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個人クライアントによるイラストレーターへの依頼、そのための再考(序文)

 GiZAIYAだ。今日は画面の前にいるお前に聞きたいコトがある。お前には好きなイラストレーターは居るか? 前にも話したが俺は七原冬雪先生の大ファンだ。俺はガンジーよりも思慮深くイエスキリストより穏やかな男だが、プロテインシェイカーを振るときと七原冬雪先生の絵でシコるときだけは獣の野性を解き放ってハンドをシェイクする。そして残りの人生が30年だか40年だかわからないが、できれば毎日でも七原先生の絵でシコりたいと思っている。俺は性欲がそこまで強いほうではないが、それでも七原先生を知ってからは毎日が豊かだ。不思議なものでシコる対象を一つに限定した生活を続けると、なんだかその絵を描いた人を身近に感じることができる。だから今、間違いなく俺の隣には七原先生の生霊がいると確信している。俺がいつも七原先生の絵でシコっていること以外は冗談だが、こういう気持ちは多かれ少なかれ皆が抱いているものだと俺は思う。

 さて本題だ。『お前には好きなイラストレーターは居るか?』俺はさっきこう訊いた。どうしてそんな質問をしたかというと、今日はいつもより本の少しだけ真面目な話をしたいからだ。たぶんお前は俺よりも頭がいい。そんなお前はこの記事のタイトルを見たときから薄々感じていたはずだ。今日はイラストレーターに依頼するということについて俺なりに語りたい。

 今さらそんなことを云うのも理由がある。数日前から、このツイートについてモヤモヤした気持ちを抱えているからだ。

最近vtuberの方々から依頼のご相談いただくのですが、見積もりを出すと今のところ100%返信が途絶え、交渉さえもないので、自分の絵が好きでご相談いただいたわけじゃないんだと確信できて普通にきつい。自分の中でvtuberの株がどんどん下がっていく…
ちなみに私がここまで失望してしまったのは、vtuberを全然知らない私でも名前を知ってる、拝見したことがある方々だったからです。 純粋に好きな方にはとても現実的な話で本当に申し訳なく思います…。 ただ、仕事をする上での当たり前なマナーがないということを、素直に悲しく思ってしまった話です。

 まず、この記事はこの方の発言を用いて問題提起をするような内容でないことを断っておく。それに俺の知る限りにおいては、よほど強気な性格でない限りクリエイターはSNSで問題になるような発言を控える傾向にあると思っている。

 この方も(ざっと見た感じ)Vtuber界隈に対して何かの攻撃的な目的があってこういったツイートをしているような気配もないので、やはり辟易とした気持ちによる心情の吐露が大きいのだろう。いやそれにしてもきれいな絵を描く人だ。特に眼と髪の毛がいい。赤の色が多いのも好印象だし、なんといっても表情がかわいい。この世に表情がかわいいほど素晴らしいイラストがあるか? 屋根裏の掃除をしたあとのくたびれたメンタルにはこういう絵が効く。ありがたい。


〈 クレジット 〉
山下和真先生 / カゲシオ先生 / 逆行者先生 / どぷり先生 / やどのーち先生

 さて話を始めよう。上記の画像に描かれているのは、俺が現在制作を進めている5作品の主役キャラだ。左側キャラ×2/中央キャラ×3/中央メカデザイン×1/左キャラ×1/左キャラ×1で、計5人のイラストレーター(本業でない方含む)に依頼を出して俺のために描いて頂いた。このほかにゲスト原稿やタイトルロゴを含めてプラス数名、この五年間のなかで十人弱の方に仕事を依頼してきた。(合同誌等は除く)

 そんな俺だが、五年間のなかで依頼内容をフォーマット化せずに、そのときそのときで文面を考えるような真似をしてきた。これは悪いことではないが、時間がかかる。効率が悪いのだ。この効率の悪さは俺の不備、言い換えれば俺の不誠実さが招いたものだ。「どこかで自分の依頼の姿勢を見直す必要がある」とここ二、三年考えていたものの改善できていないのが正直なところで、要するに冒頭で私が書いたモヤモヤは自分自身の不安によるものだ。

 再度断りを入れるが、ここでVtuberについて言及する気はない。ついでに「個人クライアントがイラストレーターに発注するときはこのようにしろ」などとお手本のようなものを示すこともしない。俺自身があまりにも不完全な依頼の仕方をしているからだ。考えたいのは、イラストレーターに依頼する側の姿勢。もっと厳密にいえば、その立場である俺自身の姿勢についてだ。それを少しずつ語りながら、完全する余地のある部分をnoteに書いていく。普段は漠然と考えていることでも、こうして書き起こすことで改善されていく。その結果、自分自身の依頼に関してもっと良い頼み方ができるんじゃないかという試みだ。ナイスな依頼が出せればイラストレーターも作業がしやすい=より良い作品に仕上がる可能性も高くなる。

 そのようなわけで今日からは個人のクライアントがイラストレーターに依頼するまでの流れを今一度再考していきたい。ついでに云うが、もしこの記事を読んで意見がある人は、賛成だろうが反対だろうが好きなように引用してくれて構わない。ただ出来れば俺に伝わるかたちでやってほしいということだ。これは俺個人がイラストレーターにより良い発注ができるようになっていることなので、だれかに意見を頂くことは大切なのだ。ボロクソに貶されると傷つくので可能な限りは(俺を子猫のように思って)優しく云ってほしいところだが、そうでなくとも伝えてくれるだけで助けにはなる。

 ちなみにnoteは有料記事を作成できるが、この件に関して俺はお前らから金をせしめるつもりはない。なぜかというと『共有』が目的でもあるからだ。

 俺はイラストを描くのが好きな人がそれで生活していければいいと思っている。自分が仕事を任せる相手の選択肢が増えるからだ。だがそのためには個人クライアント側の依頼もスマートになっていくべきだと俺は思う。絵描き同士はお互いの受注に関して「俺はこうしているよ」という話し合いを人知れずやっていると思うが、個人クライアント同士が互いにそういった話をする機会はあまりない。もっと自分の依頼の仕方を公開し合ってもいいんじゃないかと思ってる。リスクもあるが、公にして改善箇所が見つかればそれは自分の技術(依頼は技術だと思う)の向上にも役立つはずだ。自分と同じ考えの人がいるかもしれないので、恐れずに云っておく。

そんなわけで次の記事からは『イラストレーターに依頼するまでの流れ』を書いていく。(つづく)

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