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続編と再会

商店街の活気を背に、直人は歩いていた。そこに、懐かしい顔が現れた。月尾 綴だ。高校時代、別のクラスだったが、彼女のことはよく知っている。あの頃はアウトドアスポーツで焼けた肌が印象的だったが、今はOLとしての新しい生活が彼女を変えていた。長い髪、忙しげな足取り。直人は、彼女の変わりように、ほんの少しの羨望を覚えた。


綴も、彼の顔を見た瞬間、記憶の片隅にあったその面影に心が驚きを隠せなかった。

「えっ、上條じゃないの?」彼女は目を丸くして、直人の苗字を驚きの声で呼んだ。「そうだよ。月尾さんだよね。久しぶりだね」と直人は答えた。卒業式以来の再会で、二人の間には懐かしさと新鮮さが混ざり合い、会話は自然に盛り上がっていった。


「えっ、何してるの?今から時間ある?」綴は少し焦りながら直人に尋ねた。彼女の声には急ぎのニュアンスが含まれていて、直人はその質問にどう答えるべきか、一瞬で考えを巡らせた。

「いいよ。時間は大丈夫。どこに行くの?」

「知恵が怪我をしたんだって。お見舞いに行こうと思っててさ」綴は、歩きながら詳細を説明してくれた。お見舞いの場所が近くの病院だった。直人はその同級生を知らなかったが、一緒に行くことに何の躊躇もなかった。




病院には到着したものの、面会時間を逃してしまった。綴は知恵にLINEでメッセージを送り、ロビーで待ち合わせることにした。綴と直人は知恵が来るのを待ちながら、ふと外を眺めた。


その時、直人は目の前の光景に驚いた。三智がそこにいた。彼女はナースと何かを話しており、その様子はとても楽しそうだった。その隣には奈津の姿もあった。ナースと話してる子は、以前映画を見に行った時の子だと直人はすぐに感じ取った。彼の記憶は、あの日の出来事を鮮やかに蘇らせていた。



そして、奈津は直人の存在に気がついた。彼女の目は驚きとともに輝き、彼の姿を見ていた。長い間、探し求めていたかのような眼で。

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