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【読書】最近読んだおすすめ本5選

はじめに

バタバタした日々だったが、だからこそ、積極的に読書の時間をとった。
いろいろとやるべきこと(家事・確定申告・資格の勉強など)がめまぐるしく頭がぱんぱんに膨らんでいたし、メンタルも疲れ気味だったので、何も考えず、楽しんで読むことができそうな“娯楽”に特化した本を意識的に選んだ。やるべきことをやって、一息ついた静かな夜にする“娯楽”のためだけの読書は、大いに私を癒してくれた。

①「でぃすぺる」今村昌弘 おすすめ度★★★☆☆

ひらがなのタイトルと字体が怪しさを増長する表紙

夫に借りて読んだ一冊。同じ本を読んだ後のおしゃべりは、実に楽しいものである。いくつかの都市伝説を軸に物語が進行していくのだが、その都市伝説の作り込みがすごい。1つ1つが本当によくできていて、読んでいてぞくぞくするものばかり。こういう都市伝説ありそうだなーというリアルさと、才能を感じるオリジナリティの見事な融合。次はどんな話かな、と読み進めていくのが楽しい。あくまでも“都市伝説”なので、ホラーすぎない。その一線をギリギリ超えていないところが、リアリティーにつながっているのかも。怖いのが苦手な人も、これなら大丈夫なんじゃないかな。大きな特徴の1つは、主人公たち(メインの3人組)が、小学生だということ。都市伝説をめぐる、少年少女の冒険は、読んでいるこちらに何とも言えないノスタルジーを感じさせる。彼らの目線で見る物語は、こういう体験を実際にしていなかったとしても、どこか懐かしいような気がする。
しかしそれにしても、私が小学生だった時、果たしてこんなに大人びていたかしら…というくらいに彼らは優秀でしっかりしているので、感心してしまう。夕焼け、帰り道、秘密の場所…。あの時はこういう時間がいつか終わりを迎えるなんて考えもしなかった。大人になった今、とっても貴重に思える“あの時”をもう一度、追体験したいあなたに…。

②「クローズドサスペンスヘブン」五条紀夫 おすすめ度★★★★☆

色彩が美しく謎も多い装丁にわくわく

今や大流行中のクローズドサークルもの。プラス、デスゲームのような要素もある、安楽椅子に座って楽しむにはもってこいの一冊。最後まで読んでミステリーというのはここまで進化したか!という感想を持った。ネタバレになってしまうから、多くは語れないけれども、設定も真相も動機も、なんというか…“今の時代にピッタリはまる”作り込みなのだ。全て読んでから表紙を見ると…美しい…(/_;)となる(個人的感想)。ラストシーンもとにかく美しい。どこまでも綺麗で切なくてハイセンス。“なんでもあり!”な世界観なので、読みながらそれに順応していかなければならないけれど、だからこそ予想が全くできなくてとても楽しめる。時間を忘れて一気読み。娯楽ミステリーはこうでなくっちゃ!

③「遠まわりする雛」米澤穂信 おすすめ度★★★★☆

生まれて初めての“古典部シリーズ”

春に読む物語として、ある方におすすめしていただいた一冊。言わずとも知れた“古典部シリーズ”。恥ずかしながら自分は読むのはこれが初めて。感想は…と言えば、“なんだこの文学的青春は…(/ω\)キャー)”という感じで、しっかり甘酸っぱい気持ちになりながらも、上質な文学作品を読んでいる不思議な感覚。こんな同居が存在するとは!衝撃的な出会いだった。さらに加わるちょっぴりの不思議とミステリー要素。新しいジャンルを確立しているよなあ…と感心せずにはいられない。人気シリーズになっているのも納得。先ほど私は今回、“娯楽”つまり楽しむために読書をすると言ったが、本書は短編集でさらに良い意味で“サラッと”読めるから良い。“水戸黄門”や“あたしンち”などを何も考えずに安心して楽しむような気持ちに似ている。そこには彼らの日常があって、それを一つ一つゆっくり楽しむ時間が実に贅沢だった。だからこそ、終わりが寂しくて、あとがきにある、“彼らの物語が永遠に続いてほしいと思っていた”という筆者のエピソードは共感しかないなあ。お気に入りはやっぱり“遠まわりする雛”。犯人の何とも美しい動機に、はあああああと感嘆のため息が出たよ。

④「哲学100の基本」岡本裕一朗 おすすめ度★★★☆☆

フィーリングで選んだ本が大切な宝物に

運命的な出会いをしたと思う。それくらいこの本は私の思考に刺激を与えてくれた。そもそも哲学を学びたくなったのは、あまりにも生きるのがつらかったから。人生とはみんなそれぞれにつらいものだと思うから、誰でも哲学を学ぶ意義はあるんじゃないかと今なら思う。少しだけでも。私の場合は哲学の中につらくなくなる明確な答えがあったわけではなかった。ただ、考え、哲学することが心のよりどころとなり、ひとつの楽しみになり、思考や心のパワーとなった。そんな現象が起こったのは、私が哲学の本の1冊目を本書にしたからだと思っている。なんの知識もないのに、抵抗なく読み進められる。自然と自分に身近な出来事を記憶の引き出しから引っ張り出して、考えることができる。色々なアプローチ方法で、様々な“思考のメガネ”を紹介してくれる。
私がこの本は信頼できるなと思ったのは、その“思考のメガネ”というのは数えきれないほどあるから、人によって合う、合わないがある。だから自分に合ったお気に入りのメガネを見つけてね!と書いてあったから。堅苦しい哲学のイメージが一気にほどけていく。

⑤「特捜部Q 檻の中の女」ユッシ・エーズラ・オールスン
 おすすめ度★★★★☆

北欧ミステリーは暗いって聞いていたけれど…

初めての北欧ミステリー。寒くていつも曇り空が広がる土地で生まれた物語。確かに全体的に暗い。しかしリアリティがある。登場人物がそこに息づいている。
誰にでも大切なものがあって、触れられたくない心の領域があって、過去があって、生きる苦しみがある。
好みが分かれるようだけれど主人公カールの、ニヒルで少し暴力的でそれでも繊細な性格が人間らしくて私は好き。この物語の中で何より魅力的だったのは、相棒のアサド。チャーミングで優秀、時折ギャップも見せてくれる。彼についてはまだ謎めいた部分も多く、それが知りたいので、次作も読みます!!
犯人の動機が現実的でないという意見を多く見かけたが、私はそうは思わなかった。何気ない日常の尊さというのは、普段はわかりにくいけれども、本当に素晴らしく貴重なものだよね。残酷描写については私は平気だったけれど、苦手な人や免疫がない人は要注意。



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