アイデンティティの喪失
感情の未熟な人間たちと周りを見下していたのかもしれない。
幼少期、自分の感情があまりにもうまくコントロールできなかった事実を、周りは「感受性が豊か」と褒めてくれた。実際は感受性が豊かなわけではなく、単純に情動制御が極端に下手くそなだけなのだ。1しかないことを100に感じてしまうだけで、1が詳しく見えているわけではない。
わかっていたけど、何もない自分が情けなくて、自分の苦痛を理解してくれない周りの存在が憎たらしくて、自分の情動制御の欠陥を感受性が豊かであると間違ったラベリングを無意識にしていたのだろう。
だから私は、「典型的な行動パターン」と評価されたのが嫌だったのだ。考えて選択したそのファッションを、その好きを、何も考えずに選択したかのような評価が嫌だった。周りと同じように、何も考えずに生きていると思われたようでつらかった。
私は周りを見下していた。しかし、皆成長し、ようやく私と同じようなことで悩んでくれるようになった。それを受け入れず、私はまだ周りよりも感情が豊かだと勘違いしていたのだ。皆と違うことに悩んでいたから、皆が同じような悩みを抱えてくれるのは嬉しい。その反面、自分のアイデンティティはなくなった。
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