=1200)
窓用のマイカ(雲母)もそこそこ傷んでいたので交換しました。マイカを交換するってだけのこと、なんでもない工程のはずが、ここで苦しんだんですよね…。窓枠を固定しているネジが外れない問題に遭遇しました。ネジと裏から留めてあるナットが完全に噛んでしまって外れてくれない。3日くらい粘ったんですがダメでしたね…。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62629633/picture_pc_799ba41b44a59e919e85c63655af3262.jpg?width=1200)
ナットを外すためにやったこと ①
・KURE CRC 5-56を浸透
・バーナーで炙る
・ハンマーで叩く
・KURE 凍結浸透ルブを浸透
ネットで調べて上記4種類くらいのことを複合させてトライし続けたんですが、びくともしなかったです。ハンマーで叩きすぎて窓枠が少し歪み始めたり、マイナスのねじ穴が徐々にナメてきたり、副作用にメンタルがむしばまれましたわ。。金属部分を凍結収縮させてサビに亀裂を入れて同時に潤滑剤を浸透させる「KURE 凍結浸透ルブ」には期待したんですが、成果は上がらず、ただ1本丸々使っただけでした。冷やして効果を得るには、もっとナット自体のサイズが大きい方がいいんだろうなと感じました、クルマのタイヤのホイールに付いてるナットのような。丸3日トライして、もうこれ以上やってもダメだろうなとネジを緩めて外すことはあきらめました。
ナットを外すためにやったこと ②
・ナットブレーカーでナットを壊す
市販されているナットブレーカー、ナットスプリッターなどと呼ばれる工具(こういう工具)を使って、ナットを壊してしまう作戦に出たんですが、これもダメでした。ナットは、円筒形のチムニーの内側の曲面にクリアランスなしで直接締め込まれていることと、工具自体の厚みが相まって、ナットにナットブレーカーの刃がうまく当たらないんですよね、ナットの上っ面を数ミリこする程度で。これでもだめかーって感じでした。
ナットを外すためにやったこと ③
・ナットを鉄工ヤスリでひたすら削る
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62628514/picture_pc_7c59c21d4d2724e27fb175297532e9c8.jpg?width=1200)
最終的に、ねじ頭からドリルで裏まで貫通させて壊してやろうと思ったんです。ただ、ネジとナットは、(外れないくせに)ねじ穴に対してぐらぐらでクルクル回ってしまうので、なんかしら工夫をしないとドリルでの穴開け作業はうまくいきそうもないことに気付いたんです。もう気持ちがキレてしまって、裏側から鉄工ヤスリでナットを削りました(涙)。ナットから飛び出していた分のネジはあらかじめ切り落として、ナットがペラペラになるまでネジごと削って(上の画像)、最後にニッパーでホジると壊れてくれました。マイカを替えるだけで何日かかっとるんや、、疲労困憊。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62984315/picture_pc_ca6db1cc488c424863bfffed2e4570e5.jpg?width=1200)
交換する新しいマイカは、トヨトミが純正のスペアパーツとして販売しているアリモノの窓雲母を購入して自分で切って使いました。下のリンクの商品を700円程度で購入して、オリジナルのサイズ分がキチキチで取れたので安く上がりました。あとは、それっぽいマイナスネジ(→このネジを選択)をセットして窓周りは完了。
ブルーフレームに関しては、特に苦労することもなくきれいに燃えてくれました。赤火が混じる箇所のガラス芯をちょこちょことカットする程度でいけました。Valor 625の熱量について、8500 BTU(英国熱量単位 British thermal unitの略)であるという情報を見かけましたが、オフィシャル情報由来かどうか未確認です。もしその数字が正しければ、素人計算で暖房出力(発熱量)は、2.48Kw(2143kcal / 時)くらいとなり、現行のアラジンよりも少し低目ということになります。実際、体感的には、ガラスチムニー仕様にした15型よりも、はるかに暖かいように思います。我が家でしっかり活躍してくれています。