(カブス考察シリーズ第2弾)結局今オフは補強するの?しないの?
お疲れ様です、イサシキです。
MLBは早くも選手の移籍や各アワードの表彰で毎日が情報に溢れるオフシーズンとなっています。
今回は、編成責任者のジェド・ホイヤー氏が「賢く資金を使ってFA市場に積極的に参加する」と表明している、シカゴ・カブスのオフシーズンについて簡単に考察してみようと思います。
マイリー獲得はいわゆる「棚ぼた」
今月6日の早朝3時30分頃に、カブスはレッズからウェイバー公示をされていたLHPウェイド・マイリーのクレームに成功し、その2日後の8日午前1時頃、レッズ時代に結んだ契約を引き継ぐ形で単年$10MMのクラブオプションを行使しました。
基本的にウェーバーのクレーム権利順位はそのシーズンのMLB最低勝率のチームから与えられていきます。そのため、カブスよりも勝率の低かった上位6球団(BAL、ARI、TEX、PIT、WSH、MIA)はクレームしなかったということになります。
マイリーは来季で36歳を迎えるベテラン左腕で、GB%がキャリアを通じて49.1%と非常に打球管理が優秀な技巧派投手。今季はノーヒッターも達成した実績ある先発投手と言っていいでしょう。
現在のカブスの先発ローテはカイル・ヘンドリックス1人しか1年間投げ切る投手がいないため、このマイリーを獲得できたことは非常に大きな意味を持ちます。詳しくは次回のカブスラジオ(があれば)触れる予定です。
一方のレッズは非常にペイロールのやりくりに苦労しており、今オフも既にOFのニック・カステヤーノスがオプトアウト、正捕手で守備の名手タッカー・バーンハートはタイガースへとトレード移籍。そして今年も(ここ重要)先発陣のコアであるソニー・グレイとルイス・カスティーヨにトレードの噂が出ています。マイリーのウェーバー公示は、昨年クリーブランドがクローザーのブラッド・ハンドを同じくウェーバーで手放したケースとほぼ一致しており、今回はクレームされてバイアウト分の資金を払わずに済んでいる(ハンドは結局クレームされずにFAでナショナルズに移籍)ので、レッズにとっては完全なるサラリーダンプに成功したという結果になっています(実際にはトレードでマイリーの引き取り手を探していなかったために泣く泣くウェーバー公示にしたということらしいですが…)。
それにしても、同地区のライバルチームにスターターを譲渡してしまったのはなかなか衝撃的でした。レッズがこのままペイロール削減に動くようなことがあれば増々来季のナ・リーグ中地区はカージナルス、ブルワーズ(ヘイダーのトレード話などもありますが…)の独壇場となる可能性も高まります。
スターター補強最優先の姿勢は変わらず
それでもマイリー獲得はあくまでもカブスの補強ポイントに合致し、なおかつ余裕あるペイロールにも優しい契約だったという絶妙な噛み合いであっただけであり、本来補強ポイントとしてホイヤー氏が挙げていた「奪三振の奪える先発投手の補強」という部分がブレることはないと思います。
となれば、やはりまだまだ補強を続けるムーブは続くでしょう。上記の条件に当てはまる投手であれば、クラブオプション、プレイヤーオプションの両方を破棄してFA市場に乗り込んだマリナーズのLHP菊池雄星や一部では4年$80MM規模と謎のインフレ予想が出たロッキーズのRHPジョン・グレイ、6年前にカブスとのWSで好投したRHPコーリー・クルーバー(ヤンキース)までは候補に入ってくるかなあと思います(その他の候補:マリナーズのLHPジェームズ・パクストンなど)。
今名前を列挙した選手たちは、いずれも球団からQOを打診されていない選手たちです。おそらく来季も再建ムーブが完全に抜けきらないカブスは、QOを打診された選手の獲得に動くことを嫌がることが予想されるため、先日タイガースと契約を結んだLHPエドゥアルド・ロドリゲス(元レッドソックス)らはもちろんのこと、ドジャースからFAとなったRHPマックス・シャーザーやLHPクレイトン・カーショーといった大物ベテランスターターにも手を出す可能性は低いかなと思っています。
大物FA獲得の可能性は限りなく低いと予想
今オフはショートのFA選手が非常に豊作であり、カルロス・コレアやコーリー・シーガーらには、同じショートでメッツと10年$341MMのビックディールを結んだフランシスコ・リンドーア選手クラスの契約が結ばれるのではないかという予想が出ています。
一応カブスもショートは補強すべきポジションではありますが、ホイヤー氏が今オフFA選手と大型契約を結ぶことに対して否定的な姿勢をとっていることや、怪我がちとはいえ元球団のトッププロスペクトであるニコ・ホーナーが来季からショートに本格的なコンバートをすると予想されているので、そのマネーゲームにカブスが参加するとは考えにくいのが現状です。
そもそもカブスもペイロールがすっからかんというわけではなく、ライトには皆さん大好きあの方の大型契約があと2年残っていますし、先述のヘンドリックスもまだ契約が残っている状態ですので、個人的にはあの方の契約が終わる2023年オフ以降に勝負を仕掛ける大型補強に乗り出すのではないかと考えています。
となれば、やはり今オフはイニングを喰える奪三振型先発投手をあと2人ほど獲得して終わりというのが現実的な気がします。
実は補強してほしいポジション
今オフの移籍市場で主役になることはないであろうカブスですが、どう見ても補強した方が良いポジションがあります。
それは捕手です。
昨季オフからまことしやかにささやかれ続けている正捕手ウィルソン・コントレラスのトレードもさることながら、今季途中加入ながらも2番手捕手として頑張ってくれたロビンソン・チリーノス、本来2番手捕手として期待されていたものの、怪我の影響でわずか28試合の出場に留まったオースティン・ロマインは揃ってFA(え、ロバトン?知りませんねぇ…)。さらにはロマインの代役でシーズン前に獲得したはずのトニー・ウォルターズも14試合の出場でDFAとなり、本当に捕手がゴッソリといなくなってしまいました。
となると、来季の第2捕手最有力になるのはプロスペクトのミゲル・アマヤということになりますが、怪我の影響もあってやや伸び悩んでいることやAAAでの出場経験がないということもあるので、最悪の事態に備えて第2捕手の補強はほぼマストではないかと思います。
今オフのFA市場で捕手を見つけるのはかなり厳しいですが、ベテランのヤン・ゴームズ(アスレチックス)あたりを補強するだけでもコントレラスの負担が軽減されるなどの効果があるのではないでしょうか。
それが厳しければチリーノスの残留やトレードでの獲得があってもいいかなあと個人的に考えています。
結論:来季コンテンドのための補強はしなさそう
ということで本当にざっくりとした個人的な見解をベラベラと語ってしまいましたが、簡潔に述べると、カブスは来季コンテンドする気がないものと思っています。
現在AFLで活躍中のOFネルソン・ベラスケズやRHPクレイブ・キリアン、今季フューチャーズゲームMVPのOFブレネン・デービスらがメジャーでプレーできる土台を作りつつ、今後2年ほどのスパンで再びコンテンダーとなれるように立ち回れば非常に魅力ある球団へと戻れるのではと淡い期待を抱いています。そしてその選手たちに加えて若手のニック・マドリガルやLHPのジャスティン・スティールといったメジャー経験のある選手たちが順調に適応してくれれば移籍市場でも動きやすくなると思うので、まさに来季は「育成の年」になるのではないでしょうか。
今回の記事は以上になります。
第3弾は未定です。もしカブスでこんな検証や考察をしてほしいといったご意見がありましたらコメント欄やTwitterなどへ投げ捨てておいてください。(やるとは言ってません)
それでは、次回の記事でお会いしましょう。