仕事に役に立った本を5冊挙げてみよう!
元々は、「新入社員にオススメの本○冊!」みたいなタイトルで考えていたんです。
ただ、書き進めるうちに本を勧めたいのか、「こんな本読んでます(ドヤァ」をやりたいのかが分からなくなってきて、いったん筆を止めました。
考えていくと、
「入社一年目の教科書」を今更僕が紹介する事に何の意味があるのか?
そもそも、本1、2冊読んだだけで新人の悩みなんて解決できなくない?
だったら僕もこんなに苦労してなくないか??
…などなど、めんどくさい自意識に苛まれてきたので、やめました。
本をオススメするのを。
そこで、シンプルに、「自分にとって役立った本」を紹介する事にします。
あなたにとって役立つかどうかは保証しかねます。
汎用性無視、異論反論なんでもござれ。
(上述した「入社一年目の教科書」や、「道をひらく」のようなザ・名著は外してあります。
それはもう、普通に読んでください。)
『タイトル』著者名(敬称略)/出版元
「」個人的パンチラインの引用
→感想などなど
の構成でお届けします。
お手隙の際にご拝読頂ければ幸いです。
*
1.『リーダー論』高橋みなみ(AKB48)/講談社AKB48新書
「もしかしたら私は、前田敦子になりたかったのかもしれない。でも、なれなかった。なれないんだって、気付いてしまった。」
…いきなりアイドル本です。
タイトル通り、AKBグループ総監督だった高橋みなみさんが、自身の経験を基に書いた一冊。カリスマリーダーなイメージのあるたかみなの、苦悩と葛藤の舞台裏です。
アイドルとしてセンターにはなれなかった、なれない事に気付いてしまった。
それでも必死にグループをまとめる姿に、不覚にもホロリとやられてしまいまして。
自分語りになっちゃいますが、僕の中の一つのテーマが、「エースになれなくても、リーダーにはなれる」なんですね。
高橋みなみさんは、それをまさに体現した同世代のリーダーなんです。
チーム作りのポイントやメンバーに「任せる」ことの意味、リーダーが弱さを見せる大切さ。さらには継承と世代交代まで、マネジメントのヒントがたくさん詰まっています。
特にグッときたのが、個性派揃いの「アイドルグループ」の中で自分なりのエース像=『私のゼロポジション」を見つけるんだ、という一節。
この本の根底にあるのは、「誰もが輝けるんだ」という力強いメッセージです。
2.『多数決を疑う』坂井豊貴/岩波新書
「だが選挙結果はあくまで選挙結果であり、必ずしも民意と呼ぶに相応しい何かであるというわけではない。そして選挙結果はどの集約ルールを使うかで大きく変わりうる。」
僕たちの世界を構成する前提条件・民主主義、そして多数決。
本書は、同じ投票内容でも集約ルールを変える事で多数決の結論が変わる、という実例を示しながら、現代社会の「盲信」に疑問を投げかけます。
またもや自分の話で恐縮なんですが、数字をこねくり回して意思決定に繋げるお仕事をしています。
本書の趣旨とは多少それますが、数字の前提や計算ロジックを変える事で白を黒に変えることもできる、というのが僕にとっての大きな気づきでした。
計算結果のみを見て結論を議論する前に、その背景にある意図とロジックに気をつける。
仕事に限らず、生きていく上で必要な態度ですよね。
3.『しんがり 山一証券最後の12人』清武英利/講談社
「後軍(しんがりぐん」)という言葉がある。戦に敗れて退くとき、軍列の最後尾に踏みとどまって戦う兵士たちのことだ。彼らが楯となって戦っている間に、多くの兵は逃れて再起を期す。会社破綻を敗戦ととらえれば、自主廃業の後で働いた社員たちは、しんがりの兵士そのものだ。」
1997年、自主廃業に至った山一証券。ほとんどの社員が再就職に奔走する中、真相究明と生産業務に就いた12人の社員たち。彼らのほとんどは、会社中枢から外れた傍流のメンバーたちでした。
就活を通して、誰もが働く意味を考えてきたはずです。
自己成長、社会貢献…そんな前向きな言葉を並べて、希望を抱いて社会に飛び出してきたはずです。
それが実際に社会に出ると、上下関係や組織の理論など、リアルな壁にぶつかってしまう。
本書で描かれるのは、「会社のために」と自分に言い聞かせながら不正に手を染めた社員たち。
トップの暴走を見て見ぬふりをした役員たち。
そして、そんな身内の不祥事を、なんの見返りも称賛もない中暴こうとする、しんがり軍の人々。
彼らの生き様が、「働く」って、何なのかを問いかけてきます。
この本は僕にとって、組織で生きる事、そして働くことの意味をもう一度捉え直す一冊になりました。
同様の系譜だと、東芝の一連の不祥事を「サラリーマン全体主義」というパンチラインで喝破した『東芝 原子力敗戦』(大西康之/文藝春秋)も。
こちらの方が逼迫感と、「自分もやってしまうかも…」という焦燥感が強いです。救いが一切ないし。
4.『戦略参謀の仕事 プロフェッショナル人材になる79のアドバイス』稲田将人/ダイヤモンド社
「ビジネスの腕は、自分がPDCAの中心にいて、場数から学んだ方のみが磨くことができます。」
企業における「戦略参謀」の役回りや立ち位置を詳細に描いた一冊。
経営企画・事業企画系のお仕事をしているのですが、KPIをまとめ、他部署をフォローし、結果を報告し…の繰り返しに意味を見出せなくなっていた頃に刺さった本です。
(よく自分の仕事を「神経系」に例えるのですが、完全にこの本からのパクリです。すみません。)
本書で定義される戦略参謀の役割は大きく下記3つ。
(1)トップの意思決定の精度を上げるための、事業方針に関する現状分析と起案
(2)社内の『神経系統』づくり
(3)課題の優先順位付けと課題プロジェクトへの対応
この3つが自分の仕事における立ち回りのベースになっています。
(1)(2)は『しんがり』『東芝 原子力敗戦』で描かれた「組織単位での歪んだ舵取り」に対抗するカウンターパンチになり得ますね。
また、(3)については最近オススメ頂いて読んだ『USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(森岡毅/角川書店)がより確信を強め、戦略思考を意識するようになったのが、最近の気分です。
5.『SHOE DOGー靴にすべてを。』フィル・ナイト(大田黒奉之)/東洋経済新報社
「臆病者が何かを始めたためしはなく、弱者は途中で息絶え、残ったのは私たちだけ。私たちだけだ。」
ナイキの創始者フィル・ナイトの、自伝的ノンフィクションです。
靴を売る。
ただそれ一本で、アメリカの片田舎の商売から世界的なシューズメーカーまでのし上がっていく奮闘記。
根底に流れるのは強固なアスリート精神。
ゴールラインなど存在せず、喜びや見返りはすべて自分の中に見出さなければならない。
積極的にリスクを取りに行き、そして勝利を勝ち取っていく。
賭けるのは金ではなく、信念であり、その信念は決して揺らぐことはない。
…ビジネスのヒントというより、心に火を灯す一冊です。
起業関連だと『渋谷ではたらく社長の告白』(藤田晋/幻冬舎文庫)も、読み返すたびに火をつけ直してくれます。
*
とまぁ、5冊挙げてみました。
振り替えると、仕事に役立てよう!と思って読んだ本はあまりないですね。
一見関連性のない5冊ですが、大きな組織の中で事務屋としてどう立ち回るか、どんな信念を込めるか、そして何が武器になるか?あたりが自分の中の課題認識として見えてきました。
こうして並べることで自分を客観視するのも、たまには面白いですね。
長々とお付き合いいただきありがとうございます。
もしよろしければ、「あなたの5冊」を教えてもらえると嬉しいです。
それでは。