不思議な星座のシンク
直人はアメリカに来てから、日本食とは一味違う、味付けが濃いアメリカ料理の虜になってしまった。
体重計に乗るという習慣がなかった彼は、食生活に気をつけることを怠りがちに。
気がつけば、アメリカに来て3か月が経過し、ホテルでの生活も日常の一部となっていた。そんな彼が、少しずつ体重が増えていることに気づき始めたのは、その頃だった。
その頃、たかしとの友情は変わらず、彼からの近況報告や些細なLINEメッセージがスマホ画面に現れることが多くなっていた。
そしてある日、たかしがわざわざニューヨークに会いに来てくれるという、心温まる知らせを受け取ったのだった。
空港の待ち合わせ場所で、時計の針が約束の時間を指し示すと、直人は迎えに向かった。
到着ゲートを抜けてきたのは、たかし、楓、そして実世の3人だった。久しぶりの再会に、空港の喧騒も彼らの笑顔に包まれていくようだった。
実世は、直人に向かって恥ずかしげに手を軽く握り、親指を立てて「A」の形を作り、その手を胸の前で軽く前後に動作した。
何かを伝えたいが言葉にできない内心の感情を表しているようだった。
「久しぶり…」実世は静かに呟いた。
久々の再会に心は躍るものの、言葉にするのはなぜか難しい。彼女の声には、時間が生んだ距離と、再び縮まる距離への期待が混ざり合っていた。
二人の間に流れる空気は、言葉以上のものを語っているようだった。
直人にとって動作よりも、実世の表情から心の中を垣間見ることができる大切なサインと感じていた。
そして、実世も直人に対して感じている繊細な感情や、言葉にはできない深い表情を持っていることを示唆したように感じていた。
直人は静かに「元気だった?」と問いかけた。
その問いに、実世は笑顔で「太ったんじゃない?」と小さな声で返した。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いします!これからの感想文&ネタ帳向上のために頑張ります!