フォアラー効果について
フォアラー効果とは
あなたも、SNS広告や占い、自己啓発本の言葉に引っかかり、「これ、自分のことだ!」と思ったことはありませんか? もしかすると、それはフォアラー効果による錯覚かもしれません。
フォアラー効果とは、心理学者のバートラム・フォアラーが発見した心理的な効果のことです。具体的には、誰にでも当てはまる曖昧な言葉を、自分の事だと信じこんでしまう心理現象を言います。曖昧な言葉とは、「あなたは努力家ですが、時々自分に厳しすぎるところがあります」といった誰にでも当てはまる表現です。また、「最近疲れていませんか?」のように、読者が思わず「確かにそうだ」と感じるような言葉が典型的です。
フォアラーによる実験
フォアラーは、学生達に性格診断結果を渡し、それぞれに「あなた専用の診断結果」と伝えました。結果、学生達は「これこそまさに自分だ!」と驚き、結果に深く感心し、5点満点中4.2点という高い評価をつけました。しかし実際には、全員が星占いからとってきた曖昧な表現の文章を渡されていたのです。この事実を知れば、いかに曖昧な言葉が私たちを騙す力を持つかが理解できるでしょう。
確証バイアスとの関係
曖昧な言葉が効果的なのは、私たちが自分に都合の良い解釈をする傾向があるからです。この心理的傾向を「確証バイアス」と言い、特にポジティブな情報に対して強く働きます。確証バイアスとは、私たちが自分の考えや信念を裏付ける情報ばかりを集めてしまう心理的傾向です。例えば、占いで「あなたは繊細な性格です」と言われると、「そういえば、あの時も傷ついたな」と、過去の出来事を思い出してその言葉を信じてしまいます。
フォアラー効果の実例①
現在、多くの場面でこのフォアラー効果が使われています。例えば、SNSで『あなたにピッタリの商品をおすすめします!』と表示される広告は、フォアラー効果の典型例です。実際には誰にでも当てはまる内容なのに、私たちは自分向けの特別な情報だと思い込んでしまいます。また、「最近疲労が溜まっているあなたに朗報です。」や「今年こそ自分を変えたい方へのオススメ」です等、誰にでも当てはまるような曖昧な言葉を使い、私たちに商品の購入を促そうとします。
フォアラー効果の実例②
最近話題になっている詐欺事例を紹介します。SNSで「副業で月収100万円!」という広告を見たAさんは、「これなら自分にもできるかも!」と期待に胸を膨らませました。教材の購入を決断する際、相手からは「このチャンスを逃せば後悔しますよ」といった言葉もかけられ、Aさんはますます信じ込んでしまいました。しかし、教材を購入した後、連絡は途絶え、稼ぐどころか借金だけが残りAさんは絶望感に襲われました。もし、Aさんが曖昧な言葉に惑わされず、立ち止まって「この情報は本当に信頼できるのか?」と自問していれば、被害を防げたかもしれません。
不幸にならない為に…
フォアラー効果は知識として話す分には面白い話で終わりですが、それを実際に悪用される可能性もあります。あなたも、曖昧な言葉に惑わされていませんか? SNS広告、占い、自己啓発本など、日常的に目にする言葉にどれほど影響されているか、一度立ち止まって考えてみてください。曖昧な言葉を見たときは、次のように自問してみましょう。「この言葉は、他の人にも当てはまるのではないか?」「この情報は、私に具体的な行動を示しているか?」 こうした問いを習慣にすることで、曖昧な情報に踊らされることを防ぎ、冷静な判断ができるようになり、あなたを不幸から遠ざけてくれます。
参考文献
「超予測力 不確実な時代を読む10ヵ条」 フィリップ・E・テトロック&ダン・ガードナー 早川書房