「中華思想」とはジャイアンである
○「聖徳太子」に学ぶ「国防」・「安全保障」〜その4〜
「中華思想」。
言葉だけは聞いたことがあるという方
も多いのではないでしょうか?
「中華思想」とは、
過去も現在も未来においても、
「中華」が世界の中心で、
中国大陸を制する王朝とその文化・思想が最も尊く、
その周辺にある国や民族は野蛮であり
劣っているという思想、考え方であります。
ちょっと過激すぎませんか?
と思う方がほとんどだと思いますが、
過去はもちろん、
現在においても「中華思想」は
中国人の根底に流れている思想であります。
中華思想で重要になってくるのが、
「土地」・「領土」に対する考え方です。
世界の中心である中華王朝・中国にとって、
世界の土地はすべて自分達のものである!
というのが中華思想の独特の思考・概念であり、
そもそも国境という概念もない
という発想になります。
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの!」というジャイアン的な発想と考えると非常に分かりやすいと思います。
「領土」に対する中華思想的理屈としてはこうです。
本来、領土の概念というものは 、
「境界線のこちらが自分たちのもの、あちらが他人のもの」
というものですが、
歴代中華王朝や中国にとっては、
世界のすべてが「天子」様のもの、
つまり、
世界の領土は全て中華皇帝のものである
と考えます。
中華思想的世界観では、
中国の天子、すなわち中華皇帝は「天」の代理人であり、
天より世界のすべての土地を統治するよう命じられた存在
であると考えています。
地上のすべての土地が
「天子」・中華皇帝のものなのだから、
そもそも国境という概念の領土の境界線などあるはずがないじゃないか。
という理屈なのです。
ちなみに、
現代の中華人民共和国において、
皇帝に代わって 「天子」の座についているのは、
中国共産党のトップであります。
(2022年11月時点では習近平)
そして、
話は多少ずれますが、
その中国共産党率いる中華人民共和国と
日本の間で起きている領土問題こそが、
尖閣諸島問題です。
実は、
尖閣諸島における中国との領土問題など、
1970年までは存在しませんでした。
しかし、
1968年の国連による”ある”調査結果公表後、
中国はその「中華思想」バリバリの野心を剥き出しにし、
日本固有の領土である尖閣諸島に対し、
強硬姿勢を見せるようになったのです。
1968年、
国連による尖閣諸島周辺の海底資源調査が行われ、
その調査結果が公表されました。
すると、
1965年、なんと尖閣諸島周辺の海底に
大量の石油資源が埋蔵されている可能性
が判明したのです。
この国連による調査結果は、日本と中国の両国にとって、
その後、
現在に至るまでの大きな禍根を残すものとなりました。
そして、
1970年、中華人民共和国は
それまでなんの主張すらしてこなかった
尖閣諸島の領有権を突如主張し始めたのです。
これまで尖閣諸島の存在など、
たとえ領有していても
なんの得も旨味もない「不毛な辺境の地」である
と見向きもしてこなかった中国でしたが、
大量の海底資源が発見されたとなると話は別、
尖閣諸島は不毛の地ではなく、
むしろ豊かな資源の眠る、
得と旨みのある土地なのだ!
では、我々の土地にしよう!という、
中華思想バリバリの主張をし始めたのです。
これが、
現在も継続して問題視されている
日中間の尖閣問題の事の発端となります。
そして、
中国による中華思想の概念をし理解する上で
分かりやすい事例をもう一つ挙げます。
2022年8月4日、
中華人民共和国、
さらに正確に表現しますと、
中国共産党の中国人民解放軍は、
*中国には国軍というものは存在せず、中国に存在する軍隊は、中国共産党の保する軍隊である「中国人民解放軍」である。
日本のEEZ・排他的経済水域に対し、
五発の弾道ミサイルを撃ち込んできました。
これに対し日本の主要メデイアのほとんどは、
「中国が発した弾道ミサイルが日本の排他的経済水域に落下しました」
と報道しましたが、
これは、
たまたま排他的経済水域に落下したということではなく、
明らかに狙って撃ち込んできたのです。
産経新聞など一部を除く、
日本の主要マスメディアのほとんどは、
なぜか中国に対し「忖度」した報道を行いますが、
2022年8月4日の弾道ミサイルに関しては、
誰がなんと言おうとも、
「中国が日本の排他的経済水域に
弾道ミサイルを狙って打ち込んだ」
という事が事実なのです。
その証拠に、
中国軍東部戦区の報道官は「全て正確に目標へ命中した」
という発表を記者会見で行っているのです。
日本の報道機関による中国への過度な忖度については、
また別の機会にお話ししましょう。
戻ります。
もし、
中国に「領海・領土」という概念や、
国際法の遵守という精神が1ミリでもあるならば、
他国の管理する排他的経済水域に対し
ミサイルを五発も撃ち込むというような暴挙
を起こすはずがありません。
また、驚くべきことに、
ミサイルを撃ち込まれたことに対し、
形式的ではありますが日本政府が抗議すると、
(呆れることに対面ではなく電話での抗議という・・・)
中国外務省の報道局長は、
「両国は関連海域で境界を画定しておらず、
演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」
という驚くべきコメントを発表したのです!
つまり、中国側からすると、
「日本政府は日本の排他的経済水域などと言うが、
中国には日本の排他的経済水域という認識などない」
という事です。
中国には領土・領海という概念や遵法精神などはなく、
と同時に、
日本は完全に舐められているという事です。
この発言を許した日本政府の罪は小さくない。
と、元朝日新聞のエース記者で、
青山学院大学客員教授でジャーナリストの峯村健司氏は言います。
このような、
中国の傍若無人な行動が意味することは何か?
それは、
歴代中華王朝から受け継がれ続けている、
「中華と中華皇帝こそが最も優れており、
その他の地域は中華以下である」
という、中国独特の「中華思想」そのもなのです。
そして、
その「中華思想」を例えるなら、
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの!」
という、「ジャイアン的発想」と酷似しているということです。
そもそも、
日本を含む先進国(遵法精神を持ち合わせている国々)
の領土・領海意識と、
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」という
中華思想的・ジャイアン的な中国の領土・領海意識とでは
共存は難しいということです。
どのようなものにおいても、
「価値観の違い」は大きなハードルとなるものです。
ジャイアン的中華思想が根本にある
中国の領土・領海意識においては、
領土や領海という概念はおろか、
国境などという概念すら存在はせず、
ましてや、
国際法上の排他的経済水域という概念
などもってのほか、
さらに言えば、
日本の領土のみならず
地球上の土地と海は本来なら全て、
中国(共産党)のものであるという認識なのです。
重ね重ねになりますが、
歴代中華王朝、そして現代中国においても
「中華思想」という中国独特の概念とは、
ジャイアン的発想そのものなのです。
このように、
中華思想という概念を背景に、
歴代中華王朝、そして、現在の中華人民共和国は
領土・領海の領有権を主張しており、
そんな中国のジャイアン的領土意識に対し、
日本を含む先進国のほとんどの国々は理解に苦しんでいるのです。
また、
中国における「反日教育問題」や「台湾問題」、
さらには、
アメリカをはじめとする欧米各国との
外交的緊張状態なども根本を探っていけば、
全てはこの「中華思想」に行き着きます。
この独特な中国・中国人の「中華思想」について、
評論家の石平氏は、到底日本人には理解不能であろう・・・。
と著書や講演などで語っております。
このような独特の領土意識を持つ国と
古来より隣同士という日本の地政学的境遇は
不幸としか言いようがありません。
できる事なら、
中華大陸から遠く離れた場所にお引越ししたいくらいです。
とりあえず、
今回、私が言いたいことは一つ。
「中華思想」とは「ジャイアン」である。
ということです。
これを念頭において
歴代中華王朝や現代中国について考えていただければ、
国際情勢や歴史認識などについて
理解し易くなるのではないかと思います。
最後にもう一度。
「中華思想」とは「ジャイアン」である。
今回の
「中華思想」とは「ジャイアン」という概念
を知っているだけで、
次回以降、
中華王朝・中国について
さらに深く理解する事ができると思います。
もちろん、(中国人との交流などの)実生活でも。
次回、
「世界に冠たる中国!?」
乞うご期待!