会心の支援
先日、「とても支援がうまくいった!!」という瞬間があった。
とても感覚的なもので、言語化する事は難しいが、言語化するとするなら、、、
①あまり余計な事をしゃべり過ぎず、
②適切なタイミングで強化し、
③本人の理解度に合わせた表出(視覚・単語・二語文等)を行い、
④今本人の学習状況に合った内容を教え、
⑤難しい場合はその場で難易度調整を行う。
といった内容になるだろうか。
少し話が変わるが作業療法士として一般の病院で働いていた時、マヒの方などに対してもこの「とても支援がうまくいった!」という瞬間は時々あった。
たった数十分のリハビリの中で、最初動かなかった手が動くようになる、全然立てなかった人が手すりをもって立てるようになる。等、自分の支援が明確に効果があったと感覚的に感じる瞬間だ。
もちろん、これは自分だけの力で起こっているわけではない。医師の治療の効果、理学療法士・言語聴覚士のリハビリ、看護師の日常生活の関わり。そのようなすべてが重なり、起こっている。
それを、自分の時につなぎ合わせたとでもいうのだろうか。そのような言語化がとても難しいが、できた!!と本当に嬉しくなるような瞬間である。
もちろん自分が勝手に思っているだけで、本当にそうか断定できるものではないが。。。
なぜなら、必ずしも再現性のあるものではないからである。自分が出来たことが、他のスタッフが出来るわけではなく、何なら次の日自分も出来なかったりする場合すらある。そのため、自分はこのような会心のリハビリはさらっとしか共有しない。
再現性や柔軟性(支援の幅)が出てきた段階で、初めて他のスタッフとしっかりと共有するようにしている。
そんな不思議でとても感覚的な成功体験が、実は療育の分野では初めてきたのである。
療育とは身体的な関わりは多くない。そのため、身体的な分野ですら感覚だよりだったものが、さらに感覚的なものであるため、そのような瞬間が来るとは思ってもみなかった。
そのような瞬間を何とか見ている方と共有したく、この記事を書いている。
そんな体験を言語化した①~⑤、それぞれの内容を説明していく。
①:発達障がいの方・児童というのは、言語の理解だけではなく、複雑な文章などに対しては言語性ワーキングメモリの低さなどから、理解しているようで理解していなかったり、指示を複数出すと混乱したり、対応が難しかったりする。そのため、その子の発達段階に合わせてだが指示は端的に分かり易く出したり、あまり余計な装飾語や余計な会話は入れないようにする必要がある。
②:適切なタイミングで強化するというのはとても大切である。以前の記事でも書いたが、結果だけを褒めるとそこにたどり着くまでのハードルの高さや、出来るか分からないという不安から逆に行動をしなくなっていく事さえある。チャレンジしようとした行動を褒めたり、途中途中で褒めたり、結果できた時は強化子を用いたりという事が大切だ。
③:これはある程度意味は理解できると思うが、徹底することはとても難しい。我が子の場合、適正な言語は二語文レベルである。もし我が子に療育・支援をする場合は、単語、二語文、絵カードなどを駆使し、関わっていく必要がある。しかし、普段の場面ではどうしても文章が長くなったり、絵カードが適正な場面で言語指示をしてしまったりとなりやすい。
④:本人の学習状況に合わせる事。これも本当に難易度が高い。ESDMの考え方で行くならば、普段から最低でも5~8割程度は出来ている事が獲得課題となる。この獲得課題を全体の1~2割取り入れ、あとは維持課題(9割程度の成功率の課題を定着させる)としなければならない。しかし、多くの場合難しすぎるか、簡単すぎる事が多い。適正な難易度で課題をしていると、本人が積極的に取り組むのでその反応を見たりする。
⑤:難易度を調整したとしても、日々ちょっとしたことで変動があるのが、発達障がいである。日常生活上の中で課題を行っていると、その日の調子や成長などもあり、難しすぎたり、簡単すぎたり、本人がやりたくなかったりという状況があるためそれを見極め、課題の難易度や内容をその場で調整する事もある。例)自力で手洗いを行う⇒言語プロンプトで手洗いを行う
ちなみに今回「できた!」という実感を持ったと言ったが、最高の療育が出来たというわけではない。実は①~⑤の文章からも不十分さが分かる人には分かると思う。特に⑤はきちんとしたアセスメントを行えば、その場での変更は極力減らせるのではないかと思う。
以前から話しているように上には上がある。しかし、今現在自分の持っているものを最大限使い、完ぺきではないまでも児童の反応がとても積極的で、少し難しい児童であったにもかかわらず、意欲を保ちながら最後まで落ち着いて楽しそうに療育に取り組むことができた。
このような瞬間はとても言語化が難しいが、日本でも上位の専門的な支援を行っている人であれば、当然言語化でき日常的に行っている内容になるのだろう。
ゆっくりではあるけれど、「発達支援事業所 ひらそるの芽」ではこのような療育を少しずつ増やしていく事に意識を向けていきたい。
そのために日々スタッフに研修参加してもらったり、話し合いを行ったりしている。
心の声(´-`).。oO(専門的な研修高い、良い建物が欲しい、うちの子可愛い、研修難しい、うちの子可愛い、人材育成難しい、事業所運営大変、うちの子可愛い)。。。。。
よし!今日も頑張ろう!!