スプーンの中のモンブラン
「大丈夫?」たかしは心配そうに実世に尋ねた。
片手を軽く握り、親指を立て、の手を胸の前に持ってきて、軽く前後に動かした。そして、顔を赤くして、ベッドで横になったまま実世は「ごめんなさい」と小さな声で答えた。
奈津は仕事の都合で日本へ先に帰国し、風邪をひいてしまった実世の面倒を見るために、たかしはニューヨークに留まることにした。
実世は、自分の感情が焼け野原に放置されたかのような孤独感に包まれていた。彼女のたかしに対する想いは、ただ憧れるだけでなく、日々強くなる一方だった