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パパが育休中にすべき4つのこと

元テレビ局のアナウンサーで、NHKの「すくすく子育て」の司会も務めた天野ひかりによる連載です。 今まで5万人以上から相談を受けてきた親子コミュニケーションのプロが、実際によく相談される悩みをどうやったら解決できるか、自己肯定感を育てる会話のコツをお話します。

2022年4月から、男性の育児休業が義務化されますね。

日本の男性の育休取得率は10年前と比べて増えています。しかし世界の中では圧倒的に低く、育休を取りたいと願うお父さんが増えてはいても、なかなか難しいのが現実ですね。

人手不足が要因のようですが、根底には、子育ては母親がするものという意識が根強いのだと思います。義務化することで、その意識が変わることを願っています。

■育休を控えたあるお父さんからの驚きの質問

先日、お父さんになる方からこんなご相談がありました。

「男性が育休を取って、何をするのでしょうか?」

子育て真っ最中のお母さんお父さんにしてみれば、びっくりするようなご相談かもしれませんね。私も一瞬、言葉を失いました。

でも、考えてみれば、これからお父さんお母さんになる方にとっては、想像もつかないことかもしれません。

なぜなら、育休を取った父親を見て育ったプレパパママはまだほとんどいないからです。

まずはNGマンガから見てみましょう。

■出産後のお母さんは疲れ果てている

育児がこんなに大変だと思わなかった…と多くのお母さんから伺います。

しかも産後、自分の体調が戻らず、ホルモンバランスも崩れている中、1人で育児と家事を両立することはとても大変です。

育児書通りに、
スヤスヤ寝てくれるわけでもなく
おっぱいをごくごく飲んでくれるわけでもなく
なぜ泣いているのかもわからず
不安に押しつぶされそうになりますね。

1人で抱えこんで悩み、どうしたらいいのか、何に向かって頑張ればいいのか、良いお母さんとは何か、ぐるぐる考えて頑張りすぎてしまうのです。

「頑張りすぎないで、手を抜けばいいよ」なんてアドバイスをもらっても、手の抜き方もわからないのが現実です。

そんな時、パパが一緒に悩み、一緒に子どもとの生活を楽しみ、一緒に家事をすることで、ママは1人じゃないと思えて、とても力をもらえるのだと思います。OKマンガを見てみましょう。

■父親が育休中にすべきこととは

OKマンガを読んで
「男性が育休とって何をするのか?」という冒頭のご相談の答え、もうおわかりですね。

順番に解説しましょう。

<育休中に夫がすること> 
その1: まずは、妻の大変さを実感して理解すること

出産は命懸けです。産後は大怪我をしているのと同じ状態なので、ゆっくり体も心も休むことが大切。お母さんになると、自分の体調をかえりみずに、どうしても頑張ってしまいがちです。お父さんがそのことを理解することで、心穏やかに子育てできるでしょう。赤ちゃんを2人で一緒に見守ることで、お母さんの不安も軽減されるはずです。

<育休中に夫がすること>
その2: 家事をすること

お母さんが赤ちゃんとゆったりしていても、家の生活が回るように、パパが家事をします。

「イクメンは 名もなき家事が できてから」

これはオリックスが主催する“働くパパママ川柳”の第4回大賞作品です。これを読んだとき、思わずうなずきました。

名もなき家事とは、「ゴミ出し」「洗濯」「料理」などと名前がついていない細かい家事のことです。

例えば「ゴミ出し」と言っても、玄関から集積場まで持っていくだけではありません。

・用途に合わせたゴミ箱やゴミ袋を用意する
・指定の曜日に家中のゴミ箱から集めて分別してまとめる
・排水溝のゴミを取り除く
・ゴミ箱を洗う
・新しいゴミ袋をセットする

などなど、名称はないけれど細かい工程がたくさんあります。これが名もなき家事です。

いきなり全部やろうとは言いません。せめて、名のある家事くらいはできるようにしましょう。

コロナで里帰り出産もままならなくなりました。お父さんが家のことを把握して行動に移すことで、どんな状況になっても乗り越えられる家族になっておくことが大事です。

<育休中に夫がすること>
その3: 赤ちゃんのお世話

ミルクや沐浴、おむつ替えや着替え、寝かしつけや抱っこなど、可愛らしさを満喫しましょう。

お母さんもお父さんには任せられない!なんて言わずに、幸せを分けるつもりで任せてみてください。最初が肝心です。

<育休中に夫がすること> 
その4: 上の子(がいる場合)と遊ぶ

下の子が生まれると赤ちゃん返りをして大変かもしれません。お母さんが下のお子さんにかかりっきりでも、上の子が寂しくないようにお父さんが丁寧に対応できるといいですね。

■家族みんなで、一緒に家族になっていく

育休そのものは期限付きですが、家事も子育てもずーっと続きます。

この大変さを理解することで、育休明けのお父さんの意識や役割もずいぶん変わると思います。そして夫婦はもちろん、父子の絆もグッと強まるのではないでしょうか。

男性の育休は、休暇ではありません!

時々、夫は仕事休んでゲーム三昧、ゴロゴロしている、という声を伺います(コラ!)。

大きな赤ちゃんが1人増えて、お母さんの負担が倍になるなんてことのないように、
しっかり、父親として、家族になっていきましょう。

何より夫婦で協力し合う姿を見せていくことが、子どもを安心させて、自己肯定感を育てるはずです。

 

育休の意義を理解したお父さんが増えて、育休の取りやすい企業が増えることを願っています。

今日のコミュポイント
「パパも育休を取って、一緒に家族になっていこう!」

マンガ:とげとげ。

■プロフィール■

天野ひかり

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。