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「紫ネクタイで謝罪会見」と「2018年 PANTONEカラー」


2017. 12. 08記事

Color of the Year 2018 PANTONE 18-3838 Ultra Violet
2018年のPANTONEカラーは、ウルトラ・ヴァイオレット

深め、若干くすみ気味、赤み少なめ、落ち着いた紫。上手に取り入れると、エレガントなのがこの手の色。

紫の説明を始めると、長くなるのでここでは割愛しますが、この色、とても難しいおしゃれな色です。そして、ビジネスの色ではありません。

ちょうど、来年のPANTONEのウルトラ・ヴァイオレットを見て、「ああ、あの社長のネクタイ、紫だったなぁ」と思い出したことがあったので、今日はからめて。

おめでたい時というのは、それを見る側もメディアに取り上げる側も余裕があるので、些細なことにツッコミを入れることも少ないでしょう(余程でなければ)。時代の色を何らかのメッセージとして使用し、情報発信するのもそれは戦略であり手段です。

しかし、いくら時代の色だからといって、経営トップが公の前に出てくる時に身につけるとなると話は別。余程注意しない限り、攻め(ポジティブ)の会見であっても危険を伴います。ましてやシリアスな謝罪(守り)会見では、何が何でもご法度。

なのに、先日N社(車の会社)の社長の謝罪会見を見ていて、「メディアの前に、それも謝罪する場で、紫のネクタイ締めて出て来るってことは、迂闊にもほどがある。ご本人もサポートしている人々も」と、思ったことがありました。

ポジティブな情報発信の時には、演出に凝ったり冒険をするのもあり。だけど、謝る時というのは、すでに陥没状態で、叩かれることを覚悟の上で身を晒すのですから、本筋と関係のない部分で足を引っ張られる可能性を少なくする為に、余計な物もことも一切排除が鉄則。何よりも、謝罪していること、それに対する対応・対処をいかにするかを、ねじ曲げられた形ではなく、そのまま伝わるようにしなくてはならない。

これこそリスクマネジメントです。

だからこそ、社長のトレーニングをするときには必ず、広報や秘書の方も同席している場でいうのです。「緊急時用セット」を、社長のものとしてではなく会社管理で用意しておき、いかなる場合でもすぐに緊急会見の場所まで持ち運べる様にしてくださいと。

ポジティブメッセージを発信する場は、事前の準備期間も時間も計算でき、入念に仕込むことができます。しかし危機は突然。下手をしたら会社は潰れてしまう。だからこそ、常に備えよ。

そして、どんなにおしゃれでも、社長という立場を持った人は、公の場やメディアの前で「紫」を身につけて登場するのはやめましょう。おしゃれタイと仕事の文脈でのタイは別物、特に社長であればそこに立場と責任・任務があります。

余程それを身につける意味合いをきちんと説明できるというのであれば、身につける自由とともに、自分だけでなく会社に対してのリスクという責任をも背負う覚悟を持つべし。

それができない場合、
どんなに謝罪しても、これを選んだ時点で、真剣みや反省がない判断だと人は無意識に思うものです(大抵は、なんか変・・・と言葉にできないレベル。だからこそ危険)。

大事なメッセージが伝わりづらくなる選択・行動・行為は、とにかく避ける。これがリスクマネジメントであり謝罪時の鉄則なのです。

戦略、戦略と言われるようになり、自分をよく見せる方向・自分を盛る方向に世の中や人の意識が向かっていることを常々感じていますが、それ以前にリスクマネジメントができないと、ぬかるんだ土地に大きなビルをたてるみたいなもの。

特に、来年も「紫」なアイテムがますます出てくるであろうことから、今のうちに警鐘を慣らしておかねばと思った次第です。

また、紫に限らず、今日身につけているものを選んだ理由が言えない人、一度よく考えてみると良いでしょう。考えなしのもの選び・装いは、全ての行動において非常に無責任な人と他者からと思われても仕方がないのだよ、というお話でした。

ちなみに、これって人柄と関係ない部分があるのが、また難しいところなのですけどね。

追記:この謝罪会見、社長のプレゼンス・アピアランスで気になった部分。

1. 社長のシャツの首回りが大きすぎて、襟元が重なりすぎ。
2. この会見前に今回の検査の件で登場した際など、ボタンダウンシャツ着用。
3. ネクタイのノットが小さく首元貧弱。
*顎ががっちりしていないので、あまり太いネクタイや大きめのノットは無理だが。
*ネクタイが細く見える原因発見。ネクタイのノットを作っている部分が細い部分。したがって、ネクタイがベルトのバックルよりも下にベローンと長くなってしまっている。

謝罪の時は余計なことをせず、ネクタイは遠目無地の紺。無駄なハードルを作らない。きちんと「やり直す力」を姿勢で見せることが、謝罪会見の鉄則。


彼らはあまりに迂闊(と言うより無知すぎ)ですが、これはやはりクールビズの悪影響だとつくづく思います。検査だけでなく何もかも、いま一度見直さないといけないのではないかと、N社に限らず他の会社も、社会も。

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