褒める事について考える
褒める事は良いですよ、たくさん褒めましょう、褒めないと成長しません。
褒める事について、一般的には様々な意見が述べられているが、総じて言われているのは褒めれば褒めるほど良い、出来たときはきちんと褒めるべき。という事である。
この意見に対して、もちろん賛成である。
あんまり色々考えすぎると難しく、褒めないくらいならあんまり気にせず褒める方が良い。
ただ、色々な研修を受けていくと、褒める事で狙ったものと逆の効果を示す事もあるのだという事を知ることができる。
だからこそ、研修・文献・書籍などで学んだ事や、実際に体験として感じた事などから得られたことを言語化したいと感じ、記事にすることにした。
特に感じている点としては以下の4点である。
①褒めるよりも存在受容が大切
②結果よりも過程や意欲を褒めた方が効果が高い
③結果だけ褒めていると逆に行動をしなくなることがある
④褒めるまでの目標値が高すぎるとそもそもチャレンジしない事がある
以上の4点についてより深く説明していきたい
①褒めるより存在受容が大切
褒めるという事はあくまで条件付きの肯定である。(~~が出来たから偉い、~~が出来る子が好き)と言うように、枕詞として~~が出来るという条件が付く。
という事はつまり、出来ない子は、、、という事が推測できる。子どもと言うのは認めてほしいものである。
しかし、条件付きでのみ自分を認める存在と心を通わせるのは難しい。
本当の意味で子供の成長に必要なチャレンジや自立心というのは、安心できる存在を感じる事で育っていく。
まずは存在の需要をし、安心や安全を感じながら、自ら学んでいく存在に成長してもらうというのが大切となる。
では、存在受容はどうすれば良いのだろうか。
こちらがあなたの事を好きですよというのを分かりやすく伝える事だ。
自分が良く使うのが、「〇〇くん、今日も来てくれてありがとう」「○○ちゃん、会えて嬉しいよ」「○○くん、また会えるのを楽しみにしてるね」などである。
ここで意識している点は三つである。一つ目が、名前を言う事、二つ目が自分(保護者、支援者)自身の気持ちとして伝えている事、三つめが、褒めるは使わない事である。
また、無言語のお子さんには別の方法もあるが、それは難易度が高いので別の機会に説明する?かも???たぶん(笑)
一つ目の名前を言う事は親近感をもたらすというのは有名であるので省かせてもらう。
二つ目の自分自身の気持ちとして伝える事は、そうではない言葉の使い方として、一般的に良い、○○先生が頑張ったって言っていたなどがある。
子どもはまずは一対一の関係性を学ぶ。その時に自分自身の気持ちをきちんと伝える事が、最も子供にとって信頼関係を学ぶ上で大切となり、かつ最もすんなり受け入れられる言葉となる。
特に一般的に良い(~~するのが良い子だよ)などの言葉は一般的な概念を子どもが理解しないといけない事から、効果は弱く、場合によっては子供の反発を招く場合もある。
○○先生が頑張ったって言っていたなどは悪い言葉ではないが、出来れば自分の言葉として、「○○先生が頑張ったって言ってたけど、それが私にとって嬉しかったよ」というような言葉とすることで、褒めるとしての効果は高まるだろう。
三つ目の褒めるは使わないという事だが、存在受容をする際には褒めるを使わない事は実は大切になる。褒めるというのはそもそも他人を評価する言葉であり、上下関係の上の人間から下の人間によく使う言葉である。
上司から部下に「~~出来てよくやった」みたいな言葉は違和感がないが、部下から上司に「○○さんは~~出来て偉いですね」みたいな言葉が違和感があるのはそういう理由からだ。
存在を受容する際にはそのような上下関係というのは、どうしても安心感などから遠ざかってしまうため、避けるべき事項となる。
このようにさっと説明しても長い文章となってしまったが、褒めるについて考えるにあたって、まず大切なのはその前の関係性の部分になる。
要は仲良くないのに上から褒められても嬉しくないというやつだ。
②結果よりも過程や意欲を褒めた方が効果が高い
これは実は研究で証明されている事だが、意識しないと結構難しい。
特性の高い低いに関わらず、スポーツ、習い事が上手になったり、勉強が出来るようになったりするには、まずはたくさん失敗をする必要がある。
同時に練習や勉強というのは、普通にしていても決して面白い事ではない。
それでもやらなければ上手くならないのである。
放っておいても出来るようになる子ももちろんいるが、基本的にはそこに意味付けが必要となる。
過程や意欲を褒める事と言うのは、つまり練習やチャレンジをすることが大切ですよと子供に教える事だ。
こうすることは子供の意欲を伸ばし、自発的に物事に取り組むようになる事で、様々な場面での学習の効果が高くなるという研究が出ている。
このような過程を使った褒め方の一つに、25%ルールなどがある。興味がある方は調べてみると良いが、そもそも意欲や家庭を褒めるという事を親などに分かりやすく伝える方法になる。
③結果だけ褒めていると逆に行動をしなくなることがある
これは自分自身も体験し、療育中に失敗したことでもある。
特に不安の強い子、勝ち負けや成功失敗にこだわる子に多いのだが、結果だけを褒めていると、失敗する不安や、負けを避けたいなどの気持ちから敢えて行動を避けるという事をする子が少なくない。
これの解決が②の過程や意欲を褒めるという事や結果はあんまり着目しないという事になる。
特にひらそるの失敗不安が強くトイレトレーニングが上手くいかなかった児童の例では、トイレが成功したらしっかり褒めるという分化強化などを使っており、最初はトイレが成功する場面が増えていった。
しかし、なぜか途中からその子はトイレに行く事を嫌がるようになっていった。
そこでひらそるでは書籍、研修などで学んだことを再度見つめなおし、その子の支援方法を見直すこととした。
幼稚園への訪問、担当者会議、ひらそる内、保護者への説明などで、褒める場面の共有を行った。(トイレの入口まで行ったら褒める、トイレに座ったら褒める、トイレに成功してもそんなに反応しない)などである。
この場合において、対象の子どもはトイレにおける失敗がなくなった。つまりエラーレストレーニングとなったという事だ。
しかも自分の意思でコントロールできるところに本人の課題を落とし込むことで、頑張れば褒められる状況が必ず出来るようになった。(あくまで子ども本人の視点のイメージ)
出たか出なかったかは重要視されていない。つまり結果ではなく、トイレに行くという過程を褒めるようにしたのである。
結果として、その子はトイレに行くようになり、数か月後には完全にトイレが自立する事となった。
もちろんこれは一例ではあるし、結果を褒めると悪い結果を生むという事では決してない。
しかし、結果を褒めないというのは個人的にはかなり斬新で意識しないと出来ない事であったために、あえて言語化したい内容であったため、文章化した。
④褒めるまでの目標値が高すぎるとそもそもチャレンジしない事がある
面倒くさがりの子供にどのように片付けを教えるのか。。。
良くある問題だ。この場合、先ほどと一緒で結果だけを褒めるをしていると、たくさん散らかっていると片付けるのが面倒なため、褒められようがどうしようがしたくない!!という状態が発生する。
この時は結果を褒めるとしても、その結果の難易度を落とさないと、片付けが始まりすらしないという事がよくある。
方法は幾つかあるが、〇親も手伝って片付ける、〇(何十個もあるブロックの)3個だけ片付ける、〇近くまで親が集めたものをかごに入れるなどを一つゴールとする事で、そもそもの難易度を下げる工夫をする事で、学習効果が高まりやすい。
いわゆるスモールステップというやつである。
このスモールステップの段階の立て方もある程度の専門知識や経験がある事で具体的にやり易くなるのだが、今の時点で3000字を超えたため、割愛させていただく。
このスモールステップの立て方が上手な人は自分自身の成長、育児、療育、人材育成など様々な場面で意欲を引き出すことができるため、役立つ知識だと感じている。
以上①~④の説明をしたが、予想以上に(いつも通り)長い文章になってしまったため、ここまで読んだ人はとてもすごいと思う(笑)
<最後に>
長すぎて咀嚼しきれない人のために、ちょっとおまけ
私 ビーズクッションでゴロゴロしているところ、、、
妻「あ、子供のご飯だけ出してもらっても良い?」
私「はーい」
妻「ありがとう!あ、あと、お茶も良い?」
私「はーい」
妻「ありがとう!あ、洗濯物終わったか見てきてもらっても良い?」
私「はーい」洗濯物が終わっていたので、持って行って干す
妻「終わってたの?干してくれてありがとう!」
少し違うかもしれないが自分の気持ちで伝える、スモールステップ、過程を褒める、意欲を褒めるなどこんな感じである。
これはあくまで例である。決して私が妻に調教済みという事ではない。
いつも言う通り、決して深読みしないように(´・ω・`)