5/16「君の選択は"will"か、"can"か?」日立製作所サステナビリティ推進本部 北村様
突然ですが、みなさんは上記の問いを投げかけられた時にどのように答えますか?
先日、グローカル人材論特殊講義に日立製作所サステナビリティ推進本部より北村さんをお招きし、自身のキャリアの変遷を振り返り、大切にしている指針やこれからの挑戦、働くとは何かを大学生30名にお話いただきました。
「等身大の一人間が何を感じているかお話します」という言葉通り、90分間、真っすぐなお人柄を感じながらの北村さんのこれまでの歩みを追体験する贅沢な時間を過ごしました。
まず、学生たちに「日立と聴いてどんなイメージを浮かべますか?」という、問いからインタラクティブにスタート。一般に【日立=家電】のイメージですが、ヨーロッパの鉄道事業(イギリス)はじめ、日立の技術が国外で提供される状況や、新たな治療法である陽子線治療の技術、工場のデジタル化や倉庫の自動化、洋上風力などの再生可能エネルギーの送電技術など、日立が取り組む幅広い事業領域についてお話がありました。
次に「特許はみなさんにとって、どれくらい馴染みがありますか?」という問いが。北村さんが、これまでのキャリアで15年間という一番長期で携わられた【特許部】でのお仕事についてのお話をいただきました。特許とは、”技術的特徴を言語化する仕事“ 言葉の表現次第で価値が大きく変わることがあるとのことで、特許戦略の構築にも積極的に取り組まれ、世界における日本の製品企画、コトづくり、標準を創っていってる誇りを感じました。特許は、事業としての価値を保護し、国内はもとより世界で産業を成長させるために欠かせないものであり、知財分析をマーケティングの一助とするなど事業に直結した形で活用されているそうです。その他、他企業との特許侵害に関する訴訟やクロスライセンス交渉などリアルな具体事例を交えてお話いただきました。そうした折衝も欧州で行う際にはネイティブ同士、技術レベルだと英語で話せても、コトレベルだと言いくるめたもの勝ち。ですから国際標準化、自社の強みを生かすためにルール形成にも取り組まれています。特許について聞いたことはあるけれど「そういうことか」と誰もが深く腹落ちするような、普段私たちからは見えにくい重要な実社会でのエピソードをもとにお話をいただきました。北村さんのお話を通じた視点を携えて、技術革新を特許という視点で社会を振り返り眺めると見方が変わりそうです。
北村さんご自身は、米国の法律事務所にも半年間研修に行かれ、その後、有休を使い単身メキシコへ。まさにグローバルなフィールド゙でいかに日本というローカルの強味を活かし世界と対峙するかを探り、行動し続けられました。のちに、配属された環境事業成長戦略本部では部門立ち上げ、環境戦略のGX(自社と社会のW meaning)、環境事業、 気候変動枠組条約(COP)のジャパンパビリオンでの対応、JETROからの取材等多岐に渡る業務に携わられたそうです。
ここまでのお話を通じてもすでに伝わっていると思いますが、北村さんが 大切にされている、人生哲学の一つ目は、【Growth Mind*】で行こう!ということです。(*人の力は、経験や努力でどんどん伸ばすことができるという姿勢や考え)英語ができませんではなく、まずやってみる。仕事でメキシコに行けないのなら、自ら休みを活用しながら自分でいこう。
「できるかな?」ではなく、「どうやったらできるかな?」という思考。そして、フィードバックをもらう。本気でやっていたら人のフィードバックは自ずと必要になるという言葉が、胸に刺さりました。人間の脳みそのパターンには大きく2つ、フィードバックをどんどんもらう。仕事が自分事化されるとGROWTHになる、学生にも私自身にも大きく響いた思考法です。
国内外での数多のご活躍のエピソードからきらびやかに見える北村さんですが、幼少期からのお話や、学生時代や進路選択での葛藤や苦悩、実は、と学生たちを信じてパーソナルなお話や出来事もリアルにお話いただきました。それらを通じ学生と試みたのは、失敗の概念についてのアップデートです。
「失敗って何だろう?」糧となれば失敗ではない!物事には、どんなことにも裏表がある。そして、時代や出来事、自分ではどうにでもならないこともある。脳は怠け者、刺激で脱オートモード!刺激・変化、今からでも変われる。ポジティブにいること。北村さんの歩まれた道のりから、具体的に説得力を持って、その渦中では悲しくマイナスに感じることも過ぎ去れば、アクション次第ではポジティブ変換できるということを教えていただきました。
【働くとは何か?なぜ働くのか?】
ーもし働かなくていいよとなったら?
組織や会社は、自分がこうしたい自己実現、夢を実現するツール
学生時代、海外で目の当たりにされた風景は大学に、社会人学生が混ざり合っていたというエピソードから、日本の当たり前にとらわれず、いくつになっても学び続ける大切さと、日本は、凹んだところを引き上げようとするところがあるので、尖った個性がきちんと生かされる社会にしていきたいとの思いを語っていただきました。それには、まずは学生のみなさんが個性を知るところから。何に嬉しさや幸せを感じるのか?その個性を知り、自分がこうしたいという想いを持ち続け、組織や会社をその実現にいかに活用できるかという視点で考えると面白いというヒントをいただきました。
他にも心にのこった言葉として、人生時計「死ぬのが夜中の0時、人生を24時間だとしたら、まだみんな朝7時です」と。これもインパクト大でした。今からアクション次第で変われるんだと誰もが勇気を頂きました。
これからの挑戦:社会貢献、寄附、そのための戦略
こうした授業含め、社内だけではなく広く次世代の人財の育成と、人権へのコミット(人権侵害の防止、対策)に取り組まれていることから、CSRは企業の本質的業務に組み込んでこそ意味があることを痛感しました。そして、Voice of Youthの取り組みを通じて、 若い感性で、変わっていかないといけない文化を変えていきたいということが語られました。「Youthである学生皆さんの声が求められている」という言葉と共にYouthの関りしろをつくり、共に描き、アクションすることで達成される未来について語られました。 GLOCAL自身も大切にしていることなので、Youthがpartnerになる未来をみたいです!
最後に、北村さん自身の就業観と、成し遂げたいことを宣言頂き会を終えました。
CHO/ CFO(最高幸福責任者、最高未来責任者)の実現
いいことが評価軸となる世界の実現への貢献
前述の通り、サステナビリティを追求していく上でYouthの声、学生たちの素直な見方とつき合わせていく。 CHO/ CFO イノベーションの原点としてのサステナビリティのコーポレート視点での実現、いいことが評価軸となる世界の実現への貢献(=POST資本主義)について宣言がなされました。
ご自身のお人柄から、この授業を含め、セレンディピティ(偶然を引き寄せる力)をひしひしと感じました。終始インタラクティブに進めていただき、あっという間の90分でした、心より感謝申し上げます。
組織人でありながらも一人間として、学生とフラットに向き合われる姿勢、そしてどんなできごともポジティブ変換する人間力。GLOCALも学生と共に、コンフォートゾーンを抜け出し、willをもって選択していきたいです。そして、私たちのwillとしても、CHO、CFOのYouth実現今後のコラボレーションも楽しみにしています✨
グローカルセンター 代表理事
行元 沙弥