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《2024年 私の読書まとめ》
何でも熱しやすく冷めやすい私は、ずっと大好きだったアニメやアーティストのグッズやCDなどをある日突然手放したりする。今の夫と結婚して一緒に暮らすことになった時、実家から荷物を運びこむわけだが、その時もものすごくたくさんのモノをあっさりと捨てたり、譲ったり、置いてきたりしたが、本だけは一冊残らず持って行った。車の中はほとんどが本だった。
多趣味で、あちらこちらの木に飛び移る鳥のように、その時によって様々なことをしている。そんな私がずっと好きで続けていること、そのたったひとつのこと、それが読書である。
今年も今までと変わらず、読書は本当に楽しかった。
お豆腐メンタルの私だが、どんなに心が弱っても、大体本は読める。
前置きが長いですね。サクサク行きましょう。
《①カラマーゾフの兄弟の読了》
2024年のナンバーワンは、迷わずコレ。ドストエフスキーの“カラマーゾフの兄弟”。3回の挫折を経ての読了。感無量である。
今年、祖父が死んだ。私以上に読書家で、遊びに行くと、必ず本を買ってくれた彼は言っていた。“挑戦し続けてごらん。必ず読める時がくるから”。いたずらっぽい瞳の輝きを、本を閉じた時、思い出した。
どうして今回、読了に成功したか。自分なりの心の持ちようの工夫が功を奏したのだと思っていて、とにかく…
わからなくても、気にしないで読み進める。
とにかく目標はゴールすること。
毎朝(できない時は寝る前)、1ページでもいいから読む
確かによくわからないところはある。今でも。
しかし、ラストシーンで私は涙を流していた。
詳しくはこちらの記事を見ていただくとして…
その後、解説本(NHKのテキスト)も読みました。(おすすめです。が、私はこういったものは単なるひとつの見方であると解釈していて、あくまで自分の感覚を大切にするようにしています)。
さらに今は再読をしながら、“罪と罰”を読んでいる途中。
こういった読書体験を経て、すっかりドストエフスキーの大ファンになりました。こんな天才、存在していたのか。この人は“書かないと死ぬ”、という呪いをかけられて生まれてきた人間だと私は思っています。
《②歴史小説で命と向き合う》
千住明が好きだ。ドラマチックな名曲の数々、読書の時にBGMで聴くことも多いのだが(ナンバーワンは、“スノーダイヤモンド”)、大河ドラマの主題歌“風林火山メイン・テーマ”はもうたまらない。
ある時、生きるの辛いなあと(いつものように、そして多くの人と同じように)苦しい気持ちでいたら、“動かざること山のごとし(く)”というフレーズが、不意に、心にどしんと響いたのだった。
それがきっかけで、井上靖の“風林火山”を手に取った。今、読もう。ただ、そう思ったんですね。
しかし、読書が好きな私だが、歴史小説には唯一苦手意識を持っていた。読んだことあるのは“三国志”くらい。どうして三国志は読んだことあるのか、というのも、プレゼントされたから、という理由に過ぎなかった。(結果的にドハマりしたが)。
それ以来歴史小説らしい歴史小説は読んでいなかった。両親は司馬遼太郎ファンで、しきりに勧められていたが、どうしてもなんとなく手が伸びない。そもそもなぜ、歴史小説を読むのか。歴史の勉強のためか。書いてあるのは戦のことだろう。それにロマンを感じて、憧れて…と言うのがイメージできないうんぬんかんぬん…
全ては先入観だった。
風林火山で描かれているもの。しかと受け取った。
大号泣してしまった。
戦じゃなかった。命だった。
争うことじゃなかった。生きることだった。
来年はもっと積極的に歴史小説、手に取っていきたいと思いましたね。
おすすめがあれば、是非教えてください。
《③アガサクリスティーという多面体》
私が“彼女”と初めて出会ったのは、“厭な物語”というアンソロジーだった。そこで読んだ短編の壮絶なこと。
アガサクリスティー。今年は彼女の作品をたくさん読んだ。
今思えば、その“厭な物語”の一遍も、彼女という多面体の一面であったのだ。
まずは名作の数々。“オリエント急行の殺人”、“ナイル殺人事件”、“アクロイド殺し”、“スタイルズ荘の殺人”、“ABC殺人事件”…
すごいのは、この時代に、ミステリーのトリックや伏線の“技”のほとんどを彼女が既に書き切っていると言っても良いほどにどれもが完成されていること。個人的な好みで言えば、私が好きなのはデビュー作とは思えないほどの傑作“スタイルズ荘の殺人”です。
エジプト旅行を経験した身としては、“ナイル殺人事件”もたまらなかったです。
さらなる驚きは、彼女は“化ける”。そう、まるで多面体のような作家なのである。それを実感したのが“春にして君を待つ”、そして“終わりなき夜に生まれつく”の2作。Xでおすすめされ、読んでひっくり返りました。
この人はこんな作品も書けるのか…!!!!
特に“春にして君を待つ”は衝撃でしたね。未読の方、そして、王道ミステリーのクリスティーしか知らない方、是非読んでみてください。
《④漫画を読んで声を出して笑う》
好きなインフルエンサー佐伯ポインティ氏がラジオでおすすめしていたのがきっかけで手にとった漫画、“女の園の星”。
“カラオケ行こ!”と同じ作者なので、今年、結構話題になった漫画だと思うのですが、皆さん読みました?
生まれて初めてかも、一人で漫画を読んでいて声出るほど笑ったの(なんなら笑いすぎて涙もでていた)。それくらい私の笑いのツボにずこーんとハマりました。絵も味があって良いですね。割とシュールな笑いに分類されると思うんですけど、つらい夜が楽しくなるような不思議なパワーがある。
こういう誰も傷つかない“なんでもない笑い”っていうのが、今は割と貴重なんじゃないかと私は感じていて、私の人生漫画のひとつである“日常”とともにおすすめいたします。
もうひとつ、“川尻こだまのただれた生活”シリーズ。大好き。
無料で定期的に更新してくださるの、助かります。
長々とすみません。ここまで読んでいただき感謝です。
私の描いた絵でも見てってください。
《⑤なんかずっと心に残ったで賞》
生まれて初めて映画“スピード”を観た時を思い出す。バスがハイジャックされ、大暴走して、橋を飛び越えて、大爆発して、ドカーン。
ア〇映画だな…と思いながらも、それからなんだかんだで30回くらいは観ている(盛ったかも)。
今年のなんかずっと心に残ったで賞は、そんな小説。
西澤保彦“殺意の集う夜”。
いやあ…もう、てんこ盛り。
これは僕の若気の至りだと、著者自身があとがきで書いている。それを読んで、思わずにっこりしてしまった。
たまには良いじゃないか。こういうのも。(孤独のグルメか)
確かに、あまりにも荒々しく、勢いだけで走り切ったような感じが否めない。でも、心に残っている。内容もよく覚えている。そして何より、面白かった。作品としては粗削りかもしれない。でも、“書く情熱”をひしひしと感じた。気になった方、あらすじだけでも、目を通してみてください。何もかも忘れて、若さの情熱に身を委ねるのも、よきかな。
《⑥いつでもどこでも“ホグワーツへ行く”》
良い時代になった。あの大長編、単行本となるとものすごい重さ、そして分厚さ、冊数の大人気児童書“ハリーポッター”シリーズが、こんなに小さな機械に収まり、ハンドバックに入っている。基本的には紙派の私だが、今年は主にハリーポッターを読む際にkindleが大活躍してくれた。
とにかくカバンに入れて持ち歩く。“私はいつでもあの世界に行くことができる”そういう気持ちになる。それだけでもう心強い。
ハリーポッターを読むときは“ホグワーツに行く”と言っていた。ちょっとホグワーツに行ってくるね。読書ってなんて素敵。
私はハリーポッターは本で楽しむ方が好きで、映画しか観たことないよーって方には是非本も読んでみてほしいです。書いていないシーンや、本だからこその発見がいっぱいで、よりあの世界にどっぷり浸かることができますよ。そもそも私の読書の目的のひとつは“逃避”なので、この作品はその目的にあまりにもぴったりだと感じながら読んでいます。
《⑦チェス・哲学・…本での学び》
あ何かを新しく学びたいとき、私は本が一番信頼できるツールだと思っていて、今年もいくつか、本に知恵を授かりました。
まず、できたらお洒落だよな…というお軽い気持ちで始めたチェス。簡単にルールは知っていたのですが、あまりにも敗戦を重ねるので、悔しくなり、本を買って勉強しました。初心者用の基本書ですが、何回か読み込み、CPのレベル“ふつう”にはだいたい勝てるようになりました。
次に哲学。これは去年から続けていますが、お気に入りの“哲学100の基本”を何度も読んでは考えて、読んでは考える。そして最近新しい本“世界哲学史”シリーズを一冊買い、少しずつ読んでいます。
これは先ほどの本よりかなり難易度が高く、用語の意味や歴史を調べながらカタツムリのように進んでいる状況。しかしこれが良いのですよね哲学って。私に合った学問だな、とつくづく思います。なぜなら、出口や答えがないから。好きなだけ、ずーっと潜っていられるのです。
来年、もう少し学びを深めたいな、と思っているのは数学。趣味で、数学や算数のワーク、数独をよくやっていますが、つい最近年末のEテレスペシャル放送で“3カ月でマスターする数学”という番組を観て、秋山仁先生という数学者を知り、あまりにも面白かったので、先生の本を読んでみたいです。
《⑧今年の徹夜本》
寝るのも忘れて読みふける幸せ。今年の徹夜本はこれ一択。
シドニー・シェルダン“ゲームの達人”。
もう、すんごいよ。
《⑨やっぱり読んじゃう再読本》
気に入ったものは何度も何度も楽しむという性質の私。本も、気に入ったら何度も何度も再読します。新しいのを読んだ方が良いんじゃないか…同じ本読んで意味あるの…ワシは読みたいから読むんじゃ!意味などない!(千鳥風)
でも今年は言うほど再読しませんでしたね。比較的。
再読したのは村山由佳“ラヴィアンローズ”、唯川恵“テティスの逆鱗”、“啼かない鳥は空に溺れる”、真梨幸子“ふたり狂い”あたり。この4冊は毎年必ず読んでいますね。
同じく村山由佳氏の“ダブル・ファンタジー”、“ミルク・アンド・ハニー”も再読しました。著者の官能的な表現は、美しく、力強さや生命力を感じます。女性作家では村山由佳、唯川恵、桜庭一樹(“私の男”が好き)、真梨幸子(“殺人鬼フジコの衝動”は人生バイブル)、江國香織(最近“スイートリトルライズ”が好き)そして何より、宇佐見りんを愛しております。
《⑩シャーロック・ホームズとの出会い》
カプコンのゲーム“逆転裁判”の大ファンである私が、今年満を持して始めたのが、“大逆転裁判”。こちら、時代はさかのぼり、昔のイギリスのロンドンが舞台で、シャーロックホームズをモデルにしたキャラクターが登場するのです。詳しくはこちらのリンクをごらんください。
それがきっかけで、コナンドイルのシャーロックホームズシリーズを読み始めました。一番最初に読んだのが、短編集“シャーロックホームズの冒険”。
面白いこと面白いこと。奇怪で不思議で興味深い事件を、奇怪で不思議で興味深い探偵が華麗に解決。テンポよくどんどん読めますよ。本作ではやはり“まだらのひも”がシンプルながら隙がなく、傑作だと感じました。
続いて“緋色の研究”。これは長編(といっても分厚くないです)ですが、本当にすごい。“緋色の研究”このタイトルを聞いて、イメージしましたでしょ?なんとなく、こんな事件かな…それを裏切る、大傑作。
現在“バスカビル家の犬”を読んでいる途中です。
まだまだ駆け出しのシャーロキアンですが、私は彼の“あたたかさ”が好きです。どんなにみずぼらしい身なりをした人でも、貧乏な人でも、ちょっぴり変な人でも、まずは椅子をすすめて話を聞く。
なかなかできることではない、そう思います。
《おまけ》
その他、⑩に引き続き、イギリスへの興味が湧き、紅茶の入れ方の本やファッション史の本(スーツやパンクなど)、お庭の写真集なども。
それから、大好きなライトノベル“ベン・トー”をお守りとしていつもカバンに入れていました。(アニメも最高なのでチェックしてみてください)
お守りと言えば、百均で買ったミニノートに、好きな言葉や小説の文章、セリフなどを書き込んで、“言葉のお守り”も持ち歩いていました。
《最後に》
紹介しきれなかった本もあり、読んだものは全てホームページにまとまっていますので、良ければご覧いただければと思います。
読了本の表や、一言感想、シャーロックホームズについてのページ、さらにカラマーゾフや罪と罰などのページもあります。
マイペースに更新していきますので、来年度もよろしくお願いします。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
来年も皆様の読書ライフが楽しいものになりますように!