ただ、人に好かれたかった
私はただ、人に好かれたかった。
自分には自信がなくて、誰も私を愛してくれないことを知っていた。
だから、彼が私を好きだと言ってくれた時、私は初めて人に愛されることの喜びを知った。
最初はそれだけでよかった。彼の好きなものを私も学び、もっと彼に好きになってもらいたかった。必死に彼の好きな私を演じようとした。
けれど、いつの間にか彼は私を好きではなくなっていた。
私は彼との未来を見ていた。同じ道をひたすらまっすぐ歩いているつもりだった。
でも、気づかないうちに一緒にいたはずの彼は私とは違う道を見ていた。
一緒に歩いてほしかった。私は必死に彼に戻ってきてほしいと頼んだ。
けれど、彼はこっちを向いてはくれない。彼は彼の道を見ている。
私は、彼に必要とされる私を演じていた。演じていたつもりだった。
彼から私はどう見えていたんだろう。
私は彼を必要とした。
彼は私を必要としていたのだろうか。
どうやって自分の道を作ればいいのかもまだわからない。
けど、彼と違う方向を向いて私は歩かなければいけない。歩いてみたくなった。