見出し画像

「暗黒面の寓話・#32:オッサン倶楽部」

(Sub:オッサンだって光になりたい、、、)

《暗黒面の寓話・#25:話が違う》の続編

「イヤぁぁぁ-~!」

スーパー・ゲッツの指令室に女性隊員の悲鳴が響き渡った。

「うわっ、キモっ」 、男性隊員からも口々に言葉が漏れる

火星でのソフィア合成獣との激闘を制した “俺達“ が帰還したのだ。

俺、アスカ・チンは2代目の光の巨人ウリトラマン・デイナだった。
これまで一人でウリトラマンとして怪獣と戦いながら地球の平和を守ってきた。

だが今回、ピンチに陥った俺を助ける為、TPCの権田参謀が一命を賭して光エネルギー・コンバーターに入り、“光” となって駆けつけてくれたのだ。
そのお陰で、“俺達” はソフィア合成獣を倒すことができたのだが、、、

肉体がなくなってしまった権田参謀はそのまま俺・アスカに同化してしまい “ゴンダ&アスカ”、改め “ゴンスカ” になってしまったのだ。

そして、、、

人間体に戻った “俺達“ の風貌は見事に ”二人の特徴” を反映したものになっていた。
もともと俺:アスカは若者らしい引き締まったスレンダーな体型のイケメン(一応)だったのだが、、

現在の俺達:ゴンスカには権田参謀の “特徴=ガタイのいい50代前半のオッサンの特徴“ が混ざりこんでおり、見た目的には40歳前後の中肉中背の微妙な見た目になってしまっていた。
身長も10cmほど低くなっているし、気のせいか体も少し臭う。

「いゃ~!?、、コレはですね、、、」、 「権田参謀が、、、」

事情を説明しようとした俺の肩を、“グッ” と大きな手がつかむ。
それはスーパー・ゲッツのヒビケ隊長だった。

「なにも言うな」、 「わかってる!」

「隊長!?」、 俺は目頭が熱くなった。
いつだって隊長は俺のよき理解者であり、オヤジのような存在だ。

「目立ちたがり屋で、意地っ張りのオマエが、、」
「権田参謀を受け入れたんだな!?」

「ならば俺達もソレを受け入れるぞ!」、 「なあ、みんな!?」

「そ、そ、、そうですね、、」
ヒビケ隊長の力強い語り掛けに、他の隊員たちは頷くしかない。

「グゎはははは!」、
その時、それまでと違う声色が “俺“ の口からとび出た。

「さすがヒビケ君!」、
「キミならすぐにわかってくれると信じていたぞ」

それは権田参謀の声色だった。

「チョ、ちょっと!、勝手に出てこないで下さいよ。権田参謀」

「アスカ!、、オマエはいろいろと思慮が足りんのだ」
「だが、これからはワシが指導してやるから安心せい!」

権田参謀はまったく俺の言葉を聞いていない。 この人は前からこうだ。

「い、いったい何をする気ですか?」

「うム!」、 「実はデイナの強化策を考えておるのだ」
「より手強くなってきたソフィア合成獣に対抗するための強化策だ!」

「それはいったい!?」、
それまで唖然としていたS・ゲッツのメンバーも一応注目する。

「うム!」、 「それはだな、、」
「共に光となって戦う戦士を集うのだ!!」

「ワシとオマエの二人だけでもあれだけ強くなれたのだ」
「より多くの “強き者” が集えばどれほどの力となれるか、、」

《おォオ!》、 指令室に感嘆のどよめきがわき起こった。

確かに、、“一理アル”、、その場にいた全員がそう思った。

“ニヤリッ”、 俺の意思とは別に俺の口元が笑顔になる。

「ヨ~し!、そうと決まれば善は急げだ!」
「え~と、そこの、、“マイ君“ だったかな!?」

「すぐに “オールTPC” で緊急案内を出してくれ!」
「内容はこうだ」

《求む!平和を護る意志あるモノよ》
《共に光の巨人となって愛する者のために戦おう!》
《ただし!40歳以上の独身男性に限る》

「チョ、ちょっと!、最後のヤツはなんなんですか?」
「 “40歳以上の独身男性に限る“、って!?」

「バカモン!!!」、
「命がけの戦いに、オンナ・コドモ、未来のある若者、家庭のあるヤツらを担ぎ出すわけにはいかんだろうが!」

確かに、、“一理アル”、、その場にいた全員がそう思った。

「じゃあ、、え~と、“マイ君“ 」、 「 ”ナルハヤ“ で頼む!」

「ら、らじゃー!」、
マイ隊員はすっかり権田参謀の勢いに飲まれてしまっている。

“チョ、ちょっと、、待って!!”、 俺はモウレツに焦った。

権田参謀だけでもムサクルシイのに、このうえTPC中のオッサンに押しかけられたら、たまったもんじゃない!
このままではデイナが “濃い目“ のオッサンの集合体になってしまう。
俺は思わず、”満員になった週末のサウナ“ を連想してしまった、、

“なんとかしなければ!?”

俺はワラにも縋りつく思いで、ヒビケ隊長の方も見た。
このひとなら、きっとなんとかしてくれるはずだ。

だが、、そこには、、

瞳を “キラキラ“ させながら、こちらを見つめているヒビケ隊長がいた。

忘れていた、、、そういえばこのひとも筋金入りの “熱血漢“ だった。

《なんと、ヒビケ隊長が仲間になりたそうに、こちらを見ている》
《仲間にしてあげますか?》
《はい/いいえ》

指令室に響きわたる権田参謀(俺)の笑い声を聞きながら俺は気が遠くなった。
何故こんなことになってしまったのか?

“助けて、ティンガ先輩”


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集