[解説と設問を発表]未来の労働:AIとベーシック・インカム【英語で学ぶ未完の資本主義】第4回10/8(火)20時@オンライン
2024年9月から始まった新しい講座&ワークショップ「未完の資本主義」。第4回はAIの発展とベーシック・インカムが社会に与える影響について英語で議論。
2024年9月から始まった「未完の資本主義」に関するワークショップのお知らせです。2024年10月8日(火)夜20時@オンラインで開催するワークショップ第4回は書籍「英語で理解する未完の資本主義」内でポール・クルーグマン教授が「AIとベーシック・インカム」について述べている部分(P20-25)を使い、テクノロジーと未来の労働との関連性について英語で議論します。設問は次のセクションの内容も踏まえた形で設定しますので、書籍の購入がまだの方も、ぜひご参加ください。このワークショップの解説と設問を発表します。
未来の労働:AIとベーシック・インカム【英語で学ぶ未完の資本主義】第4回10/8(火)20時@オンライン
「未完の資本主義」では著名な知識人に現代社会、特に資本主義経済における人間と社会の関係性について、テーマを設けず自由な形でインタビューをしています。そのため、議論が複数の課題に及んでいます。また、彼らの学問的な知見や経験も多岐にわたるため、同じテーマでも問題に対する視点や将来予測、課題の解決法にもかなりの相違が見られます。
なかでも、最も意見の分かれたテーマが「ベーシック・インカム」です。ポール・クルーグマン教授は財政的な観点や働く意欲等の問題からベーシック・インカムの導入には否定的ですが、著書の後の章で出てくる、文化人類学者のデヴィッド・グレーバー教授や歴史家のルトガー・ブレグマン氏はむしろ、「ベーシック・インカムは資本主義の成果」であり、人間らしい生活を取り戻すための好ましい選択肢だと考えています。
これはキリスト教的勤勉の精神が結果的に資本主義の発展に寄与することになったと説いたマックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」とは真逆の発想ではないかと思いました。
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
日本でも欧米でも、私たちは「働くこと」、特に金銭的対価を得て働くことが「社会への貢献」であると信じ込まされてきました。日本語の「公と私」では、「公」はたいてい社会での有償労働を意味していますが、同じ「労働」でも家庭内で子どもや高齢者の世話をするケア労働や家事は「私」であり、無償が当然とされてきました。
ヴェーバーが問う資本主義発展の礎 働く動機はどこから来るのか
一方、近年、経済格差の拡大とともに、有償労働よりも「投資」で財を成し、早期引退を選ぶことにより、人生を楽しむ「FIRE: Financial Independence, Retire Early」が一大ブームとなっています。また、同時にこれまで見過ごされがちだった、家庭内での無償労働にもスポット・ライトがあたるようになっています。
Financial Independence, Retire Early (FIRE): How It Works
ベーシック・インカムの出現は格差問題とテクノロジー、また現代社会の労働のあり方やそれを取り巻く倫理・思想とも無縁ではありません。あなたはこの問題についてどう思いますか?ご関心のある方のご参加をお待ちしています。
このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材としては、書籍を利用しますが、以下の英語論説記事も参考資料とします。
日時: 2024年10月8日(火)20時~21時30分
場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~
【参考記事】
The pros and cons of universal basic income
【チケット】
チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。
未来の労働:AIとベーシック・インカム【英語で学ぶ未完の資本主義】第4回10/8(火)20時@オンライン
【銀行振込での申し込み】
振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。
このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去の【英語で学ぶ大人の社会科】ワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。
【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会
【未完の資本主義】
2019年に出版されたインタビュー集『未完の資本主義』。その特徴は、現代社会で「知の巨人」たちと呼ばれる気鋭の識者7人に、「テクノロジー」と「経済」の観点から今後の資本主義の行く末について尋ねる内容となっています。
未完の資本主義:テクノロジーが変える経済の形と未来
今回新たに、この書籍の英語版の内容と関連記事について月2回のペースでワークショップを開催していく予定です。以下、それらの識者のラインナップです。
◆ポール・クルーグマン(ノーベル賞経済学者)――我々は大きな分岐点の前に立っている
◆トーマス・フリードマン(『フラット化する世界』著者・NYタイムズコラムニスト)――「雇用の完新世」が終わり「人新世」がはじまる
◆デヴィッド・グレーバー(文化人類学者・ウォール街占拠運動の理論的指導者)――職業の半分がなくなり、「どうでもいい仕事」が急増する
◆トーマス・セドラチェク(『善と悪の経済学』著者・チェコ共和国経済学者)――成長を追い求める経済学が世界を破壊する
◆タイラー・コーエン(ジョージメイソン大学教授・経済学者)――テクノロジーは働く人の格差をますます広げていく
◆ルトガー・ブレグマン(ジャーナリスト・歴史家)――ベーシックインカムと1日3時間労働が社会を救う
◆V・M=ショーンベルガ―(オックスフォード大学教授・ビッグデータの第一人者)――「データ資本主義」が激変させる未来
英語版の書籍はこちらです。
英語で理解する未完の資本主義
「インタビューの英語書き起こし」「日本語訳」「用語解説」「7人のインタビュー音声」をまとめた、「英語を学びながら、英語で学べる」1冊です。英語を使って勉学・仕事をしたり、最先端の知に関心のある人におすすめの内容です。
【解説】
AIなどテクノロジーの進展もさることながら、ベーシック・インカム (BI) が注目を集めているのは、やはり現代の資本主義体制で広がり続ける経済格差問題への処方箋としての一面が大きいと言えます。BIを推進する国際機関であるBIEN(Basic Income Earth Network)によるベーシック・インカムの定義は以下の通りです。
About basic income
ベーシック・インカムの最大の特徴は、日本でパンデミック時に全世帯に支給された給付金のように、全ての国民に無条件で一定額の現金を定期的に給付する仕組みである、ということです。また、2024年10月分から児童手当が大幅に拡充され、所得制限が撤廃されましたが、すべての子育て世帯が対象ということなので、この政策も、ベーシック・インカムと同じような発想のもと実施されているといえます。
2024年10月分から児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を
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