結び
私はただ、人に好かれたかった。 自分には自信がなくて、誰も私を愛してくれないことを知っていた。 だから、彼が私を好きだと言ってくれた時、私は初めて人に愛されることの喜びを知った。 最初はそれだけでよかった。彼の好きなものを私も学び、もっと彼に好きになってもらいたかった。必死に彼の好きな私を演じようとした。 けれど、いつの間にか彼は私を好きではなくなっていた。 私は彼との未来を見ていた。同じ道をひたすらまっすぐ歩いているつもりだった。 でも、気づかないうちに一緒にい
お部屋をゆっくり見渡した。 この中にどれくらい、私の想いがあるのでしょう。 このメイク道具もシャーペンもキーホルダーもお洋服も、この部屋にあるモノたちのどれくらいが本当に私の宝物だったのか。 初めてひとり部屋を貰ったとき、ここが私の宝物でいっぱいになることを夢みていた。 けれど、私の部屋はたくさんの人の想いでいっぱいになった。 「貴方に似合うと思って」「おめでとう。プレゼントだ」 素敵なものをたくさん頂いた。その気持ちが嬉しかった。だけど、その想いが増える度に私の
「ごきげんよう」 わがままなお嬢様になりたかった。普通の女の子にはなりたくなかった。誰にも負けない、陰口を言われたって強く自分を持った女の子。 けれど、私はいつの間にかみんなと同じ普通の女の子になってしまった。SNSを片手に本を投げすて、好みでない服を着て、今日も誰かに求められる私を演じた。 周りから浮くのが怖かった。 いつのまにか、自分を捨てた私は自らの意志では動けない、操り人形になっていた。 幸せになれたかな。思ってた景色が見えたかしら。 いいえ。誰にも操って