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寄稿文(Vol.12)「まずは、自分を満たしてあげることから。」Piece of Syria 代表中野さん
こんにちは、行元です。「GLOCAL CENTERって何をしてるの?」とよく聞かれます。大切な関係者のみなさんから語られることばを通じて自分たちを見つめていきたいと思いスタートしたこの企画。12回目は、本業は主夫で、Piece of Syriaの代表を務めておられる中野さんからの寄稿です。2022年夏、一時帰国中に高校生のグローカルシフトプログラムで講師も務めていただきました🌐
📝前回Vol.11はコチラ
それではどうぞ!
GCとの出会い
グローカルの行元さんとの出会いは、ソーシャルセクターのリーダーの集まりでした。
半年間のプログラムでしたが、在住しているケニアとの時差の関係で朝3時起きで参加した初回に寝癖たっぷりで顔を見せた僕のことを印象的に覚えてもらっていて、個別に連絡をいただきました。こっそり身支度しようとしていたんだけど、間に合わなかったのがラッキーでしたね!そして、行元さんの グローカル人材開発センター のイベントに最初はオンラインで、そして今年は対面で登壇をさせていただき、高校生・大学生にお話をさせていただきました。
特に対面ではグローカルのスタッフの皆さんが本当に素敵で、対面の良さも改めて感じた時間でした。
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本業は主夫!?
シリアを支援するNGOの代表ではありますが、本業は主夫です。コロナ前はUAEやトルコの駐在員をしながら活動をしていたのですが、コロナ禍以降の行き来が難しくなりました。
そのタイミングで、JICAの仕事をしていた妻のケニア駐在が決まり、NGOの仕事もオンラインでかなりできるようになった事から、随伴家族としてケニアで一緒に生活しています。
「国際協力夫婦」ですが、好きな地域が妻はアフリカ、僕が中東、と違うので、どこに住むのかはいつも悩みどころです。
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グローカルセンターが存在する意味、どんなNPO?
僕が高校生の時にグローカルセンターに参加していたら、どうなっていたんだろう?とワクワクしますね。今の自分に全く後悔もないですが、違う人生があった気がします。
人生を変えるのは「人との出会い」だと思っています。例えば、「夢を叶えるのが当たり前」だと思っている人に囲まれたら、夢を叶えるのが当たり前になります。ただ、大切なのは次の一歩。僕の場合は、国際協力をやりたいと志して大学進学を決めたものの、現場に行ったら本に書かれていた世界とは全く違う現実がありました。自分で踏み出した一歩の先にまで行ってほしい、って思います。
その上でも、グローカルセンターのプログラムに参加する仲間がいて、仲間が一歩を踏み出したのを見たりしたら、「じゃあ私も」ってなりやすいって思うんです。その意味でも、めっちゃでかいですね。
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GLOCALインターン生から一問一答!
ここで、インターン生から中野さんへの問いを🌟
❔三谷君よりQ①:「中野さんの原動力って何ですか?」
A:実は「がんばろう」って思ってないです。やるぞ!って意気込みを持ってやってない。だって、自分にとって活動を「やること」そのものは当たり前なものだから。メールだったり、書類作成だったりといった「作業」は「がんばろう!」って気合い入れてやってますが、シリアの活動は人生そのものなので、「やらない」や「やめる」が選択肢に出てこないんです。そんな活動に出逢えたのは、本当に幸運だなぁって思います。
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❔三谷君よりQ②:NPOの苦労ってなんですか?
A:資金集めです。それに尽きる!広報にお金をかけれる有名な団体にお金が集まりやすい傾向にあります。なので、しっかりと一人ひとりのご支援者の方々とつながりを持って「応援し続けたい!」と思ってもらえるような魅力的な団体に、そして僕自身になっていくことが大切だと思っています。
資金が増えればその分、一人でも多くのシリアの子ども達の未来を輝かせることができます。たとえば、1000円あれば15人の子ども達に1年分の教科書を送ることができます。
先日は高校生が文化祭でチャリティーグッズの販売と寄付集めをしてくれて、49440円を送っていただきました。シリアの幼稚園の50人の子ども達のバッグと筆記用具を届けることができる金額なので、とても大きかったですね。
💖現在挑戦中のクラファン!
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❔みぞよりQ①:「平和・幸せってなんだと思いますか?」
A:「平和」は「一人ひとりが考え続けるもの」だと思っています。よく平和の対義語として出てくるのは「戦争」ですが、画像検索してもらうとものすごく具体的です。戦車とか兵隊とか空爆とか。
一方、「平和」を画像検索すると、鳩やマークが出てきて、なんとなくイメージしにくい、抽象的なものが出てきます。
つまり「平和ってこうだよね」って言った時に、思い浮かぶものがバラバラってことなんです。だから難しい。「平和にしたい」って言っても、「じゃあ、どんな状態が平和なのか」って人それぞれになるんです。
僕が印象的な小説の一説に「最近世界で起きた戦争はみんな『平和』を大義名分に始めてるよね。『独裁者の打倒』だとか『大量破壊兵器の除去』だとか」「戦争は平和のためにやる。平和が大好きなやつらが、世界中回って戦争してるんだ」って台詞があります。(| 根本 聡一郎『プロパガンダゲーム』2017年、双葉文庫)
人それぞれだからこそ、「平和」という言葉が、戦争のための「武器」になるかもしれない、ということです。だから、僕らは「考える」ことをやめちゃいけない。考えずに「そうだそうだ!」と迎合するうちに、戦争に向かうかもしれません。
もちろん「戦争さえなければ平和である」なんてことはないです。ただ、僕は2010年3月までシリアに住んでいて、戦争の足音さえ感じない、平和で豊かな日常を過ごしていました。しかし、そのシリアで2011年3月から戦争が始まって、全てが変わりました。バイトや部活のサッカーを楽しみにしていた大学生が難民になりました。小学校の校庭がテロリストによって処刑場になりました。家族でご飯を食べるのが日常だった高校生が、「家族でご飯を食べるのが夢だけど、その夢は僕が生きている間には叶わない」と話していました。きっと、それは平和でも、幸せでもありません。戦争は確実に、平和や幸せを壊すものです。
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続)さて、もう一つの質問。
「幸せとは何か?」ですが、それは「気付くこと」です。
幸せに「なる」ことはできません。でも、今ある日常が幸せだと「気付くこと」はできます。
先ほどのシリアを例にとれば、「家があって難民にならなくていい」「家族と一緒に暮らせる」「空から爆弾が落ちてこない」ということって、幸せなことではないでしょうか。(そして、ほんの10年ちょっと前まで、シリアでは当たり前の日常だったことです)
ただ、幸せを感じる本当のコツは「誰かと比べない」ことです。理解されるものじゃなくていいんです。好きなアイドルの新曲を聞くことかもしれないし、アニメの最新話がめっちゃ面白いと思ったことかもしれない。比べた時に自分が最上級だと思った幸せが、ちょっとしょぼく感じちゃうかもしれないですしね。
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❔みぞよりQ②:「普通の一般人でもできるアクションはありますか?」
ーシリアに限らず、世界規模とか日本規模の自分ひとりじゃ解決できなさそうな問題等
A:まずは自分を満たしてあげることだと思います。
自分がしんどい時に、「誰かのために」だなんて思うのって厳しいじゃないですか。僕ならハッキリ言って無理です。自分が満たされたら、水からコップから溢れるみたいに、外に広がっていきます。そんなイメージです。
自分が満たされていないと「自己満足」のために他人を利用するようになります。「助けてあげてるんだからお礼を言ってよ」みたいに。
だから、まずは自分を満たしてあげてください。そしたら、めちゃくちゃ楽しそうに生きてる様子を見て「なになに?面白いことやってるの?関われるの、それ?」って声をかけてくれる人が出てきます。それが、「自分一人では解決できないこと」を一緒にやる仲間になってくれたりします。一緒にやらなくても、「ここは手伝うよ〜」とかも。
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中野さんよりメッセージ
無理をせず、自分自身をまず満たしてあげて、ぜひ人生を楽しんでください!そしていつか、平和なシリアへ、一緒に遊びにいきましょう!
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✉ゆきもとより
インターン生からのQ&Aにも真摯に答えて下さりありがとうございます。下記は中野さんが挑戦中のクラファンに寄せたメッセージです。
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等身大で高校生から社会人、そして国を問わずこんなにも人を惹きつける力を持っている人がいるんだなあ。と感動すら覚える中野さん。いつも自分を奥さんを大切にしながら、少女との約束を胸に自分との約束としてもシリアをいつか行きたい国にすると誓い行動し続ける姿に力をもらっています。
GLOCALの学生も目を輝かせて聞いていた姿が印象的でした。これからも楽しくコラボレーションをお願いします🌟