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Hoyerさんは誰を「買う」のか

お疲れ様です、イサシキです。

さて、つい先日こんな記事を見かけました。

端的に内容を記すと、CubsGMのHoyer氏が、今夏のトレードデットラインで買い手に回ることを表明したという記事です。

今シーズンのCubsは4月こそ地区最下位に沈んでいたものの、5月には強豪LADSDをSweepするなどの勢いを見せ、現在はMILと並んでナ・リーグ中地区首位に立っています。

もともと今シーズンのCubsは決して高い前評判があったわけでなく、最悪の場合はチーム解体に踏み切る可能性も取り沙汰されていましたが、昨シーズン冷え切っていた打線が解凍され、新加入のJocも故障がありながらここまで11本塁打、一躍時の人となったWisdomらの活躍が光り、復活したKimbrelを中心に鉄壁のリリーフ陣が試合を締めくくるというパターンがハマっている状況です。

ただし、良い話ばかりではありません。昨年から続くコロナ渦の影響で緊縮財政を強いられたCubsは、昨シーズンのオフにサイヤング投票2位のダルビッシュ、2番手捕手のCaratiniSDへとトレードしたことや、今シーズン終了後にFAとなるBryant、Baez、Rizzoらの処遇、さらにはトレードの噂が絶えなかったContrerasの今後など、主に5年前に世界一になったメンバーたちの流出危機がすぐそばまで迫ってきている状況です。

結果的にこのトレードデットライン、FAで売り手になるのか買い手になるのかは微妙なところですが、ひとまずHoyerさんが買い手に回りたいと言ったので、同じ記事の中に書かれていた補強ポイント「先発投手」に焦点を当てて、誰を獲得するのか予想してみます。

偏りがすごくて安定感の無いCubs先発陣

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Cubsファンであれば誰もが思っていることがあります。

それが、先発投手陣の不振です。

簡単に今シーズンの先発陣を振り返ってみると

Hendricks 14試合 9勝4敗 防御率4.13 80.2イニング WHIP1.30 65奪三振
Davies         14試合 4勝4敗 防御率4.66 73.1イニング WHIP1.49 45奪三振
Arrieta         14試合 5勝8敗 防御率5.45 66.0イニング WHIP1.48 56奪三振
Alzolay        11試合 4勝5敗 防御率4.06 57.2イニング WHIP1.04 62奪三振
Williams      10試合 3勝2敗 防御率5.36 43.2イニング WHIP1.60 49奪三振

Alzolay、WilliamsはIL入り中

どうみても首位に立つような先発陣ではありません。Hendricks、Daviesは開幕当初の不振を抜け出したような印象がありますが、Arrietaは4月の投球が嘘のように途切れて先発5番手レベルに逆戻り。チーム期待のプロスペクトであるAlzolayもまだまだ長いイニングを投げることは期待できない状況。Williamsに至っては虫垂炎による緊急手術でまだ実戦復帰には時間がかかりそうとのことで、非常に苦労しているのがわかります。

代役の先発を務めているMillsStewartらもそこまで良い働きはできておらず、相変わらず苦しい先発状況は続いています。

各先発がとにかく長いイニングを食えないこと、打たせて取る技巧派の投手が多いこと、左腕投手が1人としていないことCubs先発陣の現状といえるでしょう(まあRossの采配もあるでしょうが...)。

現状にフィットする(であろう)補強候補

まず、このままの状態で行けば間違いなくオールスター明けにでもブルペン陣が崩れてしまうことが明確にわかると思います。

そのためにもしっかりとイニングを食えるような先発投手の補強はマストになりますし、ここ一番で三振を奪えるような本格派タイプの先発もできれば補強しておきたいところです。

ここでは7月末のトレードデットラインまでに獲得の可能性がありそうな(というよりあってくれ)選手をpickupします。

補強候補①:菊池雄星(SEA) 獲得実現性:★★☆☆☆

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2021シーズン成績                          13試合4勝3敗 防御率3.46 80.2イニング WHIP1.04 81奪三振

昨シーズンからxERAや非バレル率などの指標は大幅改善していたもののなぜか打たれていた菊池ですが、今シーズンはここまで徐々に調子を上げてきて、今やSEAのエース格にまで上り詰めつつあります。

左腕ながらも最速159km/hを誇るフォーシームと平均球速約148km/hのカットボールを中心に勝負する投手です。

今のCubsに足りていないイニング数に関しても文句なく、今シーズンのQS成功率は約77%(13試合中10試合)、HQSも3回記録しているため、非常に先発投手として魅力的な要素を持っているといっていいでしょう。

また、30歳という年齢や、後に紹介する契約内容での扱いやすさからも獲得にはうってつけの存在といえるでしょう。

その契約の話ですが、菊池はSEAとかなり複雑な契約を結んでおり、2019年からの3シーズンで4300万ドル(年平均約1400万ドル)がベースとなり、今シーズン終了後にオプトアウトの権利を持っています。SEAには4年6600万ドル(約72億6000万円)のオプションが与えられているため、今の成績を維持できればSEAがオプション行使する可能性は大いにあると思います。

ただ、現在SEAはア・リーグ西地区同率3位で、首位のOAKとは8.5ゲーム差。ワイルドカード争いでも熾烈な首位争いをしているBOS、HOUから6.5ゲーム離された5位にいるため、今後のチーム成績次第では放出の可能性もあり得ると思います。

そうなると、おそらく菊池は他球団からも注目の的となるため、Cubsがトレードを成立させるためにはそれ相応の見返りが必要になります。もしかしたら今季リリーフで優秀な成績を収めている投手を放出する可能性もありますが、それでも獲得する価値はあるかと思います。ただ、それが本当に実現するかと言われれば可能性として低いかなあとは個人的に思います。

補強候補②:Matthew Boyd(DET) 獲得実現性:★★★☆☆

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2021シーズン成績                         13試合3勝6敗 防御率3.44 70.2イニング WHIP1.20 56奪三振

今シーズンオフにFAとなるためか、昨シーズンからトレードの噂が絶えなかったBoydも、補強ポイントの1人としてフィットする可能性はありそうです。

現在はILに入っているものの、今シーズンは4月に防御率2.27、QS4回(HQS2回)、WHIP0.93と抜群の安定感を披露。5月以降はやや精彩を欠く投球も増えてきていますが、それでも先発投手としての役割は十分に果たしていると思います。

Boydの獲得における最大限のメリットは、その見返りを最小限に抑えられることだと思います。もしBoydを獲得するのであれば間違いなく1年半のレンタル移籍のような形になると思いますし、年俸面での心配は皆無。ダメならトレード要因としてバウンス・バックを図ることも可能。見返りとして放出する選手もおそらく2~3人程度で済むと思うので、相場的にCubs傘下TOP20以外のプロスペクトを1人放出するだけで獲得できると思えば非常にお得ではないかと思います(そんな簡単にいくとは思いませんが)。

ただし、イニング数があまり食えていない(平均投球回数5.4回)こと、xERAが4点近いこと、少なくとも本格派タイプではないことなど、本当にCubsの先発陣の補強となり得るのかはしっかりと考えなければいけません。

補強候補③:John Means(BAL) 獲得実現性:★☆☆☆☆

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2021シーズン成績                         12試合4勝2敗 防御率2.28 71.0イニング WHIP0.83 69奪三振

今シーズンノーヒッターを達成するなど、キャリア最高のシーズンを過ごしているMeansもトレード候補にはなり得ると思います。

Boyd同様、Meansも現在ILに入っていますが、今シーズンのQS達成率は58%(12回中7回)で、HQSはそのうち5回。安定感のある投球が特徴の投手です。

Means獲得の最大のメリットは、その保有期間の長さです。Meansの契約そのものは2024年まで残っており、本人もまだ28歳なので、左肩の問題さえ解消されれば、今夏の大きなトレードチップになる可能性はあります。ただBALもそこまで簡単に手放すことはしないでしょうし、例え放出するとしても昨今の先発投手がFA市場で手に入れている契約を鑑みれば、見返りが他球団と比べてあまりもらえないCubsにトレードしてくれるとは正直思えないというところが本音です。

補強候補番外編:Max Scherzer(Nats) 獲得実現性:☆☆☆☆☆

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2021シーズン成績                         13試合5勝4敗 防御率2.21 77.1イニング WHIP0.81 104奪三振

(※捕らぬ狸の皮算用ということは十分承知しておりますが、茶番程度にお付き合いいただけたらと思います。)

2019年のWS制覇で燃え尽きたと思われたMLBを代表する右腕が、今シーズン見事に復活しました。そして皆さんご存知の通り、今夏のトレードデットラインにおける目玉選手の1人です(現在は10日間のIL入り中)。

特筆すべき点はその高い三振奪取能力。過去に8年連続シーズン200奪三振(うち2018年は300奪三振に到達)を達成している剛腕は未だ衰え知らず。投球の約半数を占めるフォーシームに加え、右打者のアウトローへと急激に曲がるスライダー左打者のアウトローに正確に落とすチェンジアップを武器に、過去3度のサイヤング賞に輝くなど、その実績は申し分ありません。

勿論WS制覇を目指すチームからすれば、喉から手が出るほど欲しい選手であることに間違いはありませんが、如何せんCubsには敷居が高すぎて手が出しにくいのが現状です。

その理由として、①絶対に半年間しか在籍しないScherzerに見合うプロスペクトがいないダルビッシュのトレードの件で間違いなく再び批判されるという3点挙げられると思います。

①は、Scherzerの年俸が関係しています。今シーズンのScherzerはWSHと結んだ7年2億1000万ドル(2021シーズンは約3450万ドル)の最終年となるため、今シーズン終了後にFAとなります。Scherzerが仮にもQOを受け入れるとは思いませんし、そもそもScherzerには10-and-5ルール(トレード拒否権)が適用されているため、トレードできる球団は限られているとみるのが現実的です。Cubsの場合は対象外の球団になっている可能性もありますが、仮に獲得できても来年以降引き留めるお金なんてどこにもありません。ただでさえ大変なオフシーズンになりそうなのに。

②は、悲しいことにCubsがScherzerとトレードできそうなプロスペクトをあまり保有していないということです。ScherzerクラスとなればMLBTop100以内のプロスペクト3人のうち、間違いなく1人は持っていかれるでしょうし、仮に主力を放出するとなれば、それこそKimbrelの放出も考えられるという意味の分からないトレードになってしまうので、さすがにHoyerさんもそこまでとんでも運営をするとは思えないと信じています()。

③は、既に私のTwitterフォロワーさんからも続出しているように、「ならなぜダルビッシュを放出した!」という批判が再び出てくることもあると思います。

というより、ダルビッシュ云々よりもチームとしてどんな方向性を示すのか、どのように舵切りするのかがブレブレだという部分に不満を持つファンが多くなることは予想されます。実際にダルビッシュのトレード相手になったDaviesが4月絶不調だったときのファンの声は非常に辛辣なものでした。

確かに難しい舵切りをシーズンが始まる前から迫られていることは重々承知していますが、個人的には「買い手、売り手の両方に回る」という選択肢がCubsにはベストフィットするかなあと考えています。

例えば、昨シーズンの不振から脱却したKris Bryantは今が最高の売り時だと思いますし、BaezやRizzoもどちらかは移籍してしまう気がするので、優勝争いに絡める戦力を残しつつ、将来に向けて有望な若手をチームに残していくというめちゃくちゃ難しい立ち回りを迫られているとも捉えられます。

少し話が逸れてしまいましたが、やはりScherzerの獲得には多くの障壁があるので、2016年のChapmanのような奇跡が起こればいいなあとも思っています。

その他にも、KCのDuffyTEXのGibsonなどは十分に候補として考えられますし、野手でも怪我がちのHoernerさんをバックアップする、あるいは現時点での二塁手グレードアップを図る目的で、DETのSchoopPITのFrazierあたりを獲得するのも面白いかなあとも思っています。

まとめ:Hoyerさん頑張ってください

おそらく、どの選手を放出しても、どの選手を獲得しても、ある程度の批判は飛んでくると思います。

至って前任のEpsteinさん(現MLB競技部門相談役)は本格派の投手を好んで獲得していた(例:ダルビッシュ、Chatwoodなど)ので、Hoyerさんにもそういった好みがあるのかもしれません。

どちらにしても、Epsteinさんはチームの将来を考えて任期を1年残してHoyerさんに後を託した訳ですし、本来であればここにSchwarber(現Nats)も加わっているはずだった2021年問題も今になって考えだしたことではないので、おそらく何かしらの考えは持っていると思います。

いずれにせよ、少しでもCubsが今シーズンコンテンダーとして戦えるように、そして未来も少しずつ明るく見れるようなチーム作りを期待しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後もMLBやCubsに関する記事を書いていきますので、もし興味があれば読んでみて下さい。

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