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はじめて買ったCDがわたしをアイルランドに連れて行ってくれた

初めてプレゼントで買ってもらったCDは、矢井田瞳(ヤイコ)の1stアルバム『daiya-monde』。

初めて自分のお小遣いで買ったCDも、ヤイコ。
2005年8月15日(ヤイコの日)リリース、5thアルバム『Here today-gone tomorrow』でした。

受動から能動へ

当時中学3年生だったわたしは、「自分のお小遣いを切り崩して買う」ことに緊張して、何度か行ったことがあるはずのCDショップまで白い床ばっかり見ながら歩いて行ったことを覚えています。

「中学生が初めてお小遣いで買うCD」は当時の自分にとって、とてつもなく大きかった様子。
自分で集めて保管しているヤイコちゃんのインタビュー記事の切り抜きは、このアルバムがリリースされた2005年頃のものが一番多かったです。

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わたし自身が振り返って思い出す記憶よりもずっと、"手作り保存記事ファイル"の丁寧さから"愛"を感じました。

2004-2005年頃はネット記事が普及しておらず、音楽雑誌とか紙の情報が豊富だったから、本体がとにかく大切。

ヤイコちゃんの記事を保存する際、切り取りをちょっとミスって記事本文や写真に切れ目が入っちゃわないようにと、超真剣に切り取っていた記憶がファイルを開けた途端にブワーっと蘇ってきました。

新しくリリースされた音源が一番大事だけど、プロモーションインタビューの情報も大切だったんですよね。大好きだからね。

「初めて自分でCDを買う」行動に現れているように、わたしの中学3年生時は「親に手を引かれて行く」から「自ら行動して、自分がしたいことをする」に変化する過渡期でした。


この年の年末は母親同伴を条件に、人生で初めてヤイコちゃんの武道館ライブにも行けました。その時に買ったライブグッズは未だに現役で、10年以上経った現在はエコバッグとして活躍してくれています。愛だよ。

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アイルランドの刷り込み

ヤイコちゃんの話に戻ると、彼女はデビュー直後からイギリスでも「YAIKO」名義でシングルリリース、レコーディング、ライブを行っており、そこから数年でアイルランドにも関心を寄せるようになっていました。

3rdアルバム『i/flancy』のレコーディングの一部はアイルランドで行われ、ジャケット写真もアイルランドで撮影されているし、5thアルバム『Here today-gone tomorrow』のレコーディングもアイルランドで行われていたりと、ヤイコちゃんのインタビューを追いかけていると何度も目に入る「アイルランド」の文字。

3年ほどかけて大好きなヤイコちゃんから「アイルランド」をすり込まれたわたしは「アイルランドに行ってみたい」とその中身を考えずに発言する中学3年生になっていました。

アイルランドに行って何かをするわけでもなく、とにかくヤイコちゃんが好きな場所へはわたしも行ってみたい!っていうだけ。アホですねー。

わたしが小学生の頃から両親の仲が悪かったためか、その時点ではそもそも海外に行ったことがありませんでした。
距離感も、行くための方法もわからない。無知ゆえの無鉄砲さ。


発言が現実になる重み

中堅の中高一貫私立校にありがちな「中学3年生でニュージーランド修学旅行」が、わたしの通っていた中学にもありました。

家族は海外に連れて行ってくれないけど、学校が連れて行ってくれる!
修学旅行のおかげで、人生初のパスポートを作りました。

👧「これがあれば!海外へ行ける!!!」
初めて手にした5年有効のパスポートを見て「この5年のうちにあと何回海外に行けるんだろうか」と考えたことを覚えています。

パスポートを手に入れてから、一層加速した「アイルランド行ってみたーい」発言。
口癖のように言い続けていたら、ある日母が「行ってきたら」と言いながら、保護者向け校内誌のアイルランド語学研修の欄を見せてくれました。

「えぇ!??こんなんあるの!?????知らなかった!!!!!!」

通っている学校は、中3・高1生を対象とした任意参加のアイルランド語学研修があったんですね。
本当に知らなかったので、見せられたときは仰天しました。今振り返ってもアホすぎる。

夢物語のつもりで言っていたことが、現実になる重みを初めて知った瞬間です。

こうなったら、行くしかない。
両親に対し「行く!」と改めて宣言。
ばたばたと行くための準備を整え、高1の夏、ばびゅーんとアイルランドへ飛んだのでした。


ほんとに来ちゃったアイルランド

英語もさっぱりなまま上陸したアイルランド。
まずはホームステイ先の家族にご挨拶!

まーーーたいした勉強もしてない時期でしたから、ホストファミリーとの英語での会話が弾まない。すぐにフリーズするか、辞書を開いちゃう。

「言っていることがわからなくても、目を見たらなんとなくわかるから」なんて気休めを間に受けて、ホストマザーの目を覗き込んでも
「すげー!ほんとに目の色がグレーだ」
の感想を持っただけで、何を言われているのかわからない。アホすぎる。

同じ家にホームステイをしていた10歳くらいのイタリア人の男の子と同レベルだったので、ホストファミリーよりもよく遊んでいました。クレヨンしんちゃんみたいな遊びや言い争いできゃっきゃしてましたね。

同じくホームステイしていた同い年のめちゃイケメンスペイン人男の子もいたのですが、彼よりも英語レベルが圧倒的に低いせいでお友達になりきれず。無念。


3週間の滞在期間中はプログラム通り午前〜昼過ぎまで語学学校に通い、夕方からは同じ学校のメンバーで遊ぶ生活。

学校のプログラムで来ているので、十数名の参加学生と付き添いの先生とツアーコンダクターで一緒に過ごし、夕飯の時間にホームステイ先に帰宅する、規則正しい健全な生活でした。

土日はコンダクターさんが組んでくれているプランに則って観光など。

「これがダブリンかー」とヤイコちゃんと共有する妄想にひたる余裕も持てず、たまにある限られた自由時間では同級生がはしゃいで向かう安いアパレルショップに付いて行って、なんとなく服を物色する程度の過ごし方でした。

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短期の語学研修あるあるなんですが、アイルランド現地の人との交流は少なく、「外国人との交流」面では語学学校のクラスメイトが一番接触が多かったですね。

語学学校はイタリア人が多く、アルゼンチン人と日本人が少し、くらいで構成されていました。

同じイタリア人といっても、各グループごとのキャラクターの違いに驚いたのを覚えています。

それなりにみんなと仲良くなって、別れ際にはメールアドレス交換をしたりなんかして、3週間の語学研修は終わりました。


アイルランドに行って得られたもの

この研修では「必要な準備をすれば、海外に行くことはできる」ことをわかったことが一番の財産でした。

行きたかったら行けばいい。それだけのことなんだと。

「いや、ヤイコちゃん関係ないんかーい!」のツッコミをはじめ、不完全燃焼だった部分はあります。

ヤイコちゃんを追いかけてアイルランドに渡ったくらいだから現地の音楽にもっと触れたかったし、「アイルランド人はふらっと歌ったりギターを弾き始める。それが皆上手い」の現場に出くわしてみたかった。
アイルランド名物のパブだって、お酒の飲めない未成年では立ち寄ることも出来なかった。
英語がもっとできたらホストファミリーから知らないことを教えてもらえたかもしれない。

そういった少しの心残りは「また海外に行ってやる」の種火になりました。

大学に入学してからは1年間バイト代を貯めて、1人でイギリス・ロンドンへ。
卒業旅行はアイルランド、ロンドンそれぞれで出会ったイタリア人の友人に会うためにイタリアへ。

どんどんフットワークは軽くなり、気付けば訪れた国は10を超え、誕生日にはFacebookで日本とは別の国に住む友人たちとメッセージのやりとりをする習慣がつきました。


初めて買ったCDがくれたもの

ヤイコちゃんを好きにならなかったら、あの時ドキドキしながらCDを買わなかったら、ぷらっと海外を訪れるわたしになれなかった。

初めて自分のお金で買ったCD、初めて自分から「行きたい」と言ったアイルランド、初めて自分でお金から含め全て準備をして行ったロンドン。

受け身じゃなくて、自分が動く。
やりたいことは、自分に嘘をつかずに真っ直ぐやる。

「CDを買う」
そんな小さな行動が、わたしに能動的になる楽しさを教えてくれました。

🧚‍♀️🧚‍♀️🧚‍♀️

元々のきっかけとなったヤイコちゃんは活動を続けてくれていて、2020年にはデビュー20周年を迎えました!

2020年10月14日には11枚目となるオリジナルアルバム「Sharing」をリリース。

10月31日には有観客&配信ライブもあります!
来場チケットは完売🎊したけれど配信ライブのチケットはまだ買えるので、「ヤイコ懐かしいなー」と思った方も、初めての方も一緒に楽しみましょー!


CD1枚買うのにもドキドキしていた少女は、妊娠してもぷらっとオーストラリアに行くような奴に育ちました。

妊娠が発覚する前は2019年秋にアイルランドに行く予定だったのですが、妊娠したため延期し、今もまだ行けていません。

また海外に行ける状況になったら、アイルランドを含めたヨーロッパ周遊したいなぁ。

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グルテンふり子
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