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【琴爪の一筆】#8『「複雑系」入門』金重明③

しかしいくら納得しがたいとしても、論理的に考えてその長さが無限大となるのだから、それは受け入れなければならない。

『「複雑系」入門 カオス、フラクタルから
生命の謎まで』金重明著
講談社ブルーバックス 2023-04
p68より引用

この一文は、『コッホ曲線』というフラクタル構造の一種で、両端が決まっているひとつながりの線であるにもかかわらず、理論上の長さが無限大(!)となってしまう特性をもつ線に関しての言及です。その興味深くも美しいフラクタル構造(自然界にも人体にも多数存在します)のお話は、当然のことながらぜひ本書をお読みいただきたく。

私にとって、特に数学の話においては「なんとなくわかるけど、なんとも腑に落ちづらい」なんて感じることは日常茶飯事です。
今回はまだマシな方です。イメージはできる。
合わせ鏡を見た時のように、写像が無限に入れ子になっている状態あたりも近似でしょうか。

今回この一文にピクリときたのは、『受け入れなければならない』という一節。見識のある著者ですらこのように仰っているのです。なので私はこう読みました。

「か弱き子羊は、無理に噛み砕こうとせずに、とりあえず丸呑みしておけばOK。」

わからないことを片っ端から調べようもんなら、人生何百回繰り返したって終わらんのです。世界の誰かが「わかっていること」ならば、いったんそれはもう「そういうこと」なんだと任せておいて、まずそれ自体を「知る」ことだけに集中する。それくらいの気構えでちょうどいい。どうせ結局うりうりと考え、悩みだすのですから。

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