Misaki

多文化体験を通じてアートに魅了されました。日本と世界のアートを多角的に紹介し、その魅力…

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多文化体験を通じてアートに魅了されました。日本と世界のアートを多角的に紹介し、その魅力を発信します。

最近の記事

マティスのLet's Dance| Misakiのアート万華鏡

マティスとの出会い: 新たな人生の光明として  人生の後半を迎え、残りの人生に限りが見え始める。人生の儚さを実感するとともに、永遠の生命を有するアートに何らかの形でかかわってみたい。そんなとき、マティスの絵が、まるでダンスパートナーのように私を新しい世界へと誘ってくれた。  マティスの絵には、人生を一変させる力がある。それは色彩とフォルムが織りなすリズミカルな世界であり、見る者の心を解き放つ自由なダンスのようだ。1953年、マティス自身がこう語っている:  たしかに私た

    • 落合陽一の「鮨ヌル∴鰻ドラゴン」| Misakiのアート万華鏡

      人とAIの協働作品:うなぎドラゴン 鰻龍(うなぎドラゴン)は、「鰻屋」の御神体である。この作品は、AIが形を生み出し、人間が共同で3D構造を構成し、カリモク家具のCNC機械が削り出したものである。その後、カリモク家具の職人たちが丹念に仕上げ、塗装を施して完成したものである。鰻龍は、神仏習合の象徴として、八岐大蛇のように八体の鰻で構成され、その威厳を放っている。  ディテールへのこだわりもまた見事である。能装束は、1878年に千葉県佐倉市へと持ち込まれた竹生島龍神のものを再現し

      • 落合陽一の聖獣と仏 神仏習合の世界| Misakiのアート万華鏡

         落合陽一は何者なのか。大学の先生なのか、作家なのか、アーティストなのか。正式な肩書はよくわからない。従来の肩書や区分では表現しきれない多彩な活動を展開している。それは松岡正剛とほぼ似ている。落合陽一自体がもう職業なのだ。肩書など、もういらない。落合陽一自体が一つのブランドなのだ。と、感じさせてくれたのが今回の展示会だった。 鰻屋の入り口で聖獣が出迎えてくれる  京橋のBAG Brillia Art Gallery, 京橋のホワイトキューヴで展示会は開催されている。何もな

        • 山本容子さんの版画をみていると、どんどん世界がひろがるストーリーを感じます。この鳥は何を意味しているのか。謎めいていて、素敵な絵ですね。

        マティスのLet's Dance| Misakiのアート万華鏡

        • 落合陽一の「鮨ヌル∴鰻ドラゴン」| Misakiのアート万華鏡

        • 落合陽一の聖獣と仏 神仏習合の世界| Misakiのアート万華鏡

        • 山本容子さんの版画をみていると、どんどん世界がひろがるストーリーを感じます。この鳥は何を意味しているのか。謎めいていて、素敵な絵ですね。

          物語を紡ぐ銅版画家 ~山本容子版画展に見る文学との出会い~| Misakiのアート万華鏡

           トルーマン・カポーティの中編小説『クリスマスの思い出』を村上春樹が翻訳したとき、この小説の長さだけで一冊の本にするには、いささかムリがあると村上春樹は感じたようだ。そこで「大人のための絵本」というコンセプトが生まれた。  誰に絵を描いてもらうかという問題については、この小説世界に寄り添った絵を描ける人は山本容子さんしかいないと、村上春樹は考えた。出来上がってきた絵を目にして、村上はホッと安堵したという。彼女の絵には彼女自身の物語があり、一枚一枚の絵にイキイキとしたつながりが

          物語を紡ぐ銅版画家 ~山本容子版画展に見る文学との出会い~| Misakiのアート万華鏡

          早稲田大学国際文学館  村上春樹ライブラリーにて。版画家の山本容子さんの展示会が開催されていましたよ。

          早稲田大学国際文学館  村上春樹ライブラリーにて。版画家の山本容子さんの展示会が開催されていましたよ。

          心の中がギンギンに燃え続けてる/田名網敬一展(4) | Misakiのアート万華鏡

          記憶とアート  アートや本は、私たちの心のタイムマシンのようなもの。過去へタイムトラベルして、様々な経験を思い出すことができます。それは、過去の出来事だけでなく、自然の美しさや社会の出来事、人々の喜びや悲しみといった、さまざまな経験が心の奥底に刻まれているからです。過去の経験を思い出すことで、私たちは今を、より深く理解し、未来を想像することができるのではないでしょうか。  記憶と鑑賞、読書は、そのように密接に関係し、中世の絵画や書物もまた、記憶に寄り添って作られ、親しまれて

          心の中がギンギンに燃え続けてる/田名網敬一展(4) | Misakiのアート万華鏡

          田名網が初めてアメリカへ行った時には、アンダーグラウンドのカルト映画シリーズが流行っていた。ニューヨーク全体が、不健全な方向に向かっていくような雰囲気の時代。草間彌生がハダカでハプニングをやったりというのもその頃でした。国立新美術館 コラージュ作品 撮影:MISAKI

          田名網が初めてアメリカへ行った時には、アンダーグラウンドのカルト映画シリーズが流行っていた。ニューヨーク全体が、不健全な方向に向かっていくような雰囲気の時代。草間彌生がハダカでハプニングをやったりというのもその頃でした。国立新美術館 コラージュ作品 撮影:MISAKI

          田名網敬一の《Good Bye Marilyn》を観て感じること。昔の方が表現の自由があったのだな。このマリリンのセクシャルな表情がとってもいい。 国立新美術館 大型作品《Good Bye Marilyn》 撮影:MISAKI 

          田名網敬一の《Good Bye Marilyn》を観て感じること。昔の方が表現の自由があったのだな。このマリリンのセクシャルな表情がとってもいい。 国立新美術館 大型作品《Good Bye Marilyn》 撮影:MISAKI 

          『NO MORE WAR』 - 田名網敬一展(3) | Misakiのアート万華鏡

          「NO MORE WAR」 日本のポップアートを牽引した革新的なアーティスト、田名網敬一。 彼の代表作「NO MORE WAR」は、反戦という普遍的なテーマを、鮮烈な色彩と独創的な表現で描き出し、多くの人々の心を揺さぶりました。 本記事では、田名網氏の生い立ちから、この象徴的な作品が生まれた背景を探り、彼の芸術が現代社会に投げかける問いを考察します。 芸術への目覚めとアメリカ文化の影響 1936年、東京・京橋の服地問屋の家に生まれた田名網敬一。幼少期に経験した第二次世

          『NO MORE WAR』 - 田名網敬一展(3) | Misakiのアート万華鏡

          「金魚が映す戦争の記憶 - 田名網敬一展レポート(2) | Misakiのアート万華鏡」

          金魚が好き  国立新美術館にて開催されている「田名網敬一 記憶の冒険」展に行ってきました。この展示会では、田名網さんが綴る幼少期のエピソードと、最新作のインスタレーション《百橋図》で構成された「プロローグ」からスタートします。11もの章立てで膨大な創作の変遷を丁寧にたどり、最後はアートディレクションを手がけたコラボレーションアイテムの数々と、インタビュー映像が流れる「エピローグ」で締めくくられます。  国立新美術館の前には、大型作品《金魚の大冒険》が出迎えてくれましたよ。

          「金魚が映す戦争の記憶 - 田名網敬一展レポート(2) | Misakiのアート万華鏡」

          『抽象のラビリンスー夢みる色と形』 鑑賞/観賞/観照/Misakiのアート万華鏡

          前口上 夢ってせっけんの泡みたい。 ラビリンスって蛇の道みたい。では、友達って何みたい? 抽象は儚い幻影で、憂うつは無心になれば消え去るのかもしれない。 アートはすでに私の正体を明らかにした。 自分の中の別人を手繰り寄せることで、アートを楽しんだ。 アール・ブリュット(Art Brut) アール・ブリュットとは何か、ご存知ですか?あまり聞きなれない。広く専門的な美術の教育を受けていない人などによる、独自の発想や表現方法が注目されるアートとのこと。元々、フランスの芸術家ジ

          『抽象のラビリンスー夢みる色と形』 鑑賞/観賞/観照/Misakiのアート万華鏡

          「記憶の冒険者 - 田名網敬一の魅力を探る/Misakiのアート万華鏡」

          皆さん、こんにちは。Misakiです。 今日は、日本の現代アートシーンで再び注目を集めている、ある芸術家についてお話ししたいと思います。その人物とは、田名網敬一(たなあみ けいいち)さんです。アーティストとグラフィックデザイナーでもありました。 みなさんは、田名網敬一という名前を聞いたことがありますか?もしかしたら、その名前は聞いたことがなくても、彼の作品を一度は目にしたことがあるかもしれません。鮮やかな色彩と奇抜なモチーフが織りなす、夢と現実が交錯するような不思議な世界。

          「記憶の冒険者 - 田名網敬一の魅力を探る/Misakiのアート万華鏡」

          「ミュシャとスラヴ叙事詩」ミュシャ連載・第3回/ Misakiのアート万華鏡

          心の奥を見つめる象徴主義の思想 19世紀末、ヨーロッパの芸術界では、心の内面に焦点を当てた「象徴主義」が大きな流行となりました。文学、音楽、美術などさまざまな分野で、神秘的で内省的なテーマが注目され、数多くの作品が生まれました。この流れの中で、ミュシャの油彩画も象徴主義の代表作とされています。 そのため、ミュシャの版画と油彩画はまるで異なるジャンルのものとして扱われがちです。しかし実は、ミュシャが象徴主義に傾倒するきっかけとなったのは、彼の版画作品でした。彼のポスターに描

          「ミュシャとスラヴ叙事詩」ミュシャ連載・第3回/ Misakiのアート万華鏡

          アルフォンス・ミュシャの代表作「黄道十二宮」は、元はカレンダー、後にノベルティに。星座や月桂樹、日、ヒマワリ、月、ケシなどが描かれ、髪の渦巻きが視線を導く実用的デザイン。星座や季節のシンボルを配した女性像が特徴で、アールヌーヴォーの"生活の芸術化"を体現した作品。

          アルフォンス・ミュシャの代表作「黄道十二宮」は、元はカレンダー、後にノベルティに。星座や月桂樹、日、ヒマワリ、月、ケシなどが描かれ、髪の渦巻きが視線を導く実用的デザイン。星座や季節のシンボルを配した女性像が特徴で、アールヌーヴォーの"生活の芸術化"を体現した作品。

          「パリで咲いたミュシャの才能――ポスターアートの革命」ミュシャ連載・第2回 / Misakiのアート万華鏡

          大女優サラ・ベルナールとの出会い クリスマスの日、ミュシャは友人の代理で印刷工房で働いていました。34歳の彼はまだ無名でしたが、突然、当時の大女優サラ・ベルナールの舞台《ジスモンダ》のポスター制作の依頼が舞い込みます。サラはその美しさとカリスマ性で絶大な人気を誇るフランスを代表する女優。芸術家たちも彼女に魅了され、インスピレーションを得て作品を手がけていました。 ポスター制作の経験がないミュシャでしたが、他の画家が休暇中だったため、彼に依頼がまわってきたのです。大急ぎで仕

          「パリで咲いたミュシャの才能――ポスターアートの革命」ミュシャ連載・第2回 / Misakiのアート万華鏡