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[解説と設問を発表]平均的な時代の終わりと生涯学習【英語で学ぶ未完の資本主義】第9回12/15(日)20時@オンライン

2024年9月から始まった新しい講座&ワークショップ「英語で学ぶ未完の資本主義」。第9回はトーマス・フリードマン「フラット化する世界」での主張をもとに21世紀のグローバル経済と生涯学習について英語で議論。


2024年9月から始まった「英語で学ぶ未完の資本主義」に関するワークショップのお知らせです。2024年12月15日(日)夜20時@オンラインで開催するワークショップ第9回は書籍「英語で理解する未完の資本主義」で、3度ピューリッツア賞を受賞したジャーナリスト、作家のトーマス・フリードマン氏が「平均的な時代の終わりと生涯学習」について述べている第2章の3-4番目のセクション(P52-57)を使い、英語で議論します。設問はこの記事の以下のセクションの内容も踏まえた形で設定しますので、書籍の購入がまだの方も、ぜひご参加ください。このワークショップの解説と設問を発表します。

「平均的」な時代の終わりと生涯学習【英語で学ぶ未完の資本主義】第9回12/15(日)20時@オンライン

2005年に発表後、全世界でベストセラーとなり、その後も2度にわたって内容が大幅に更新されたトーマス・フリードマン氏の著作「フラット化する世界:経済の大転換と人間の未来」での議論を取り上げます。今回はその第3回です。

フラット化する世界: 経済の大転換と人間の未来

以下は英語版の著書の紹介です。

The World Is Flat, 3.0
A Brief History of the Twenty-First Century

私たちは、一世代で過去三世代分の技術革新を経験して来た、とフリードマン氏は「未完の資本主義」内のインタビューで答えています。ここ数十年の間、もはや10年単位くらいで、その前の時代の技術は、すっかり古ぼけたものとなってしまったのです。いまや、私たちは、ほんの少し前のTVドラマなどを見ても、そこに出てくる機器や設定に違和感を持つようになってしまったくらいです。

そして、これらの猛スピードの技術革新によってもたらされたものが何かというと、これまで私たちが当然のものと見做し、追い求めてきた「平均的な」仕事、価値観、生活様式の消滅です。日本ではバブルが崩壊した90年代前半くらいまで、米国や欧州では70年代初めくらいまで、特別に大卒の資格がなくとも、工場や下級の事務職に就けば、男性は一家を養えるくらいの収入を得ることが可能でした。現代でも、年金をはじめとする、多くの政策や社会・経済の価値観は、このモデルから完全に抜け出すことができていません。

この社会モデル(The Male-breadwinner Family Model)では、一家の稼ぎ手である男性は外でバリバリ働き、その妻は仕事を得ていたとしても、就労時間は短く、多くの時間を子どもの養育や両親のケアに注いでいます。そして、多くの国で半世紀前までは、このモデルに従えば、その世帯は住宅や自家用車を購入でき、日本でいうところの「中流」(注:大卒資格がなく、工場などで働く労働者階級に属する人々を欧米では通常、中流とは呼称しない)、欧米では「平均的な」暮らしを営むことが可能だったのです。

The Slow Decline of the Male-breadwinner Family Model in Contemporary Japan and Its Ramifications for Men’s Lives

https://www.jil.go.jp/english/jli/documents/2020/020-02.pdf

ほとんどの先進国の産業、社会、教育政策はこのモデルに沿っていたのですが、グローバル経済の進化とテクノロジーの飛躍的な発展は、従来の平均的な世帯や成功モデルのあり方を破壊しました。米大統領選をはじめ、各国で政治的な混乱が生じているのは、これまでの社会・個人のありかたとグローバル経済モデルとの衝突と捉えることができます。この社会の大激変への対応策として、フリードマン氏は、「生涯学習」を薦めていますが、この変化に最も適応できていない教育政策を採用してきたのが日本であることは、各種調査から明らかになっています。

日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低

グローバル経済と生涯学習について考えるこのワークショップの詳細は以下のとおりです。教材としては、書籍を利用しますが、下記の記事も参考資料とします。

Interview with Thomas Friedman

https://www.britishcouncil.org/research-insight/interview-thomas-friedman

Historical Origins of the Male Breadwinner Household Model: Britain, Sweden and Japan

https://www.jil.go.jp/english/JLR/documents/2014/JLR44_saito.pdf

日時: 2024年12月15日(日)20時~21時30分
場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~

【チケット】

チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。

「平均的」な時代の終わりと生涯学習【英語で学ぶ未完の資本主義】第9回12/15(日)20時@オンライン

【銀行振込での申し込み】

振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。

このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去の【英語で学ぶ大人の社会科】ワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。

【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会

【未完の資本主義】

2019年に出版されたインタビュー集『未完の資本主義』。その特徴は、現代社会で「知の巨人」たちと呼ばれる気鋭の識者7人に、「テクノロジー」と「経済」の観点から今後の資本主義の行く末について尋ねる内容となっています。

未完の資本主義:テクノロジーが変える経済の形と未来

今回新たに、この書籍の英語版の内容と関連記事について月2回のペースでワークショップを開催していく予定です。以下、それらの識者のラインナップです。

   ◆ポール・クルーグマン(ノーベル賞経済学者)――我々は大きな分岐点の前に立っている

 ◆トーマス・フリードマン(『フラット化する世界』著者・NYタイムズコラムニスト)――「雇用の完新世」が終わり「人新世」がはじまる

 ◆デヴィッド・グレーバー(文化人類学者・ウォール街占拠運動の理論的指導者)――職業の半分がなくなり、「どうでもいい仕事」が急増する

 ◆トーマス・セドラチェク(『善と悪の経済学』著者・チェコ共和国経済学者)――成長を追い求める経済学が世界を破壊する

 ◆タイラー・コーエン(ジョージメイソン大学教授・経済学者)――テクノロジーは働く人の格差をますます広げていく

 ◆ルトガー・ブレグマン(ジャーナリスト・歴史家)――ベーシックインカムと1日3時間労働が社会を救う

 ◆V・M=ショーンベルガ―(オックスフォード大学教授・ビッグデータの第一人者)――「データ資本主義」が激変させる未来

英語版の書籍はこちらです。今後、参加を希望される方は、以下の書籍を購入してください。特にグローバル経済について学びたい方に、うってつけのワークショップです。

英語で理解する未完の資本主義

「インタビューの英語書き起こし」「日本語訳」「用語解説」「7人のインタビュー音声」をまとめた、「英語を学びながら、英語で学べる」1冊です。英語を使って勉学・仕事をしたり、最先端の知に関心のある人におすすめの内容です。

【解説】

先日の記事の【解説】部分でも触れましたが、大人の学力・思考力である「成人力」を測る国際調査の最新結果が発表され、注目を集めています。

[解説と設問を発表]進化するグローバル経済の中で日本は何をすべきか?【英語で学ぶ未完の資本主義】第8回12/13(金)20時@オンライン

OECD国際成人力調査(PIAAC:ピアック)は、OECD(経済協力開発機構)が中心となって実施する国際比較調査のひとつです。文部科学省によれば、この調査は、参加国の成人(16~65歳)が持っている、知識や情報をどのように理解し、かつ利用できるかを測る「成人力」を調べるのだそうです。成人力とは聞き慣れない言葉ですが、この調査では以下のように定義されています。

知識をどの程度持っているかではなく、課題を見つけて考える力や、知識・情報を活用して課題を解決する力など、実社会で生きていく上での総合的な力のことを「成人力」と位置付けています。

文部科学省

The Programme for the International Assessment of Adult Competencies (PIAAC) の調査はこの成人力を測り、その力と社会的・経済的成果との関係などを分析することを主眼としています。

ここから先の情報、設問はイベントへの申込者、サロン/メンバー/有料ニュースレター会員、note記事購入者に公開します。

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