結婚が幸福をもたらすのか?幸福が結婚をもたらすのか?別の何かが結婚と幸福の両方をもたらすのか?
今回の記事は、下記の記事を参考にして書かれています。
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相関関係は一つではない。たいてい相関関係は複数ある。特定の結果一つとっても、その結果をもたらす原因はたくさんあるものだ。
我々は、一つの原因が一つの結果をもたらすと考えがちであるが、そのような単純な相関関係は稀であると思った方が良いだろう。
では、思いつく限りの相関関係を提示すればよいのか?それは紙幅の制限や時間の制限により難しそうだ。
となれば、我々は、数ある相関関係の中から重要な相関関係を厳選する必要がある。そうするためには、「それぞれの原因の重要度の違い」を比較検討しなければならない。
「一部のE1が一部のE2の原因であると主張するとき、E1がE2を引き起こさない場合があること、あるいは別の原因がE2を引き起こす場合があることは、必ずしも反例とは言えない。単にE1がしばしばあるいは一般にE2を引き起こすと主張しているだけだからだ。つまり、他の原因はそれほど一般的ではない、あるいはE1はE2の主要な原因の一つであり、全体からすれば複数の原因があり、他にも主要な原因があるかもしれない、というわけだ」(アンソニー・ウェストン著・古草秀子訳『論証のルールブック(第五版)』(ちくま学芸文庫、2018年) p90~p91)。
この箇所の内容はそのまま頭に入れておいてほしい。
相関関係とは「傾向」や「一般性」の話である。一つのあるいは少数の反例(らしいもの)が存在するからといって、必ずしも特定の事象における原因と結果のつながりの「傾向」や「一般性」が揺らぐわけではない。反例の存在は必ずしも特定の相関関係を否定しない。
なぜなら、相関関係の役目とは、E1という原因が「しばしばあるいは一般に」E2という結果をもたらすことを主張することだからである。
相関関係は別に、E1がE2という結果をもたらす絶対唯一の原因であると主張しているわけではないのだ。E1はE2という結果の ”主要な” 原因であると主張しているだけなのだ。相関関係の段階・時点では、あくまでE1以外にも複数の原因、複数の主要な原因が存在し得ることを認めているのだ。
「幸福だが結婚していない人は多いし、結婚しているが幸福でない人も多い」(参考元は同上)。たしかにそうなのだろう。しかし、その事実は「一般に結婚は幸福に影響しない」という反論の根拠には必ずしもならないのだ。
「たくさんの異なる原因があいまって影響を及ぼしている」。「因果関係は複雑なのだ。多種多様な要因が働いている」(参考元は同上)。
何事に関しても、一概に断定できたり極論が妥当であったりすることはほとんどないのだ。
特定の事象に関して、たとえある物事が原因であると考えられるにしても、他の物事が原因ではないと簡単に無条件に決めつけることはできないのである。その両方が原因であるという可能性を(その他にも原因があるという可能性も)安易に捨ててはいけないのである。あらゆる原因の可能性を温存しておくことが大事である。
原因と結果を突き止めたと思っても、その原因が実は結果だったり、その結果が実は原因だったりするということがままあるのだ。かくも相関関係、因果関係は複雑なのだ。
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