空への選択肢
先週、予期せぬ会議での話題に直面した。
朝のニュースで晴天が続くと聞き、溜まりに溜まった洗濯物を干すことにした。物干し竿が少し曲がって見えるほどの量だ。布団も干し終え、直人は眩しい太陽を見上げた。
ビジネス英語はある程度は対応できるが、海外での仕事に対する憧れは特に持っていなかった。それでも、この経験は直人の視野を広げ、新たな可能性に気づかせてくれるのではというのもあった。そして、もしかすると、これまでの自分の考えを見直し、新しい挑戦に向けて一歩を踏み出すきっかけになるかもしれないと。
直人はそのプロジェクトチームの一員に選出された。会社内では、このプロジェクトへの参加は多くの人々が羨む機会とされていた。
先輩たちからは、「行くんでしょう?」という、まるで直人がすでに決断しているかのような後押しの言葉が投げかけられた。それは、直人が新しい挑戦に踏み出すことを心から応援しているという、彼らなりのエールのように感じられた。
直人は複雑な感情に包まれていた。
一見、彼にはすべてが順調に見えるかもしれない。成功を収め、周囲からの尊敬も一身に集める未来があるかもしれなかった。しかし、その内面では、彼は自分の選択とその結果に対して、深い矛盾と戦っていた。彼の心の中では、喜びと不安、満足と後悔が交錯し、葛藤とも重なる。直人もまた、内面の声に耳を傾けながら、自分自身との対話を続けているのだった。
直人はベランダでゆったりとした時間を過ごしていた。そこで彼の目に飛び込んできたのは、曲がってしまった物干しハンガーの姿。周りは暖かな日差しと心地の良い風が吹き、平和な午後の雰囲気が漂っていた。
しかし、彼の心はそんな穏やかな景色とは裏腹に、複雑な感情で満ちていた。忘れられないある人のことが頭から離れず。
そしてふと空を見上げると、「飛行機雲だ...」と小さく呟きながら、彼は遠くを見つめていた。