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児童養護施設:寮母さんと上級生

東京の児童養護施設に入ってから数日間は、とても楽しい生活を施設内の子供達と送っていた。ご飯もちゃんと出るし、自由時間も児童相談所の一時保護にいた時よりも多かった。寮母さんたちもとても優しかった。何よりも、何年も引きこもりで学校に行かなかった俺が、小学校に転校してから間もなく、たくさんの友達に恵まれたことだった。ただ、この良いイメージは数日で変わることになった。

寮母さんごとのサポートの違い

各寮には、3人の男女の寮母さんが交代制で施設内の子供の面倒を見ていた。毎日寮母さんが変わる。基本的な施設のルーティンは変わらなかったが、細かなところで寮母さんによってルールが違っていた。ある寮母さんの場合、夜8時を過ぎても少し遊んだりテレビを見たりしてもよかったが、他の寮母さんが勤務している時は、小学生の場合、夜8〜9時には就寝するように言われていた。

また、小学校の宿題をサポートしてくれる寮母さんもいれば、分からないと言って全く教えてくれない寮母さんもいた。食事の時に肘をついたり、茶碗や箸の持ち方が違っていたりすると注意されたり、肘を叩かれたりした。細かなことを言えばキリがないが、とにかく寮母さんごとのルールに合わせるのが、子供ながら大変だったのを覚えている。

寮母さんと中学生・高校生との関係

思春期の子供達も一緒に生活していたので、中学生や高校生の子たちと寮母さんたちの関係は非常に悪かった。門限までに帰ってこなかった子を寮母さんが叱り、無視した子がいれば、その子の部屋まで無理やり入って叱りに行く。

「ガタン!」

「うるせぇ、クソババァ!」

「バチン!バチン!誰に口を聞いてるんだ!」

扉を思い切り締める音、ビンタの音、口喧嘩が2日に一度は聞こえていて、小学生だった俺でもやばい状況だと察することができた。そして、これが日常だった。ちなみに、俺がいた寮だけでなく、ほとんどの寮で同じようなことが起こっていたそうだ。

とばっちり

思春期の子供達とバチバチしている寮母さんたちも、ストレスが溜まっているのか、日に日に機嫌が悪くなり、他の子供たちにもあたるようになった。今まではそこまで厳しくなかった寮母さんも、とにかく子供へのあたりが強くなっていった。小さなことや少しのミスをしただけで、急に怒鳴られたり、次第に口で聞かなければ手をあげるようになった。

手をあげる度合いは、児相の40%くらいでそこまで強くはなかったが、俺以外の子供たちも普通に叩かれていた。だから、小さな子供たちの間でも、暗黙の了解で寮母さんと上級生が喧嘩をしている時は、できるだけいうことを聞くようにしなければならなかった。今考えると、子供たちもかなりのストレスだっただろう。

寮母さんとほぼ毎日喧嘩をしていた上級生たちは、休みの日はほぼ寮にいなかったが、寮にいるときはみんなに優しくて、よく遊んでくれたのを覚えている。悪さをして問題児だったのかもしれないが、とにかく優しい人たちだった。ただ、寮の上級生にタバコに誘われ、初めて喫煙したのは小学生の時だった。そこから、20代になるあたりまで喫煙を続けることになる。

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