こんな夜更けにラブコメかよ
よ ふかし 【夜更かし】
( 名 ) スル
夜遅くまで起きていること。 「小説を読んで-する」
夜更かしという行為が身体的にしんどくなってどれくらいだろう。歳は取りたくないと思う今日この頃。それでも夜更けの街の空気は大好きだ。あのどこか寂しくもあり高揚感あふれる非日常空間。深夜がバイトが終わった後に肉まんを買って食べた時の特別感。誰しもが夜に魅せられてる。
そんな夜更かしをテーマにしたボーイミーツガールなラブコメ漫画を読みたいと思う?思うよね?ならばコトヤマさんの「よふかしのうた」を読もう。
物語は小さなことからなんとなく不登校になった夜守コウ(中2)が深夜、誰にも言わず家を出たこと所から始まる。初めて夜に家から飛び出した高揚感とすぐに訪れる不安感。不安から逃れるためには酒が良い―――そんなネット知識を鵜呑みにし、自販機でビールを買おうとしたとき、一人の女性に呼び止められる。
「お前 眠れないんじゃないか? 少年」
この目つきの悪くてヤンキーっぽいお姉さんこそ本作のヒロイン七草ナズナ。ブカブカなジャケットの下はほぼ下着みたいな装いで青少年のナニかが危ない、危険な香り漂うお姉さんだ。
このお姉さん、なんと吸血鬼であり、いたいけな夜守少年に夜の徘徊の楽しさを教えるに加え、血を吸う(なんと少年の血はとてもおいしく、血は深夜に美味さを増すのだ)。
夜を楽しむため、そして普通の人生から解放されるため吸血鬼になりたい少年コウは、吸血鬼の眷属になる条件「吸血鬼に恋をすること」を満たすためナズナに「あなたを好きになります」と宣言をする。
こうして夜のちょっとアブない?ボーイミーツガールが始まる…。
主人公コウ君はなかなかに根暗で考えすぎな中学生なので「どこからが友達と呼べるのか」「人を好きになるってどうゆう気持ちなんだろ」なんて難しいことを考えてる。読み進めると「どう考えても両想いでお互いのこと大好きすぎるだろ!」って感じの雰囲気(なんならナズナの方がコウ君のこと好きすぎる)なので「好き」という境界線がもはや分からなくなる。
以前読んだ『やがて君になる』もお互いが大好きなのに、以前の経験から「好き」という感情に変に高いハードルをつけたせいで話が複雑になってた。人を好きになるって難しいね……。
分からないなりにも好きという感情を探るため、奔走する夜守少年の純朴さに心打たれてしまう。なんならこの物語のヒロインは夜守少年なのでは?『僕ヤバ』の市川少年といい、なんで主人公の方が可愛く見えてしまうのだろうか。
最新3巻ではナズナとは別の吸血鬼(しかも全員妖しい雰囲気のお姉さんたち!)も現れ、物語も一気にシリアスに加速……ということにはあまりならず日常モノのようで深夜の静けさが漂う不思議な漫画になっている。お薦めの漫画です。
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