印籠ば~ん!水戸黄門的映画のすすめ
高校時代部活をやっていなかったので、学校が終わるとまっすぐ家に帰っていた。
まっすぐ帰って何をしていたか。
「水戸黄門」を見ていた。
当時夕方4時から水戸黄門の再放送をやっていて、学校から帰ると毎日毎日見ていた。東野英治郎の黄門様だった。
水戸黄門を毎日見る女子高校生など私くらいではないか。二度と戻らない青春時代、我ながら他にやることがあっただろうと思う。
あの頃の自分に会えたなら、
「もっと有意義なことしなさいよ!」
とつまんない大人の常套句を投げつけてしまうこと必至だ。
あまりに水戸黄門を見ていたので、主題歌を2番まで完璧に歌えるようになったり、「風車の弥七は旅をしていない時は江戸でうどん屋をやっている」などというマニアックな情報を知ってしまったりしたほどだ。
自慢にもならない。
水戸黄門といえば印籠。
物語終盤、悪事の真相が明らかになると、黄門様の正体を知らない悪人たちが、
「おのれ、田舎じじいの分際で!」
などと暴言を吐いて一行を葬り去ろうとする。
ここで葵の御紋の印籠を出せばすぐに片が付くのに、喧嘩好きの黄門様、
「仕方ありませんな。助さん格さん、懲らしめてやりなさい!」
と、腕の立つ部下を使って大暴れ。ひとしきり相手を痛めつけた後、
「助さん格さん、もういいでしょう!」
と黄門様がのたまうと、格さんが、
「鎮まれ、鎮まれ鎮まれ~!!この紋所が目に入らぬか!!」
ば~~~~~~~ん!!!
葵の御紋の印籠御開帳で、悪人どもは一人残らずひれ伏す。
黄門ファン、待ってました!!!の名場面だ。
水戸黄門的ポイントを3つ。
1、前半はなんか地味。ご当地名物紹介やお銀の入浴シーンでなんとかつないでいるが、けっこう退屈。
2、最後の印籠シーンでめちゃくちゃスカッとする。
3、でも、スカッとするには最後だけ見たんではだめ。地味な前半に耐えてこその印籠。
この水戸黄門的要素を持つ映画といえば。(※個人の感想です。)
1982年公開、0.1(コンマイチ)秒のエクスタシー、「汚れた英雄」。
正直言えば、私にはこの映画を語る資格は無いかもしれない。
テレビで2回ほど見ているのだが、どんな話なのか全然理解できなかったのだ。
2回とも。頭が悪いのかもしれない。
寝ていたとか、見ながら別のことをしていたとか、そんなことはなかった。思い出せるのは、主役の草刈正雄のイケメンぶり、正雄と美女たちとのからみ、正雄のトレーニングしてる姿、プールに浮かぶ正雄の尻。
などなど、とにかく断片的にしか思い出せない。
しかし、そんな水戸黄門の前半的なストーリー(※個人の感想です)を挫折せずに見続けた自分にご褒美が待っていた。
クライマックスのレースシーン、これがもうめちゃくちゃにかっこよかった。
すべてをかけて臨んだ最終戦。
サーキットで転倒した後、主人公が起き上がるとテーマ曲のイントロが流れる。バイクにまたがりコース復帰。
スタントのレーサーたちによるレースシーンの大迫力!!
ローズマリーバトラーの歌う「ライディングハイ」の、心に火をつけるあの感じ!!
もうその鳥肌物のかっこよさに、葵の御紋の印籠を突き付けられたがごとくひれ伏すしかない名シーンなのである。
この年になって、「汚れた英雄」の言わんとしていることは、どんなことをしてでものし上がってやるというギラギラした主人公の生き様、だとようやくわかった気がする。
前半しんどいなーと思っても、最後まで見なければその映画の真の姿は理解できない。
そして、がんばって見続ければ思わぬご褒美が待っている、かもしれない。
(最後までしんどいのもあるかもしれないけどね…。)
くれぐれもクライマックスシーンだけ見ていい気持ちになろうとしてはダメ、絶対!!
そんな水戸黄門的映画、皆様も探してみてはいかがだろうか。
あ、「大魔神」もかなり水戸黄門度高かったな‥‥‥。
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