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自分のちからで外へ出ていく楽しさ。【ギランバレー症候群の奇跡】17


指が少し動くようになって車椅子を動かす練習を始めた。

リハビリは毎日ある。365日だ。

芳子の入院生活はなんでもリハビリになり徐々に車椅子に乗り移ることも出来るようになり、自分で車椅子を押すことも出来るようになってきた。
といっても、7階のワンフロアを1週するだけだが。

理学療法士のTNさんと毎朝、
「車椅子ドライブ」を楽しむことが日課となった。
前に進むのは簡単だけど、後ろや曲がるときが難しく、芳子は運転免許を持ってないので「車のハンドルを回すように」と言われてもピンを来ず何回もやり直して曲がったり後ろにいって定位置に戻ったりを繰り返した。

リハビリは朝の8:50分から始まるので、フロアはまだあまり人がいなかったので車椅子を走らせた。

窓のそばに車椅子を寄せると、その風景は大きな入道雲があって夏の暑さを窓越しに感じた。

周りには自動販売機もあってそこには芳子の好きアイスコーヒーもあった。間食は許されてなかったので退院したらゴクゴクいっぱい飲んでやろうと思った。

車椅子をこぐ極意を教えてもらった。

車輪を回すのは良いが足も使って前に進む練習もした。
手も足も使えるぐらいの力が出てきたので出来るのだが、それでも結構疲れた。
そして別館にある「リハビリ室に行ってみよう」と言われがんばって車椅子をこいだ。

寝ていたときの病院の風景と身体を起こしたときの風景はまるで違うので驚いたのと同時に病室を抜けて

自分のちからで外へ出ていくのはなんて楽しいんだと感じた。

別館に行くには途中は坂のような作りになっていて、そこだけはTNさんに押してもらった。

まだそこまでの力はない。

迷路のような道を車椅子をこいで、
やっと「リハビリ室」につく。
ちょっとドキドキしたけど、すぐに目に飛び込んできたのは平行棒だった。それとリハビリをやっているお年寄りの姿だった。

私も歩けるかなぁと皆さんをみて思った。

手を握るちからも出てきて
(握力4キロw)
平行棒に捕まって歩いてみないかと
理学療法士さんに言われ車椅子から立ち上がろうと思ったが、全然出来ない。

平行棒は芳子が座る高さより上にあってそこに捕まると身体を起こせないのだ。

すごい力がいる。
それでも立ち上がれない。

どうしたもんかと思ったらTNさんが、「車椅子の肘を置く部分に捕まって立ち上げれないか」
と言うのでそうやってみたらふらふらだが立ちあがることができ、ふらふらの貧血みたいになったので
すぐに血圧を計った。
「今日は車椅子ドライブで疲れたし、こんな遠いリハビリ室まで来て平行棒に捕まる練習もしたし、これぐらいが新井さんにとっていいんじゃないかな」「無理は禁物だよ」と言われ、芳子は「平行棒に捕まって一歩でもいいから歩きたかった」という強い気持ちがあったが、
今の私じゃまだ無理なんだと思って泣く泣く帰った。
帰りはTNさんが車椅子を押してくれてまた、ドライブを楽しんだ

「今度こそ、平行棒に捕まってやる!!」と芳子は想い、
夜中、イメージトレーニングをしながらおさらいをした。


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