[解説と設問を発表]経済格差と福祉国家の再構築【英語で学ぶ未完の資本主義】第5回10/20(日)20時@オンライン
2024年9月から始まった新しい講座&ワークショップ「未完の資本主義」。第5回は経済格差と福祉国家の再構築について英語で議論。
2024年9月から始まった「未完の資本主義」に関するワークショップのお知らせです。2024年10月20日(日)夜20時@オンラインで開催するワークショップ第5回は書籍「英語で理解する未完の資本主義」内でポール・クルーグマン教授が「経済格差と社会・国家」について述べている部分(P26-29)を使い、経済格差とその是正を目指す、新しい福祉国家のあり方について英語で議論します。設問は次のセクションの内容も踏まえた形で設定しますので、書籍の購入がまだの方も、ぜひご参加ください。このワークショップの解説と設問を発表します。
経済格差と福祉国家の再構築【英語で学ぶ未完の資本主義】第5回10/20(日)20時@オンライン
今回は「未完の資本主義」でポール・クルーグマン教授が述べている経済格差の是正、特に今多くの国で起こりつつあると見られている、ごく一部の富裕層が政治や経済を独占する社会のあり方への警告について、英語で議論します。
10月の日本での衆議院選挙、そして11月の米国の大統領選双方で選挙の重要な争点となっているのが経済政策です。より正確には国の経済そのものの成長ではなく、中流・中間層の底上げです。これは英国でも事情は同じですし、フランスやスペインでも同様の問題を抱えています。日本では、この30年、米国ではレーガン大統領の時代の1980年代以来、多くの製造業の拠点が海外へ移り、また同時期に労働組合の組織率が減少を続けています。英国でもやはり、サッチャー政権による労働組合潰しが映画「リトル・ダンサー」や「ブラス!」などで、登場人物の行動に大きく影響する時代の重要な社会的背景として度々描かれています。
リトル・ダンサー
ブラス!
また、共和党の副大統領候補、J.D.ヴァンス上院議員も、もとは繁栄から取り残された中西部の白人労働者階級の悲哀を自伝として発表し有名になったのです。
ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち
米国の経済的分断に関しては、トランプ大統領誕生に大きな影響を与えたラスト・ベルト(Rust Belt)を含むWisconsin, Iowa, Michigan, Ohio, Pennsylvania州などのトランプ氏支持者を丹念に取材した「ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く」があります。
ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)
そして、これらの州は、今回の米大統領選でも、次期大統領が誰になるかのカギを握るswing states(激戦州)です。
What are the current swing states, and how have they changed over time?
日本でも中曽根康弘元総理の時代の1987年に行われたわが国の交通、電話、などのインフラを担ってきた旧公社の民営化により労働組合はその力を失いました。
Why is populism so unpopular in Japan?
その結果はどうだったでしょうか。戦後の日本は、経済的に平等な国として知られていましたが、1980年代の規制緩和、そして1991年の資産バブル崩壊により、経済格差はじわじわと広がりました。そして、2000年代半ば以降、小泉純一郎政権下での労働者派遣法などの規制緩和により、経済格差はさらに拡大しました。WORLD INEQUALITY REPORT 2022によれば、日本では国民の上位10%が総所得の44.9%、資産の57.8%を占めています(p.205-206)。
WORLD INEQUALITY REPORT 2022
https://wir2022.wid.world/www-site/uploads/2021/12/WorldInequalityReport2022_Full_Report.pdf
選挙の争点になるのが遅すぎたくらいですが、格差を無くすための日本の経済政策はどうあるべきでしょうか。ポール・クルーグマン教授の考察は、そのヒントを与えてくれています。
経済格差について考える、このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材としては、書籍を利用しますが、上記の記事も参考資料とします。
日時: 2024年10月20日(日)20時~21時30分
場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~
【チケット】
チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。
経済格差と福祉国家の再構築【英語で学ぶ未完の資本主義】第5回10/20(日)20時@オンライン
【銀行振込での申し込み】
振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。
このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去の【英語で学ぶ大人の社会科】ワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。
【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会
【未完の資本主義】
2019年に出版されたインタビュー集『未完の資本主義』。その特徴は、現代社会で「知の巨人」たちと呼ばれる気鋭の識者7人に、「テクノロジー」と「経済」の観点から今後の資本主義の行く末について尋ねる内容となっています。
未完の資本主義:テクノロジーが変える経済の形と未来
今回新たに、この書籍の英語版の内容と関連記事について月2回のペースでワークショップを開催していく予定です。以下、それらの識者のラインナップです。
◆ポール・クルーグマン(ノーベル賞経済学者)――我々は大きな分岐点の前に立っている
◆トーマス・フリードマン(『フラット化する世界』著者・NYタイムズコラムニスト)――「雇用の完新世」が終わり「人新世」がはじまる
◆デヴィッド・グレーバー(文化人類学者・ウォール街占拠運動の理論的指導者)――職業の半分がなくなり、「どうでもいい仕事」が急増する
◆トーマス・セドラチェク(『善と悪の経済学』著者・チェコ共和国経済学者)――成長を追い求める経済学が世界を破壊する
◆タイラー・コーエン(ジョージメイソン大学教授・経済学者)――テクノロジーは働く人の格差をますます広げていく
◆ルトガー・ブレグマン(ジャーナリスト・歴史家)――ベーシックインカムと1日3時間労働が社会を救う
◆V・M=ショーンベルガ―(オックスフォード大学教授・ビッグデータの第一人者)――「データ資本主義」が激変させる未来
英語版の書籍はこちらです。今後、参加を希望される方は、以下の書籍を購入してください。特にグローバル経済について学びたい方に、うってつけのワークショップです。
英語で理解する未完の資本主義
「インタビューの英語書き起こし」「日本語訳」「用語解説」「7人のインタビュー音声」をまとめた、「英語を学びながら、英語で学べる」1冊です。英語を使って勉学・仕事をしたり、最先端の知に関心のある人におすすめの内容です。
【解説】
2024年のノーベル経済学賞が発表されました。世界の所得格差と社会制度の関係を示したMITのダロン・アセモグル(本来の発音はアジェムオールが近い)教授、サイモン・ジョンソン教授、米シカゴ大学のジェイムズ・ロビンソン教授の3人が受賞しました。
アセモグル教授は「21世紀の資本」で世界的に有名になったトマ・ピケティ教授と同じく、The London School of Economics and Political Science (LSE)で博士号を取得しています。LSEのアカデミックな伝統は、1864年の設立以降、社会民主主義運動をけん引したThe Fabian Societyと、戦後の英国をはじめとする先進国の福祉国家の建設に多大な影響を与えた「1942 Beveridge Report」に負うところが大きいと言えます。
世界的な経済格差が進展する中で、貧富の差と政治・社会制度の関連性に焦点をあてた研究が注目されるのは、時代の趨勢なのでしょう。くしくも、10/17は 貧困撲滅のための国際デーだそうです。
International Day for the Eradication of Poverty, 17 October
第二次大戦後、多くの先進国が、公教育の拡大、最低賃金制度の導入、労働基準法の確立、労働運動の活発化、累進課税制度の強化などの経済政策を推し進めました。中間層の拡大による国内市場での需要の創出、いわゆる「中流社会」の出現が、日本をはじめ、先進国で「豊かな社会」を築き上げたことは、紛れもない歴史的事実です。その転換点が1980年代から始まる、新自由主義の経済思想の勃興です。
最低賃金の歴史
ここから先の情報、設問はイベントへの申込者、サロン/メンバー/有料ニュースレター会員、note記事購入者に公開します。
このワークショップに関心のある方は以下のニュースレター@Substackに登録していただくと案内が届きます。
【英語で学ぶ現代社会】を無料ニュースレター@Substackで購読しませんか?
ここから先は
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が参加している募集
サポートして頂いた資金は、ワークショップやブログ記事の準備費用に充てたいと思います。今後もグローバル・イッシューに関するトレンドを逐次紹介していきます。