「自分はできるのに」と思ってしまう人への温かい言葉が、ここにある -人生の勝算 前田裕二-
啓発系ビジネス書とは思えないあたたかさ。
挑発的なタイトルに期待した人は裏切られてしまうかも。
幼い頃から稼ぎたいという気持ちを持って取り組んで
仮説→トライアンドエラー を繰り返すようになったと言う著者。
とにかく稼ぎたい、お金を持って、自由になりたいと、強く思うようになりました
そんな彼の幼少期を語る言葉はとてもあっさりしていて、出版された後、どこかのイベントでご本人は
「幼い頃に体験した辛さをもっと濃く書きたかった」
とお話しされていたのも頷けるレベル。
ただ、お金を持てば自由度が増えることを知っている小学生の背景は察するに余りあります。
本書内に登場するUBS証券での先輩「宇田川さん」が著者本人よりもメインキャラ感を持って登場するあたりが、著者らしさなのかなぁと思います。
((ご本人との距離が遠い私が勝手に著者らしいと言って良いのだろうかというためらいもありつつ...。))
著者を凌ぐ存在感を持って描かれる宇田川さんの最初の一言
「勉強なんかいらないよ。とにかく人に好かれること。秘書でも、掃除のオバちゃんでも、受付の人でも、好かれなくちゃダメだ」
そのほか、
・個人でトップにたったら限界に気付いた。でもみんなと一緒なら地球だって動かせる
・できるのはみんな一緒で、自分よりも周りのために時間をかけることが全体の結果を上げていくことに繋がる
など。
学歴の良い人にありがちな
「自分はできるのに...」感の払拭方法が、ここにある。
優秀な人たちの塊の中では「優秀だから」という下駄は履けない。
じゃあ何が決め手になるのか。
それは、好かれること。
鏡の法則の要素「自分の態度が翻って相手の態度となる」も含まれていました。
自分が好意をみせたら相手も嫌悪感を抱きにくい。
「そんな基本的なこと」とわかっていてもなかなか自分の気持ちとして表に出すのは難しかったりする。
そして「この人のためなら力になろう」と思ってもらうことを目指す前に、まず自分が相手の力になりたいと思うこと。
相手の良いところ探しをすること。
自分の環境に疑問を思ったら、何度だって読み返したいのが私にとっては3章でした。
スマートな印象が強い前田さん。そんな彼が「泥臭い仕事を好むタイプ」と自らを評し、東東京出身の人を指名したというエピソードがすごく好きです。
自分の背景を知った上で、自分と同じ景色を同じ温度感で見てくれる人がいい。
彼が求めた条件は学歴ではなく、出身地だった。
ビジョンの共有可否は生きてきた背景だけで決まるわけじゃない。
でも、長く濃い時間を過ごす相手だからこそ、熱量の共有をするための時間は短く濃いことが見込める相手がいい。
私は中高一貫私立校の派手系学校だったので、派手なことに気力と時間を費やすことを厭わない人が大好きです。蛇足ですが。
さて、つらつらと話題作について、特に新しいこともなく書き連ねてきましたが、
ここでまだご本人の声を聞いたことがない方へオススメの読み方をひとつご提案。
一度読み終わったら、ぜひ2度目はご本人の音声が聞ける動画を見た後に読んでみてください。
私は前田さんと数人が登壇したイベントで本物を見たことがあるおかげで、脳内で本人の落ち着いた優しい声で都合のいいところだけ再生されて、楽しかったです。
ふふふ。